64ページ目   商品先物

生まれた1671

本日は大証が金価格連動型上場投信に次いで第二弾目となる、WTI原油価格連動型上場投信(ETF)を上場させた。初日はTOCOMの連日の大幅高も手伝って?当初設定価格に対して4.5%のプレミアムが乗った格好になった。

このETF、先に当欄では5月に少し触れたもので管理会社がシンプレクス・アセット・マネジメント、信託受託者は三菱UFJ信託銀行、指定参加者は日興コーディアル証券と日興シティグループ証券となっているが、新制度導入後に商品先物に直接投資するタイプとしては日本初となる。

しかし昨年にリーマンが破綻し株式が低迷、連れて投信市場からも資金が流出する中でもETFへの資金流入は継続され異彩を放っていたが、こと個人投資家の存在感が際立っているとか。ちなみに今年6月迄の個人の売買金額シェアは外国人を上回る45%を確保、特に今や大証では個人が中核を占めるとか。

そんなわけで直近でもこの大証に上場する金価格連動型上場投信の売買高が7/30には大商い、一日の売買高としては07年8月の上場以来最大となった模様。信託報酬も低い上に機動性や掴み易い点などうまく奏功したのだろうが、CXの主力は長年個人であったがこうしたシェアの変遷を見ていると、商品取引所の御家芸というか聖域も既に侵食されつつあるのは間違いないところであろう。


消えた8735

7月ももう月末という運びだが、今月は8日だったか創業10周年という事で彼方此方の大手紙に載せたSBIグループの全面広告が印象に残っている。

さてその左側にズラリとグループ各社の名前が連なっていたわけだが、SBIフューチャーズの名前は何処を探しても既に見当たらなく、株式市場の方でも今週月曜日の最終売買を以って静かにヘラクレス市場から消えている。

同グループ率いるCEOコメントから時事に載ったモノを時系列でザッと挙げると、当初は「監督官庁は、投資家のための健全な市場を育成していかなければいけないという考えになってきた」とし、その後は「業界は土砂降りの状況」、07年3月期決算時には「真っ暗闇の中でシュリンクしている」とし、08年3月期には「土砂降り状態を抜け出すまで、あと一年かからないところまできている。この間に整理されるものは整理され、淘汰されるものは淘汰され、その中で生き残った会社がパイを分け合う」と述べてはいたものの、その後早々に自らが事実上会社整理の道を選択する結果になった。

以前にも書いたが今回撤退時のコメントは「国民経済に必要な市場だと思って参入したが、そうではなかった。監督官庁に業界を育てようという意識が感じられない」と失望した感を述べている。

確かに外側から見れば斯様にその矛先を向けたくなるのもわからないでもないが、しかし総括してみれば純に必要市場と思ってIPOしその期待を乗せて初日は17万円!という公開価格に対し倍以上の気配値切り上げとなった株価も、結局は業績の大天井を買った格好で株主責任も其れなりのモノに、縦しんば株主でなく委託者としても「24日までに反対売買を行いお取引を結了していただけますよう」と否応なしのお知らせでこちらは委託者責任か?彼らもまた後味の悪いモノが残ったのは否めないところだろうか。


一元化への道

本日の日経紙社説で目に留まったのは、金融・商品の監督一元化を急げという旨。商品先物取引法の成立から商品と金融の市場融合が進む中で消費者保護を徹底するには、監督体制も旧来の縦割り行政から脱し一元化を急ぐべきとする記事であった。

不招請勧誘問題に関しては以前から業界側では、取引所理事長がトラブル防止に努めるから導入は回避してくれとか、主力取引員トップなどもこれが導入されれば「業」としての経営は成り立たなくなる等を言い続けて来たが、パイの論理の提言もあって規制当局がやはりここ有識者に耳を傾けて来た影響は大きいだろう。

また昨今でもいETFやらワラントやら原資産のリンクを立てて証券系としてもコモディティーへの進出著しいが、これらも法整備からもっと進化してくるのは想像に難くない。仮にではあるが、一元化実現が現実味を帯びてくるのは先ずこうした市場間の競争がもっと熾烈を極めてきた時ではないかとも思う。

誰もが思っている事なのでこうした一元化など意見が出てくるのは至極当然なのだが、現状のところ政府内部の力関係の変遷は知る由も無いし、外圧から繰るのか上記の通り内部から競争という前段階を踏んでくるのかその成り行きが注目される。


必要性は?

本日は、中部大阪商品取引所では低迷する鶏卵市場の活性化を目的とした委員会を設置し初会合が開かれている模様。中部といえば今年春先からたしかアルミニウムやTSR20、そして軽油を順次休止していた筈だが、失礼ながらこの類の鶏卵も一括りにイメージしていた部分があったので未だ相場が立っていたかと改めて認識した。

しかし、活性化と簡単に言うもののはたして建設的な展望はあるのだろうか?そもそも前回の中部大阪商品取引所研究会報告書では「流動性が低下し発展が見込めない市場について、ニーズのある新規商品への集約を図る方向でその上場を廃止する」とする提言があったが、現状で一日の出来高がゼロ、全体の取組がたったの2枚という商品はこれらに合致しないのか。

さてもう一つ上記のニーズのある新規商品になるのかどうか此処は既報の通り今秋に金先物上場を狙っている。TOCOMとまた商品が被るものの取引単位は標準とミニとの間を取り、取引手法は板寄せにするとかだが、はて指定倉庫も同じでもう一つ金市場を作る絶対的な必要性はあるのだろうか?

この辺はまた後述したいが、此処も上場企業含めて取引員や一般会員の脱退も相次いでいる折、先に発表された決算は3億900万円の赤字を計上。取引拡大で財務基盤強化との目論みだろうが、新規上場含めてその成功の是非が注目されるところ。


迷走と杜撰体質

さて、今週業界関係で目に付いた記事といえば昨日の日経紙商品面に載っていた東京穀物商品取引所がザラバ取引商品を全て板寄せに戻すという件であろうか。

新聞にはさすがに体よく取引手法を転換としているが、はてザラバから板寄せといえば最近では年末にザラバにしたら上手くいかなかったから板寄せに戻すという粗糖の話があったし、未遂?に終った件ではトウモロコシもザラバにすると発表した後やっぱりヤメましたとかのドタバタは記憶に新しい。

これをして「続く逆行」とタイトルした事もあったが、要は順次板寄せからザラバに切り替えていった作業を、トラブル続出な上にカネも喰うという事でまた順次ザラバから板寄せに戻すというなんとも労力と資金を無駄に垂れ流しただけという愚行にはまた呆れるばかり。垂れ流しといえば他にも此処は会員脱退の際の持分を資本余剰金から取り崩し過払い処理を繰り返しをしていたり、よくある官の杜撰さが随所に感じられる。

そんなわけで内側では既に法定準備金や積み立て金やらの取り崩しやら過払い持分も回収出来なかったりで、別な意味からも株式会社化は急務とも言えるがしかしどんな会社になることやら。公という事でこれまた幾つか蓋もされるのだろうが、しかし散々な目に遭った被害者の一つとも言えるのは、これらドタバタに此処まで付き合わされてただでさえ苦しい中を更に応分のカネも無駄にした取引員だろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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