64ページ目   商品先物

相場連動転職事情

週明けにはCRB指数が半月ぶりの安値と全般で一押しといった感の商品市場であるが、それでもリーマンショックを受けて低迷した国際商品市況は2月に比べて約2倍に上昇、そこで俄かに売買益で業績拡大を狙う欧米の大手金融機関がトレーダー集めに血眼になっているという記事をブルームバーグで見掛けた。

主力どころではG・Sが4-6月期でコモディティ含む売買で最高水準の収入を計上、バークレイズやRBS上期などもコモディティ関連収入で大きな伸びを示しており、ブルームバーグによれば人材斡旋会社の弁で100万ドルクラスの賞与保証やら引き抜きやらが相次いでいるという。

しかしこれで思い出したのが、当欄で約半年ほど前に「人材バーゲンセール」として米ウォール街からの有能な人材獲得を本格化という事を取り上げた件、国内でもこれと似たような件を同時に挙げたが、日本の場合その報酬格差がウォール街の足元にも及ばない事からまた相場にリンクしての大移動という現象も顕著化しようがないか。

というか国内のコモディティの世界ではもともとこうした記事になるような規模も存在しなかったし、しいていえば数年前に一部で辣腕ディーラーを揃えたところもその宿を変えながら数年経過した今では個々で独立やら、また海外に活路を見出して流出したりというのが現状、これはこれである意味寂しい。


自己否定と空洞化

本日もオフィス街の食事処などはまだ休みのところも多く、雑踏が戻る前の束の間の閑散具合が心地よい。さて、週末の日経紙には上場する7取引員の4-6月期決算が週末に出揃い、うち6社が減収、全社が経常赤字になった旨が出ていたがこうした決算表もなにかこう恒常化してきた感もある。

取引所総売買高の右肩下がりのグラフも彼方此方で見せられ06、07年度などマーケットを機能・維持・継続する為の最低限の流動性を確保するか否かのデッド・ラインに入ってきたと散々云われた物だが、更に蝋燭のようなグラフのバーが溶けてゆく中を取引所としては粛々と自己都合の迷走を繰り返している。

企業としてもスリム化はもう限界で、これ以上の縮小は収益を上げなければならない営利企業として不可能なレベルと云う悲痛な叫びが彼方此方に聞こえてもう久しいが、これとて意外?にも業界としての形が残ったまま各方面で存在が継続されているという妙な均衡がある点が別な部分で凄い。

同紙には収益確保、地道な取組と枝葉模索の動きが一部載っていたが、経営もキレイゴトを言っている向きは商売下手と業界に蔓延していた時代がはや懐かしい。専業の枠でディールに活路を見出したい処もあるがこちらも純資産額規制の壁が立ちはだかる向きあり、まあゆくゆくはこれも自己資本規制比率へと言葉を変えてゆくのかもだが、昨日の日経紙一面「新たな利益・開拓急ぐ」の所「自己否定の覚悟」というのが載っていたが、次なるステージを見据えてこの辺を受け入れられる向きがはたして如何ほど居るであろうか。


生まれた1671

本日は大証が金価格連動型上場投信に次いで第二弾目となる、WTI原油価格連動型上場投信(ETF)を上場させた。初日はTOCOMの連日の大幅高も手伝って?当初設定価格に対して4.5%のプレミアムが乗った格好になった。

このETF、先に当欄では5月に少し触れたもので管理会社がシンプレクス・アセット・マネジメント、信託受託者は三菱UFJ信託銀行、指定参加者は日興コーディアル証券と日興シティグループ証券となっているが、新制度導入後に商品先物に直接投資するタイプとしては日本初となる。

しかし昨年にリーマンが破綻し株式が低迷、連れて投信市場からも資金が流出する中でもETFへの資金流入は継続され異彩を放っていたが、こと個人投資家の存在感が際立っているとか。ちなみに今年6月迄の個人の売買金額シェアは外国人を上回る45%を確保、特に今や大証では個人が中核を占めるとか。

そんなわけで直近でもこの大証に上場する金価格連動型上場投信の売買高が7/30には大商い、一日の売買高としては07年8月の上場以来最大となった模様。信託報酬も低い上に機動性や掴み易い点などうまく奏功したのだろうが、CXの主力は長年個人であったがこうしたシェアの変遷を見ていると、商品取引所の御家芸というか聖域も既に侵食されつつあるのは間違いないところであろう。


消えた8735

7月ももう月末という運びだが、今月は8日だったか創業10周年という事で彼方此方の大手紙に載せたSBIグループの全面広告が印象に残っている。

さてその左側にズラリとグループ各社の名前が連なっていたわけだが、SBIフューチャーズの名前は何処を探しても既に見当たらなく、株式市場の方でも今週月曜日の最終売買を以って静かにヘラクレス市場から消えている。

同グループ率いるCEOコメントから時事に載ったモノを時系列でザッと挙げると、当初は「監督官庁は、投資家のための健全な市場を育成していかなければいけないという考えになってきた」とし、その後は「業界は土砂降りの状況」、07年3月期決算時には「真っ暗闇の中でシュリンクしている」とし、08年3月期には「土砂降り状態を抜け出すまで、あと一年かからないところまできている。この間に整理されるものは整理され、淘汰されるものは淘汰され、その中で生き残った会社がパイを分け合う」と述べてはいたものの、その後早々に自らが事実上会社整理の道を選択する結果になった。

以前にも書いたが今回撤退時のコメントは「国民経済に必要な市場だと思って参入したが、そうではなかった。監督官庁に業界を育てようという意識が感じられない」と失望した感を述べている。

確かに外側から見れば斯様にその矛先を向けたくなるのもわからないでもないが、しかし総括してみれば純に必要市場と思ってIPOしその期待を乗せて初日は17万円!という公開価格に対し倍以上の気配値切り上げとなった株価も、結局は業績の大天井を買った格好で株主責任も其れなりのモノに、縦しんば株主でなく委託者としても「24日までに反対売買を行いお取引を結了していただけますよう」と否応なしのお知らせでこちらは委託者責任か?彼らもまた後味の悪いモノが残ったのは否めないところだろうか。


一元化への道

本日の日経紙社説で目に留まったのは、金融・商品の監督一元化を急げという旨。商品先物取引法の成立から商品と金融の市場融合が進む中で消費者保護を徹底するには、監督体制も旧来の縦割り行政から脱し一元化を急ぐべきとする記事であった。

不招請勧誘問題に関しては以前から業界側では、取引所理事長がトラブル防止に努めるから導入は回避してくれとか、主力取引員トップなどもこれが導入されれば「業」としての経営は成り立たなくなる等を言い続けて来たが、パイの論理の提言もあって規制当局がやはりここ有識者に耳を傾けて来た影響は大きいだろう。

また昨今でもいETFやらワラントやら原資産のリンクを立てて証券系としてもコモディティーへの進出著しいが、これらも法整備からもっと進化してくるのは想像に難くない。仮にではあるが、一元化実現が現実味を帯びてくるのは先ずこうした市場間の競争がもっと熾烈を極めてきた時ではないかとも思う。

誰もが思っている事なのでこうした一元化など意見が出てくるのは至極当然なのだが、現状のところ政府内部の力関係の変遷は知る由も無いし、外圧から繰るのか上記の通り内部から競争という前段階を踏んでくるのかその成り行きが注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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