75ページ目   商品先物

コスト転嫁の波

世界では比較的時期が遅い日本の昨日はご存じ「母の日」であったが、何処も街中はそれに関連したデコレーションが目立ち、今年は特に以前当欄で触れた事のある花弁が七色の薔薇が大人気であると彼方此方で聞いた。

ところでこのオランダからの輸入物以外で主力の定番はやはりカーネーションであるが、今年はハウスの暖房油の値段が昨年から2倍以上に跳ね上る等、関連コストを直撃している模様だ。

折しもWTIは週末も史上最高値を5日連続で更新し上記よろしくここ一年でとうとう2倍に、ここへ来て急成長を遂げる新興市場国の旺盛な需要という実需面を理由にする向きとリスク市場を避けた投機筋に因るものとする向きとに二分されているようだが、何れにせよ一般へのコスト転嫁の波はデフレ慣れした日本人に今後ジワジワと襲い掛かってくるか。


次期システムと整合性

さて、GW中にはWTIが10ドル近い暴騰を演じる等各商品が大きく動いた事もあって、連休明けの東京市場ではTOCOM銘柄中心にストップ高銘柄が続出であった。

以前にも書いたが夫々値位置が値位置なので以前と同率動いても可也の値幅になり、精神的にもう慣れたとはいえポジションによっては本日の白金よろしく一発で証拠金が飛んでしまうようなものも幾つか出て来る事態となる。

TOCOMあたりは次期システムの移行からやっとというかサーキットブレイク導入と言われているが、その場合にも現行証拠金基準額では整合性の取れないケースも当然ながらありこの辺も課題の一つとなるだろう。

商品でサーキットブレイクの発令事態とは想像するだけで凄そうだが、従前の証拠金管理も抜本的に考え直す時期にきている。


リストラの一環?

TOCOMは本日の理事会で、先に市場会員資格取得の申請をしていた出光興産に対して元売りの加入として4社目の承認をした。

さて出光といえば国内需要対応だけでは本業が萎縮してしまうとしてベトナム製油所の建設方針を発表しているが、新日石も先に富山製油所の原油処理を停止決定するなど元売り各社のリストラは加速している。

川下も含め需要減退がこうした政策を誘発していると思われるが、外へ動くのはそれとして国内部分をゼロにするわけにもいかず対応はマーケットに則しTOCOMでリスクヘッジという事になるのか。

一方TOCOMでは市場や商品毎に11種類の「TOCOMサブ指数」を新設、インデックスについても来年をメドに上場を睨んでいるとかだがこの辺はまた後に記そう。


要らないもの

さてFUTURES PRESSでも既報の通り、年度末駆け込みで取引員二社に対して受託業務停止や業務改善命令の処分が主務省より下され、これで07年度の行政処分は15社に上った。

先の商品先物取引協会の臨時総会にて会長が会員各社に対しトラブル解消に向けた取組の強化を求めたばかりであったが、同協会では上旬に特別始動プログラムを発表、トラブルが一定以上になった外務員に対して指導・警告等としているが客観的に見ればまだまだ緩いというのが正直な感想だ。

何時だったか時事通信のインタビューで経産省OBが商品取引員は金融庁の監督下に置くべきとした意見を見掛けたが、もしそうなったら現状の指導プログラムのままで済むかどうかは明白で、上級外務員制度を謳うのもいいがその前に先ず力を入れるべき事があるだろう。


未練?

先週末であったか、日経紙にニッケルが世界的に供給過剰が続く可能性が出てきた旨の記事があったが、ニッケルといえば周知の通り国内では中部大阪商品取引所が同商品を上場している。

そういえばこのニッケル、今年の秋には試験上場期限を迎えるが中部大阪商品取引所としては、本上場へ移行するのは難しいとしながらも廃止にはせず試験上場期間を延長する方針を表明している。

一応参考程度に本日の商いを見てみたが一節の商いは6限月で6枚、当然1限月の商いは全5節で5枚と同じく秋口に試験上場期限を迎える鉄スクラップと共にM・Mで生かされている相場で、以前キャンペーンだか何だかで同商品を勧められた委託者はもう近寄らないだろう。

ところで同取引所、横並びかどうか解らないが今年度に株式会社化を検討しているものの、台所事情は2期連続の赤字で年々キツくなってきている模様、各々舵取りに考え方はあろうが年末に一悶着あった同じ中部の新興市場セントレックスがふと浮かんでしまった。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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