ソフトサウンディング
本日の日経平均は手がかり材料難で方向感のない薄商いの中を僅かに反発して終了、業種別では石油ポストがしっかりな反面、証券ポストは軒並み安で値下がり率トップとなっていた。さてこの石油と証券のキーワードで先週話題になっていた件といえば、周知の通り東証一部の国際石油開発帝石が一昨年に実施した公募増資に絡み、インサイダー取引が行われたとして証券取引等監視委員会が中央三井アセット信託銀行に課徴金を課すよう金融庁に勧告した件があった。
この国際帝石株に関しては当欄では既に2年前に「懐かしや帝石」のタイトルで、「もともと同社には以前からファイナンス観測があり、これを読むかのように確信犯的なショートが直近で入っているあたりがなんとも怪しい」と指摘しておき、その3ヵ月後にはこうした物に絡んだ当局の調査に触れ、「出来高ひとつ取っても露骨な事例が存在するのに当局が重い腰を上げずに何時の間にか風化してしまうのが長年疑問であったが、はたして今回の調査では何処まで暴けるのか注目。」と書いた。
それから2年もかかって漸く一部が明らかにされたというワケで、信託銀行がインサイダー取引で課徴金処分されるのは今回初とか。先にAIJ事件でも信託の問題性を少し挙げたが、企業年金と毛色の違う公的年金などはこの手の件では行動が早いだけに今度は解約リスク等も台頭する懸念もあるか。しかしその辺の事情はともかくも、やはり何かこうこれでも小粒な感は否めない。
課徴金といっても運用報酬に基く算定で僅かに5.5万円であるから以前にも書いたようにヤリ得?の部類で、そもそも怪しい商いに占める今回の中央三井の問題玉はそれこそ数パーセントにも満たない割合だろう。スケープゴートよろしく信託銀行初摘発との喧伝だが、問題玉を占める海外籍は高みの見物であろうしまだまだ法改正も議論の余地があろう。