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安いと思うなら買う

ギリシャ再選挙が終わって取り急ぎは不安材料のうちのひとつが消えた格好の株式市場であるが、この不安定な地合いにおいて一際堅調だったものに自社株買い銘柄群が目立つ。この辺は先週の日経紙夕刊でも取り上げていたが、同紙によれば先月の自社株取得枠の設定件数は102件と2011年11月以来、半年振りの高水準であるという。

ザッと挙げても先月はこの報で横浜銀行が突飛高したり、味の素もこの報で年初来高値を付けたりしていたが今月はキャノンが年初来安値の翌日に急騰、昨日の文中に挙げたDeNAも先週末には発行済み1割の自社株取得枠設定で急騰し、その連想で同業他社にも思惑買いが集まるほどであった。

しかしこれで思い出すのが大手紙などで社長インタビューと称するもの。現在の株価水準を問われ、「実力からして不当に安値に放置されている」といった意見を多く目にしたことがあるが、毎度そういった向きは自社株買いでもしたらどうだと思ったものだったが不快表明が大きいところほど方策無しで放置しているケースが多いものだ。

この辺はキャシュの問題も絡んでいるのだろうが、こんな株価低迷期ならではの株主還元の一環でもありその裾野の広がりには期待したいところ。


大証NYダウ先物開始

さて、今週始めに米CMEは「ミニ日経先物」を06/17に上場することを明らかにしているが、お互いにというか今週月曜日から大阪証券取引所の方では、大証ダウ・ジョーンズ工業株平均先物取引が開始されている。夫々昨年7月の業務提携によって実現したものだが、大証NYダウ先物のマーケットメイカーはなるほどあのニューエッジ・ジャパン証券。

ネット系証券でもこれと同時にこの大証NYダウ先物や、日経平均VI先物取引の取り扱いを始めるところも出ているが、東証一部の売買代金が4ヶ月ぶりに8,000億円を割り込みTOPIXが年初来安値を更新するなか、最近はVIX系などの大商いが逆に目立つ展開でVIX短期のETFなど上場以来の過去最高を上回っている模様だ。

ただどうだろうか、日経平均が今より1,000円ほど上にあった4月上旬とVIX系ETFの価格は今も変わらなく日本のそれは需給先行してしまっている感は否めないか。ETFが軌道に乗り辛い土壌というのは何度か取り上げたことがあったが、取り急ぎ新商品導入ということで目下高レバレッジのETF上場も近いといわれる。そんな土壌の中においてもなお活性化の起爆剤として活躍する商品が今後登場してくるのかどうかこの辺にも注目しておきたい。


大山鳴動鼠一匹

さて、今週は国内では月曜日の「金環日食」、そして翌日火曜日の「東京スカイツリー開業」と立て続けにビッグイベント?が並んだが、直近で世界規模のビッグイベントとなったのはやはりあのフェイスブックの上場だろうか。

注目された初値は42.05ドルと公募・売り出し価格の38ドルを約11%上回る水準となったものの、その後はズルズルと急落し物議を醸し出している。同社人気が波及する期待があったジンガやグルーポン等のSNS関連株も急落、フェイスブックのカラ売りは出来なくとも、日本でもジャスダックやマザーズなどの新興市場では先駆してこの関連で買われてきた手垢の付いた銘柄群がゴロゴロ、今週はこれらのカラ売りで軽く一回転が利く始末だった。

ところで史上最悪とまでいわれたこのIPO、上場初日に取引障害という失態を晒したナスダックが現況ヤリ玉に上がってはいるが、寧ろ主幹事のモルガンあたりの方がこれの主因のような気もする。日本でもそうだが初値形成は主幹事のカラーが結構出易く今回はまさにその通例通り、加えてディスクロの不透明さは今後も追求されて然るべきであろう。

踊らされて高値を掴みに行った向きも多かっただろうが、ちなみに以前にも触れた大統領選等の予想市場「イントレード」では同社初値を予想する取引も開始されていた。まあ斯様にトンだケチが付いたものの、曲がりなりにも初値での時価総額は約1,150億ドルとあのマクドナルドを上回るという水準、世界の株式市場が戦々恐々とした不安定な中でこんな超大型上場をこなしてしまうあたりも上記の派生モノと併せ改めて米株式市場の懐の深さをしみじみ感じる。


貸株事情

週明けの日経平均は欧州債務問題が再度深刻化するとの警戒感から幅広い銘柄が売られ、先週末にかけての上げがほぼ帳消しになる往って来いとなった。こうした不安が再度台頭するとなると全体の貸借構図にもまた変化が出そうだが、この辺に絡んでは先週末の日経紙夕刊に「空売り増加、投資家は弱気?」として空売り比率が4ヵ月半ぶりの高水準になった旨が書いてあった。

ところで空売りといえば、米投資信託界でも人気のIPO銘柄を貸し出すことで第1・四半期に思わぬ利益を上げた旨も最近のロイター記事で見かけた。株式が公開されて間もなくのリクイディティ乏しいなかで、需要の多いものにはプレミアムが付くワケで跳ね上がる貸し株料率が旨みという。

しかしタイトな環境といえば今は市場から無きライブドアの前身、オン・ザ・エッジの分割劇で新株発行までのタイムラグ絡めて暴騰したのがいまだ記憶に新しく、寧ろスクイズが連想されてしまうが裁定含めこの手はいろいろ需要もあるのだろう。まあ本邦の場合は比較的ガラス張に近く小口が集まったショートは最近スクイズされ易くなってきたし、付随的にまた逆日歩も一寸前に比べれば一日天下で無くなってきたあたりが以前と地合いの変化を感じるともいえる。


ソフトサウンディング

本日の日経平均は手がかり材料難で方向感のない薄商いの中を僅かに反発して終了、業種別では石油ポストがしっかりな反面、証券ポストは軒並み安で値下がり率トップとなっていた。さてこの石油と証券のキーワードで先週話題になっていた件といえば、周知の通り東証一部の国際石油開発帝石が一昨年に実施した公募増資に絡み、インサイダー取引が行われたとして証券取引等監視委員会が中央三井アセット信託銀行に課徴金を課すよう金融庁に勧告した件があった。

この国際帝石株に関しては当欄では既に2年前に「懐かしや帝石」のタイトルで、「もともと同社には以前からファイナンス観測があり、これを読むかのように確信犯的なショートが直近で入っているあたりがなんとも怪しい」と指摘しておき、その3ヵ月後にはこうした物に絡んだ当局の調査に触れ、「出来高ひとつ取っても露骨な事例が存在するのに当局が重い腰を上げずに何時の間にか風化してしまうのが長年疑問であったが、はたして今回の調査では何処まで暴けるのか注目。」と書いた。

それから2年もかかって漸く一部が明らかにされたというワケで、信託銀行がインサイダー取引で課徴金処分されるのは今回初とか。先にAIJ事件でも信託の問題性を少し挙げたが、企業年金と毛色の違う公的年金などはこの手の件では行動が早いだけに今度は解約リスク等も台頭する懸念もあるか。しかしその辺の事情はともかくも、やはり何かこうこれでも小粒な感は否めない。

課徴金といっても運用報酬に基く算定で僅かに5.5万円であるから以前にも書いたようにヤリ得?の部類で、そもそも怪しい商いに占める今回の中央三井の問題玉はそれこそ数パーセントにも満たない割合だろう。スケープゴートよろしく信託銀行初摘発との喧伝だが、問題玉を占める海外籍は高みの見物であろうしまだまだ法改正も議論の余地があろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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