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スカイツリーで上下?

さて、先の日曜日には建設中の新電波塔「東京スカイツリー」の第一展望台が始めて報道陣に公開されたが、この東京スカイツリー、この時点で609メートルとワイヤ等で支えない自律式電波塔としては世界一の高さを誇っており、更に今月中には目標の634メートルに達する見通しとか。

ところで、この東京スカイツリーの完成によって最も恩恵を受けるであろうとされているのが筆頭株主の東武鉄道だが、その株価の方は先の40年ぶりの公募増資の発表で急落し、本日もまた年初来安値更新となっている。増資に因る希薄化が約2割とするとほぼこの辺で一旦は一息つきそうなものだが、それにしてももともとPBRも同業に比べて割高であったので格好の売り対象にされてしまったようだ。

このファイナンスだが、昨日には新株発行価格が1株346円に決まったと発表している。当初は資金調達額が最大で932億円などとしていたが、株価下落で720億円となる見通しだ。このファイナンスは銀行借り入れ増を見越しての利払い負担抑制狙いだが、業績に寄与する効果が見えない為にこの辺が今迄の増資で逆に株価が上がった企業群とは違うところ。

日々東京スカイツリーが上に伸びてゆくのとは対照的に、胴元の株価は連日の安値更新と下に落ちてゆくさまは何とも現実的だが、本日の年初来安値で目先底打ちなるかスカイツリー共々注目される。


アノマリーあれこれ

昨日の日経紙Monday Nikkeiの項では、株価の周期性や割安・小型株効果等と絡めての所謂「株価のクセ」について載っていた。冒頭には米大統領選挙の前年には株価は堅調になり易い例が書いてあったが、確かにこれは長年いわれてきたことである。

この手では日本でも新首相誕生後は株価が上昇し易いとされるが、2000年以降では上昇といっても数日、時が経つほど下落し易いと或る意味誰でも納得できるのでショートするには一つの参考になるだろうか。

他には毎年年末年始あたりに書いている「干支と株価」、今年も年初に書いたが「卯、跳ねる」の平均騰落率は戦後で3位、そして次に続くのが十二支中で最強パフォーマンスを誇る「辰」ということで安心感があったが、日経紙にも出ていたように月別でもアノマリーがあり勝率、平均騰落率は1月が年間でトップ、日経紙には秋口に下落しがちと書いてあったが、ならばこれら二つのアノマリーから昨年末に仕込みすれば年明けには短期利食い出来る筈という構図だが、なるほど余程変なモノを掴まない限りどれを買っても確かに取れていた。

日経紙でも盲信は危険と書いてあったが、げんを担ぐのも一種の兜町イベント、しかし昔は笛吹きやらいろいろとあったものだが、今や凄まじい早さの高速取引が台頭しサロゲートやアバターよろしく生身の人間がタッチ出来る部分はごくわずかになり、こうしたげん担ぎもだんだんと少なくなったものだとつくづく。


非上場メリット

今日ではや二月も終るが、今月特に目立ったと感じるのはやはり上場企業のMBOの動きであろうか。中旬には紆余曲折あった幻冬舎もMBO成立の運びになったが、今月の新規モノではザッと挙げても、先ず上旬のワインのエノテカから始まってレンタル屋のCCC、引越しのアートコーポレーション、メッキの田中亜鉛鍍金と立て続けであり、今年に入ってからは合計で6社とこれは過去最多のケースではないか?

TOBの対象企業は当然ながら鞘寄せ急騰パターンが殆どで市場では次の候補探しに躍起になっているが、どれが来るか判らぬものより手っ取り早くとM&A助言会社などにも物色の矛先が向かっている。

それはともかくMBOの背景にはいろいろとその理由が考えられるもが、これは以前に業界のユニコムグループホールディングスを取り上げた時に書いた通りで、株価の長期低迷環境の中で資金調達の用と監査法人コスト等を天秤にかけるに無駄な部分も多く、他はやはり一部株主の鬱陶しさ?というのも大きい。まあ、単純に上場メリットよりも非上場メリットの方が大きいからに他ならないということだろう。

こうした動きに関して東証社長などは定例記者会見で「投資家を愚弄している」と苦言を呈していたが、上場承認したのも東証であるしあまり株価云々を持ち出すと薮蛇になりかねない。こうした動きも新陳代謝の一環と思い、IPOの誘致、サポート強化など課題があるのではないか。

そんなワケで、今年最初の当欄では最後に「今年もまたM&AやMBO等で商機ありという流れが個別で続くか」とコメントしたがやはり早くもそういった動きが加速、やはり上記の通り過去最多というのは確定で企業統治など今の構図を考えるに今後も親子上場の問題も加えてこうした動きが止ることはないと思われる。


ランチトレード

さて大証が「J-GATE」を稼動させ昼休みを廃止してから2週間が経過しようとしている。大証によれば、最初の週に売買された従来の昼休み時間帯のデリバティブ商品は5営業日合計で22万2,627単位とこの間に総出来高の7.4%にとどまった模様。

この昼休み廃止に関しては2/8付けの日経紙「まちかど」欄で、「ランチトレード」に期待として証券会社が会社員などの個人投資家が昼食時間中に携帯電話などで売買する「ランチタイムトレード」を当て込んでいる旨が書かれていた。昼休み中に先物が取引されれば、中国・上海市場などの動きを反映し易くなり後場の現物株も先物の影響を受け、現物・先物とも注文が増えるとの皮算用があるらしい。

しかしここ最近のマーケットは中東情勢を睨んでボラが出てきたとはいえ、まだまだ海外頼みで先物は独自でのトレンドを描きにくくなっているのは否めないところ。そんな事情で裁定抜きもより狭くなっているところへ、一般の個人がランチタイムに飛び込んで小遣い稼ぎをするのは容易ではあるまい。

それでもなんとか先物を知って貰おうと個人へ応援キャンペーンの類は各社いろいろと工夫している。一部の証券会社は期間限定で昼食時間帯の売買手数料ゼロを検討したり、キャッシュバックあり、ロスカット口座を導入したりと顧客争奪戦が活発になっているが、これが奏功して本当にリクイディティの一端を担うようになったらそこからが真の商機であると思う。


ご当地ETF登場

本日は、名証などが東海地域の主要50社の株価指数に連動するETF「MAXIS S&P東海上場投信」通称・東海ETFを上場した。このETFについては3日に当欄でも一寸触れたが、生憎の悪地合の中での登場とあって寄り天となってしまったものの、ブランド力のある自動車関連など含むだけあって売買代金は8億6千万円となかなかの商いを集めた。

地域貢献を謳い文句に「ご当地ファンド」なるものはこの中部地区でもトヨタグループファンドなどを始めとし全国に幾つもあったが、対象企業の所在地を限定し、地元企業の株価に連動するという所謂「ご当地ETF」というのは日本では初めてのタイプか。

さて名証といえば、先週末の日経紙「まちかど」欄で低迷続きの名古屋銘柄がにわかに活況との件が出ていた。昨年一年間の名証指数は10%安に沈んでいたが、ここにきてトヨタが業績予想を上方修正し自動車関連銘柄が買われたことが背景となり名証一部地元株指数は昨年末から14%上昇し、福岡(7%)、札幌(6%)を上回る伸びという。03年4月から07年7月の株高局面でも名証指数は2.6倍と日経平均の2.4倍を上回り、景気回復が鮮明になるほど、名古屋銘柄は上振れるという。

最近では数あるETFの中でも、コモディティーものなど突飛高したり息の長い上げ相場を演出しているものも出てきており上記の件と絡めなかなか侮れない部分がある。このETFは上記「ご当地ファンド」のように地銀などの販売網が存在しないだけにどの程度盛り上がるか未知数だが、ご当地モノの今後を示す試金石となるか注目したい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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