鷲のマークもMBO
本日で今月も終わりになるが、今月の株式市場ではとりわけMBO実施が目立った印象だ。当欄では先々週にシダックスとベネッセホールディングスの2社の相次ぐMBOを取り上げていたが、先週末には大正製薬がMBO実施を発表している。ベネッセの時に国内MBOでは最大規模としたが、その規模を軽く倍以上超えて日本企業のMBOでは最大規模となる。
その買い付け価格もなかなかの高プレミアムとあってこれにサヤ寄せする格好で週明けからわずか3営業日で先週末終値から約6割もの急騰を演じ、これまで高値掴みで我慢してきた一部株主へは最後のささやかなプレゼントとなったか?ただ高プレミアムになったのも当然なところで、そもそもがMBO発表時で同社株のPBRは0.5倍台と低迷しておりこの急騰で6割高を演じた本日でも0.8倍台に甘んじている。
同社は市場再編で自らスタンダード市場を選択していたが、上記の株価指標と併せ今後の長期的な経営計画に伴う時間とリスクの前に株主の全面的支持を得るのは困難との判断によるものがこの度のMBOの背景にあるか。ベネッセも構造改革の長期化を見据え非上場化を選択したパターンだったが、あの「鷲のマーク」が株式市場から自ら退出するさまはやや驚きだ。
というよりむしろOTC市場においてブランドが浸透しているからこその退場かもしれないか。誰もが一目瞭然の鷲のマークが広く知れ渡っている今、上場継続のその対費用効果が見合わないという事なのかも。いずれにせよ今月の立て続けの大物?の非公開化決断を見るに株式市場の新陳代謝が本格化してきた感が窺える。