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昼休み廃止論

今週は大証がイブニング・セッションの終了時間を従来の午後8時から同11時半まで延長する事になったが、初日はイブニング・セッション取引高全体の約3割が延長した午後8時以降の取引であったなど順調にスタートした模様である。

さて取引時間延長といえば、本日は各大手紙で東証が現在午前11時から午後0時半に設けている昼休みの撤廃を含めた取引時間の拡大について検討に入った旨が報道されていた。アジア市場では上海など同様に昼休みを設けているが、欧米主要取引所は昼休みを設けないのが主流でグローバルな流れからもそういった機運になってきたか。

まあそれ以前に上記の大証との調整もあるのだろうが、巷の意見は様々。昼休みがどうこうと原始的な反対論から、前引け後場寄りのギャップでスキャルピングやっている向きも多くこの辺もアンチ派?ただアルゴリズム取引の台頭で昔のように板読みが出来なくなってきた部分もあり、この手のディーラー勢はまたネタ?が消える。また、企業も昼を利用していたディスクロ対応など再考の余地が出て来るだろう。

とはいっても今や場立ちや笛吹きも無くなり、超高速対応のアローヘッドが稼動する時代、SGXも稼動する中ギャップ自体も元々不完全からくる歪みともいえる。連休分割論でも取引所のあり方が論議されているが、時代の趨勢で流れはそういった方向がやはりお約束になってゆくのだろうか。


高速売買と課題

本日の日経平均は先週末のNY DOWの急反落を映して前場は大幅続落となっていた。さて相場急落といえば先週末の日経紙にはドイツ証券が6/1に先物市場において引き起こした約16兆円分の誤発注について、原因はコンピューターを使った高速売買でのシステムトラブルだったと載っていた。

振り返ってみるとこの日は、開始直後に180枚の売り板が1分間に6,900回も出された結果、9,690円で売り板79万枚、9,700円で売り板28万枚と尋常でない板が並び早々にマルにしたものの、開始直後の僅か1分そこそこで前場のボラを形成、当該証券の手は引け後で5,795枚売りの5,081枚買いであった。

ところでこれに先駆けてはこの一ヶ月ほど前にNY DOWが20分そこそこで600ドル超の急落を演じた事件があり、今回のケースでは値幅制限のロックがあるとはいえ、カバーの発注方法等一歩間違えばこの程度の話題性には十分であろうし、実際に寄与度の大きいものに当たった場合は体感温度としてその下げは値幅制限さえ感じさせないものになるのは既に経験済みである。

また直近でも日経紙にて「東証、また瞬間的乱高下」として別子やオリンパスの瞬間的な株価乱高下の様も載っていた。東証では両銘柄共に誤発注とは認識していないとしているが、こんな瞬間的乱高下はアローヘッド稼動後に幾らでもあった。上記証券の例もそうだが二次的な乱高下に対するセーフティーネットのような物の必要性が問われてくるのは必至か。


退潮と躍進

ちょうど一年前の7/14付け当欄では「時価総額下克上」のタイトルでコメントしていたが、本日の日経紙には6月末の株式時価総額で見た世界の企業ランキングが出ており、昨年末と比べると収益の先行きの懸念等などから石油会社など資源関連の退潮が目立つなど、個々で勢力図が変化している旨が目に留まった。

この資源に限らず最近話題になったものの中には、立て続けにヒットを飛ばしている米アップルとマイクロソフトの時価総額が逆転しその主役が交代したのも有名なところ。また急減組としては原油流出事故でほぼ半分となってしまった英BPがあるが、規模こそ違うが昨日書いた国際帝石も株価下落でそうしたパターンか。

けっこう意外だったのは躍進が続いたペトロチャイナなど中国勢の減少があった点か、この辺は東証が今年上期の売買代金で3半期ぶりにアジア首位の座を奪還した裏で、上海証券取引所など35%減と振るわなかったのにも見られるか。

一年前はもっと狭義で国内企業のテーマ別に堅調組と苦戦組の時価総額逆転をコメントしたものだが、世界規模で捉えるとまた違った視点で見えてくる。今回は相対的に日本勢が浮上したが、次回の勢力図はまた変化ありや否や非常に注目である。


懐かしや帝石

昨日は中国のコークスに触れた事もあってザッと資源関連株を見ていたのだが、中でも目立っていたのは前日にストップ安まで叩かれていた国際帝石の急反発であった。ちなみに本日も外資系のレーティングアップ等で見直されて続伸となっているが、ここ直近の下げはダラダラとした下落の最後?に相応しいものであった。

週末にストップ安で東証一部値下がり率トップを演じた背景には、周知の通り公募増資で最大5,872億円を調達すると発表したことがあるが、国内事業会社としては今年最大級の増資である。なにせ新株は最大130万株にのぼり、現在の発行済み株式数が約235万株であることから約55%にもなる計算だから凄い。

もともと同社には以前からファイナンス観測があり、これを読むかのように確信犯的なショートが直近で入っているあたりがなんとも怪しいが、それにしてもかつての野村やNECのファイナンスが普通に見えるほどの希薄化はサプライズであった。

しかし、今まで触れてきた金融系に限らず事業会社も自己資本増強の用が依然強いことを改めて認識。株価下落から時価総額も同社はJXホールディングスに首位の座を譲り渡す事となったが、今後も事業系ではこうした構図が彼方此方で見られる可能性が高いか。


金の果実シリーズ

さて、先週の金曜日に三菱UFJ信託銀行が発行した「貴金属上場信託(国内保管型)」が上場してから明日で一週間が経過する。今迄、商品系のETFには何度か当欄で触れてきたが、今回のものは貴金属対象の国内型としては業界初である。

初日の商いを振り返ってみると、このうち「純金上場信託」はご祝儀も入ってかやや上鞘の3,600円で寄付き引けでは3,400円台に落ち着いたものの、売買代金は1億3千万越えとなかなか。この手では首位を誇る「SPDRゴールド・シェア」の同日の売買代金が約7億7千万、大証に上場している「金価格連動型上場投資信託」は約3億8千万、同じ大証の「国内金先物価格連動型上場投信」が約1,600万、そして「ETFS金上場投信」が約6百万であった事を考えると今後にも期待が持てよう。

正直なところ売買代金の一億円超えは予測していなかったが、2日申し込み時点でも「SPDRゴールド・シェア」等の主力と共に買い残を積み上げておりまずまず。やはり現物の裏付け、それも当の三菱信託が「貴金属現物が日本でしっかりと保管されています。」と謳っているように、国内で直接管理という安心感から資金もこの辺へ向かったのか。

この手の現物裏付けがあるETFとしては、上記の同じ東証に上場している「SPDRゴールド・シェア」があるが、このロケーションを日本に移したようなモノか。2006年の信託法改正でこの手の仕組みを使ったETF発行が可能になったが、これはまた受け渡し単位も可也小口化されておりこの辺の嗜好性から現物需給の引き締め要因となるや否や、その構造上からも今後に注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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