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本末転倒

さて、序盤は軟調であったもののアウトパフォームセクターが物色されて昨晩のNY DOWは小反発であったが、この米株といえば9/27付の日経紙国際面では、実態が見えにくい自動プログラムによる高速売買が市場を不安定にしているとの批判を背景に米株式市場ではこの高速取引を巡る規制論議が浮上している旨が載っていた。

最近では大量の株式売買注文を出し、瞬時に注文を取り消す所謂クォートスタッフィングについてSECの調査が行われている旨も報道されており、またSEC側は正式にコメントしてはいないものの、極端な低位株に対して売買両方の注文を出しリベートを稼ごうとする動きもあるとこの辺の疑いについても調査している模様である。

ところで、もう少し前の9/21付日経紙一面には、日米欧主要市場の8月売買代金合計が3兆ドル弱とリーマン・ショック直前の08年8月に比べ3割強少ない水準にとどまるなど先進国株式市場で売買の落ち込みが鮮明になっている旨も載っていたが、同紙に書いてある値上がり期待が持てない事のほかに、この高速取引もその一因ともいわれている。この導入によって今年の一月にコメントしたように従前のディラー勢が相当数リストラされ、同様にスキャルパー連中なども押して知るべし。注文形態は近年飛躍的に伸びたが、これによって始動後度々と述べてきた瞬間乱高下のケースでは思わぬ逆指オーダーが値幅制限拡大で深くなった事にも因ってヒットしてしまう弊害も相当数出ている。

そんなワケでこうした筋が軒並み離散、短期筋の存在がバカにならないのはFX市場でも規制施行後に軒並み売買額が急減しているのを見ても明らかで、取引頻度の低下も元を辿ればこんなところに結びついてくるのかもという部分でやはり原因の一部というのもあながち的外れではあるまい。大口玉優先政策がこうした小口を蔑ろにし、本来の目的どころか現況を更に悪化させているという本末転倒な一部現象も憂慮すべきだろう。


天網恢恢疎而不漏

本日の日経平均は往って来いの反落となったが引き続きセクター別で高下の末に弱さが目立ったのは消費者金融株か。渦中の武富士は僅かに比例配分があるストップ安張り付きであったが、折しも権利付き取引最終日に各紙で報道されたのは、かつて消費者金融最大手を誇ったこの武富士が会社更生法適用を東京地裁に申請するという報であった。

過払い請求の嵐に改正貸金業法施行とただでさえ厳しい環境下にあって破綻か否かの明暗を分けたのは結局銀行団の後ろ盾があったかなかったかであろう。今回の同業他社の下げ方もその辺に則しているようにも見えるが、一方でその後ろ盾となっているメガバンクにも今後ダウンサイドリスクが浮上するかなんとも不透明。

先に商工ローンも上場組のSFCG、そしてロプロが順次破綻の道を辿るなど、外部からの招聘に排他的な姿勢だったグレーな部分を生業にして栄えた企業は最後には別なグレーな物の食い物にされて市場から退場していったが、近年の例では商工ローンと前後して来るのはこの消費者金融が時間の問題だったか。

しかし、消費者金融株といえば直近では各社の利息返還請求件数が大幅に減少したことが好感され連休挟んでこのポストは軒並み急騰となっていただけに、ここで飛びついた向きはなんとも厳しい。しかもこの中では武富士が35%減少と、他社の20%水準と比較し最もその幅が大きかった事で同社の買残が増加しているあたりに読み取れる。

存亡の危機がいわれている超低位株にあって飛び込んでくる明るいニュースや発言には飛びつきたくなるが、ロウソクは最後が一番明るい。市場から姿を消したJALも要人のリップサービスで紙くずになる直前には急騰する場面があったが、結局は恰好の受け皿にされた揚句に掴んだ向きには株主責任だけが待っている。


日経平均株価60周年

今週のアタマには日経平均株価構成銘柄の定期見直しにより三菱レイヨンとクラリオンが外れ、新たに日本電気硝子と東京建物が新規採用となる入れ替えがあったが、この日経平均株価といえば昨日は算出開始から丁度60周年であった。

そんなことから日経紙始めとして各所で取引高ランキングの変遷やら大きな出来事などを載せていたが、こうしてみると当時がその時に流行ったほかのものと一緒に思い出され、ある意味ノルタルジックな気分にもなるもの。

60年代の証券不況などはさすがにわからないが、ブラックマンデー以降のバブル期含めた時期などは本当にいろいろな出来事があった。証券会社もまだ仕切り、それに大量推奨販売等なんでもアリだったが、それもまだ受け皿となって回せる銘柄がゴロゴロしていたという素地もあったからだ。

先物を創設してからほどなく日経平均株価は史上最高値を更新したが、平均株価採用銘柄やそれらの出来高変遷と同様に投資家の層や嗜好も時代と共に変わってきている。それはそれでまた面白いのだが、一方では上記のバブル時代の規制が甘かったボラタイルな市場が時折懐かしく思えるのも否めないところか。


体重こそ違うが・・

さて、本日の日経平均は米景気減速に対する悲観が若干後退した事もあり4日続伸となった。個別では先週全般急反発の中でも冴えなかった主力のトヨタなど自動車株も続伸歩調となっていたが、このトヨタといえば先週には大引で初めてホンダに株価を抜かれたことが一寸話題になっていた。

この逆転現象、今年の2月にもあったがそれはザラバの話。今迄書いてきたように様々なシーンでこうした現象が起こるが、今回はホンダの新興国での二輪車販売好調とトヨタの販売苦戦という素地があった中、その貸借倍率の違いという構造もこれらの主因になっていたと思われる。

また、設定している想定レートは違うが、1円の円高でトヨタが300億円の営業利益減に対してホンダのそれは170億円となっているあたり為替相場の影響は周知の通り。株式相場に左右される証券ポスト、コモディティーのそれは商社ポストなど相場株は多いが、同様に輸送用機器ポストの名とは云っても結局この手も相場モノのカテゴリーなのは間違いない。

ところで逆転といえば、その地盤沈下から取引所など中国に次々と逆転されてきたが、先にはGDPも日中の逆転が報じられている。話題になった上記の両社株価逆転も一日天下で従前に戻ったが、はてこちらの方は従前に戻る日ははたして来るのであろうか?


乗せ易い素材

本日の日経平均は急反落となっていたが、新興市場ではまたも虚偽の財務諸表を前提に新規上場や公募増資が行われていたということで上場廃止が決定したシニアコミュニケーションも連日の暴落を演じている。

怪しい増資といえば未上場ではあるが、先週にはバイオ燃料会社を謳う日本中油なる会社が架空増資の疑いとかで東京地検特捜部から家宅捜索を受けているとの報もあった。同社は中国最大の石油国営企業「中国石油グループ」の日本法人を謳っているが、近年中国を語ったファイナンス系の話がまた増殖しつつある。

実際に株式市場でも数年前から中国ビジネスへの進出をネタにしてインチキ相場を作った銘柄は山ほどあり、その後の枯れ?果てた姿も実に谷深しそのものであるが、現在も背後に中国資本介入やら裏上場の噂やらでどう見ても不自然な化けかたをした銘柄は依然多い。

他にもファンド系など国が国だけに当事者連中にしか真贋は解らず、煙に巻いているうちに練金が行われている疑いが濃厚だが、当局の挙げる基準ってどうなのだろう?まだまだ堂々と資本市場から資金を巻き上げる向きが数多横行しているが、これはおかしかったと騒ぐのはいつも可也時が過ぎてからのことである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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