110ページ目   株式

IPO明暗

本日の日経平均は米債務上限問題を巡る不透明感からDOWが急落した事を受けて大幅続落となったが、こんな殆ど全面安の土砂降りの中でも寄り後にグングン買われ後場にはストップ高まで買われ張り付きとなったのが先週末に上場したばかりの「モルフォ」、初値から大台替り三つで依然として人気を集めている。

もともとこの銘柄、公開価格が2,250円であったが初日は終日買い気配で値付かず2日目に漸く初値形成、初値の公開価格に対する上昇率は99%であった3月上場の駅探を上回り今年最高と破竹の勢いであったが、その一寸前に海外でも米ナスダックに新規上場した「ジロー」なるオンライン不動産会社もいきなり公開価格の3倍まで値を飛ばすなどしていた。

先に同じく株価倍増のIPOとなった「リンクトイン」を当欄で取り上げた際は、「ここが口火を切ってはたしてまたネットバブルの再来となるのだろうか?」とコメントしたが、この「ジロー」とていまだに黒字化していない。こんな波が日本の新興市場まで波及してきたか否かだが、先に触れたAIM市場第一号の上場銘柄「メビオファーム」は上場5日目で所謂中心価格に対し76%安で初値形成されるなど明暗も極端である。

主力が冴えない一方で新興中心の中小型へ資金シフトも起こっているが、これまたポスト別では上記の通りはこう色で米債務上限問題という嵐を控えさながら鉄火場ということには変わりないか。


サブの台頭

さて今年に入ってからは2月に触れたPTS取引だが、先月の主力7社(カブッドットコム証券、インスティネット証券、マネックス証券、SBIジャパンネクスト証券、松井証券、大和証券、チャイエックス・ジャパン証券)合計の月間売買代金が初の1兆円超となった旨が過日報道されている。

これをヒストリカルで見ると、10年2月の1,450億9700万円を底に順調に拡大、11年1月には5,000億円を超え、3月には9,800億円台にまで急増した。4月は前月比で減少となったものの、5月は再度増加。先にも触れたが、シェアが2%を超えると市場として無視できないという投資家が多く、利用に一段と弾みがつく可能性も出ている。

売買代金の増加傾向については一部外資が指摘するように、昨年10月に空売りが出来るようになり高速売買をする海外投資家が注文を増やしているという事や、国内ネット系では呼値が取引所売買よりも細かく設定されていることが顧客に浸透してきている事、一部では注文方法の多様化により取引所やPTS市場など複数市場の価格や成立し易さなどを判別し、最良と判断される市場へ自動で注文執行を行うシステムが稼動している事も大きな要因となっているようだ。

最近ではスマホアプリなど情報面の充実も後押しとなっており、欧米で見られたようにPTSの台頭が取引所再編を促進したような動きが日本で起きるか注目される。


素地持つ銀行

さて、このところ地銀でも突如として急落する物が散見される。先週20日には七十七銀行が中期計画説明会で優先株検討の思惑が出たことで後場から急落、その前の週にはあおぞら銀行が、寄り前にトストネットで約3,800万株の大量売買が成立したことから大株主の売り決め観測が台頭し急落していた。

国内ではそんな一件があったが、銀行株株主の一抜けたという穏やかでない話は他のアジアでは7/18付け日経紙一面でも少しだけ触れていたのを見たが、シンガポールのSWFテマセクHDが中国四台銀行のうち、中国銀行、中国建設銀行の株式をLGFVに対する懸念から処分したとの発表も一寸した話題になっていた。

ところで銀行といえば新BIS規制の適用まであと1年半、国内大手銀行の数行も通常業務でで新基準は満たすのはなかなか厳しい。上記の地銀じゃないが劣後債や優先株の変則技でフィイナンスしても自己資本には算入されなくなることから、メガバンク3行のうちいずれかがやむを得ず最後の巨額増資に動くとの観測も絶えない。

このうち増資できるように定款を書き換えた銀行といえば、やはりというかなんともど真ん中なあの銀行であったが、株主総会が終ったのをいいことに増資発表してくる企業も出て来た昨今、銀行勢も今後の動向が注目されようか。


AIM第一号

さて、2年前の2009年6月に鳴り物入りで開設したものの、以降まったく上場実績が無かった東証傘下のプロ向け市場「TOKYO AIM取引所」だが、先週末にはオランダ大使館の近所にある創薬ベンチャーのメビオファ−ムなる企業が同所に第一号としてはれて上場となった。

以前にも書いたように同所は労多くしてナントカの見方が肝心の国内証券会社勢に根強く、何処も審査引き受けに二の足を踏んでいた経緯があったが、果たして今回の主幹事もシンガポール系のフィリップ証券。75万株の新株発行を行う予定であったが、これが直前にマルになった事もあってか注目の初日は900円の売気配で差引約55万株の売物を残していた。

これで連休明けの動向が注目されていたが、前場段階でその売気配は600円台にまで切り下がっておりこの辺は改めてロックアップの重要性を物語るか。しかしもともとのブックビル仮条件が1,200〜1,600円でその前の想定発行価格が1,500円であったことを考えればなんとも厳しい船出となった格好で、マーケットこそ違うが明日はラクオリア創薬が上場を控えておりこちらもどうなるのか気になるところ。

バイオ系は夢のある材料が思惑を呼び易く新興市場などでも既に株価が大化けしたモノもあるが、ポストに加えてベンチャー系は超が付くくらいの浮動玉だけにその辺の管理も課題になってくるだろう。AIM社長は「上場第一号でイメージが出来た。技術、人材、サービスを軸に世界で競争出来る企業を呼び込みたい」としているが、先ずはこの第一号がどういった歩みをするかが注目されよう。


頭隠して尻隠さず

本日の株式市場では東証一部のエルピーダメモリー株が後場から増資報道によって急落したのが一際目立っていたが、この株といえば直近でまたまた出てきたのが周知の通り経済産業省の審議官だった資源エネルギー庁の前次長による同株式を巡るインサイダー取引容疑だ。

経産省絡みといえば、05年にも産活法を担当していた係長が米コダック日本法人のTOBに絡んで東証二部のチノン株でこっそり小遣いを稼いだインサイダー取引で摘発されているが、またまたスケープゴートなのかどうなのかこれらが表面化した格好だ。余談だが自分でイニシアチブを取れるならしっかり仕込みそうなものだが得た利益が数百万とか、前の係長も仕込んだのが4万株一寸となんとも慎重なのが役人キャラを表していて面白い。

さてこんな部分に慎重な一方で、前回の係長事件に触れた当時の当欄で「情報は一流であったが妻の口座を使う等、張り方が三流もいいところで未だ未だ素人〜挙げられるのは大方このパターンが多い」と書いた通り、一番気を付けなければならない部分がマヌケでやはり今回も妻名義の口座を使ったパターンで見つかってしまっている。

しかし5月くらいから今頃になってあの破綻したスルガコーポレーション株式やらジャストシステム株式やらのインサイダー事件が取り沙汰されているが、増資絡みのヤツとか依然としてなかなか規模の大きなもモノは表に出せない事情もあるのかなとも感じる。そうそう、最後に上記のジャストシステム株式もやはり妻名義の口座で発覚していたが、こちらは女優の菊池麻衣子さんというからこの辺もなんともなあという感じだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2024

11

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30