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歩み寄りの逆さ合併?

お盆休み真っ只中で薄商いの本日の株式市場で、久し振りに元気印だったのは大証と大阪がマザーの主力物であった。これは先週末に一部報道の通り、統合交渉を進めていた東証と大証の間で東証がTOBをかける形で大証を子会社化する方向で大筋合意、公正取引委員会との事前調整に入る旨が明らかにされたことに因るもの。

この両者、最近まで東証のIPO案などあったものの大証はそれが前提では交渉続行は不可能としていた経緯もあったが、直近まで知られるところでは三案浮上していた。すなわち株式交換案、TOB案、TOB案(上限付き)の三つであったが、株式交換案を除いては大証側がこれまた難色を示していた過去があることからすると大証側がここで歩み寄ったという格好にも見える。

ただ、報道されているものは上限付きTOB案で一致しているものの、その出資比率についてはいまだ不透明感漂う。50%なのか66%なのか、後者なら重要案件決定の際に大きく影響力を持つことになるがこれをも大証側がはたして呑むか、また東証とてこれだけ抑えるとなると時価でもざっと700億円以上、これに当然TOBにはプレミアムが乗ることになるから1,000億円前後にも膨らむ金額が財務を圧迫することになる。

加えて既に上場している大証が存続会社となるならこれは所謂逆さ合併、株主からも見方によっては裏口上場との批判が出ないとも限らずまだまだ予断は許せない状況。世界的な再編気運で国内でも危機感は想像に難くないが、この手の取引所モノは海外でも大型縁談が破談になるケースが続出している昨今、今年に入ってからも思惑が出ては消えまた出るというような繰り返しを続けてきた両者の縁談が現実の物となるかどうか、今後の調整等が焦点になってくるだけに注目したいところ。


指数と企業事情

昨晩の米株式は、終盤に再び突っ込むも異例の超低金利政策を13年半ばまで継続との声明を手掛かりに一転して急騰、それを受けた本日の日経平均も若干はしっかりであったが昨日後場に喰っている分があったのでそこそこの上げにとどまった感。

しかしコアものなど見ているとなんとも弱々しい印象は否めないが、先週入れ替えになった日経平均構成銘柄の新顔もまた然り。アマダにソニーフィナンシャルホールディングス共に揃ってマイナス、やあおぞら銀行はプラスといっても1円高にとどまっていた。

ところでこの入れ替えによって当然ながら除外も出て来るワケだが、みずほFGによる統合・完全子会社化で外れの規定路線であったみずほ証券とみずほ信託は果たしての除外、この手の完全子会社化では先にパナソニックなどがあったが集約された一社にかつての企業群がブラ下がるという構図は今後も増えてくるのは想像に難くはない。

まだ現実のものとなっていないながらも新日本製鉄と住友金属工業も経営統合の予定があり、直近では一部フライング記事?ともいわれている日立と三菱重工の縁談話もあった。しかしこんな調子で次々にメガ企業が誕生するとなると、日経平均などその指数の性質も従来とは変わったものになってくるかもしれない。


IPO明暗

本日の日経平均は米債務上限問題を巡る不透明感からDOWが急落した事を受けて大幅続落となったが、こんな殆ど全面安の土砂降りの中でも寄り後にグングン買われ後場にはストップ高まで買われ張り付きとなったのが先週末に上場したばかりの「モルフォ」、初値から大台替り三つで依然として人気を集めている。

もともとこの銘柄、公開価格が2,250円であったが初日は終日買い気配で値付かず2日目に漸く初値形成、初値の公開価格に対する上昇率は99%であった3月上場の駅探を上回り今年最高と破竹の勢いであったが、その一寸前に海外でも米ナスダックに新規上場した「ジロー」なるオンライン不動産会社もいきなり公開価格の3倍まで値を飛ばすなどしていた。

先に同じく株価倍増のIPOとなった「リンクトイン」を当欄で取り上げた際は、「ここが口火を切ってはたしてまたネットバブルの再来となるのだろうか?」とコメントしたが、この「ジロー」とていまだに黒字化していない。こんな波が日本の新興市場まで波及してきたか否かだが、先に触れたAIM市場第一号の上場銘柄「メビオファーム」は上場5日目で所謂中心価格に対し76%安で初値形成されるなど明暗も極端である。

主力が冴えない一方で新興中心の中小型へ資金シフトも起こっているが、これまたポスト別では上記の通りはこう色で米債務上限問題という嵐を控えさながら鉄火場ということには変わりないか。


サブの台頭

さて今年に入ってからは2月に触れたPTS取引だが、先月の主力7社(カブッドットコム証券、インスティネット証券、マネックス証券、SBIジャパンネクスト証券、松井証券、大和証券、チャイエックス・ジャパン証券)合計の月間売買代金が初の1兆円超となった旨が過日報道されている。

これをヒストリカルで見ると、10年2月の1,450億9700万円を底に順調に拡大、11年1月には5,000億円を超え、3月には9,800億円台にまで急増した。4月は前月比で減少となったものの、5月は再度増加。先にも触れたが、シェアが2%を超えると市場として無視できないという投資家が多く、利用に一段と弾みがつく可能性も出ている。

売買代金の増加傾向については一部外資が指摘するように、昨年10月に空売りが出来るようになり高速売買をする海外投資家が注文を増やしているという事や、国内ネット系では呼値が取引所売買よりも細かく設定されていることが顧客に浸透してきている事、一部では注文方法の多様化により取引所やPTS市場など複数市場の価格や成立し易さなどを判別し、最良と判断される市場へ自動で注文執行を行うシステムが稼動している事も大きな要因となっているようだ。

最近ではスマホアプリなど情報面の充実も後押しとなっており、欧米で見られたようにPTSの台頭が取引所再編を促進したような動きが日本で起きるか注目される。


素地持つ銀行

さて、このところ地銀でも突如として急落する物が散見される。先週20日には七十七銀行が中期計画説明会で優先株検討の思惑が出たことで後場から急落、その前の週にはあおぞら銀行が、寄り前にトストネットで約3,800万株の大量売買が成立したことから大株主の売り決め観測が台頭し急落していた。

国内ではそんな一件があったが、銀行株株主の一抜けたという穏やかでない話は他のアジアでは7/18付け日経紙一面でも少しだけ触れていたのを見たが、シンガポールのSWFテマセクHDが中国四台銀行のうち、中国銀行、中国建設銀行の株式をLGFVに対する懸念から処分したとの発表も一寸した話題になっていた。

ところで銀行といえば新BIS規制の適用まであと1年半、国内大手銀行の数行も通常業務でで新基準は満たすのはなかなか厳しい。上記の地銀じゃないが劣後債や優先株の変則技でフィイナンスしても自己資本には算入されなくなることから、メガバンク3行のうちいずれかがやむを得ず最後の巨額増資に動くとの観測も絶えない。

このうち増資できるように定款を書き換えた銀行といえば、やはりというかなんともど真ん中なあの銀行であったが、株主総会が終ったのをいいことに増資発表してくる企業も出て来た昨今、銀行勢も今後の動向が注目されようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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