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市場の足枷

さて、NYが休場となった本日の日経平均はまさに凪のような相場で狭いレンジで小動きとなった。個別では出遅れモノが物色される一方で、超節電型データセンター関連を囃し暴騰した日本ラッド等が反動から昨日のストップ安に続き本日も続落となっていた。

しかし最近は材料だけで食い付きが凄い。昨日は週明けの日経紙一面でレアアースの巨大鉱床が太平洋海底で発見との報材料に、海洋資源開発の日本海洋掘削は14%高、ボーリングの鉱研工業が17%高、石油・ガス生産設備の三井海洋開発も急伸など軒並み高、当該会社側からは市場の思惑が大き過ぎるとの戸惑いの弁も出ているが、民間のみの実施には難題も多く戸惑うのも当然だろう。

他にも先の小笠原諸島の世界遺産登録の報を受け、グループで此処への交通手段を独占しているということから株主優待連想も絡んで東海汽船がストップ高まで暴騰したが、そもそもこの優待は小笠原航路では使用不可な上に世界遺産でここまで買い上げてしまうのが凄い。業績への影響が未知数という意味では昨日書いたヤマタネのコメ先物上場を囃した急伸も同様、同社ではあくまで試験段階の話、すぐに業績への影響はないとしている。

何れも主力の部類でなく一日天下というモノも混在であるが、やはり主力に腰を据えて取り組めないのは当の国会が脆弱なままに他ならないからだろうか。本日も松本復興担当相が被災地での失言を理由に辞任の報があったが、つい先月末の就任からわずか一週間そこそこのスピード辞任というお粗末さ。よくもこう次々と阻害する材料が出て来るものだが、この辺が解決しない限り本質的な主力の立ち直りは先延ばしになりそうだ。


ヤリ得?

本日の日経平均は続伸し久し振りに75日線をクリヤしてきたが、出遅れポストやここ原油安で冴えなかった資源系の国際帝石も戻してきた。ところで国際帝石といえば当欄で昨年夏に取り上げた通りの大規模ファイナンス銘柄だったが、金融庁は企業の公募増資に関連した不公正な取引を防ぐ為に、増資発表後に空売りした投資家への増資で発行される新株取得を禁止する等の新規制を今秋にも導入する方針を固めている。

今迄この辺のオイシイ仕組みは2年前にも「公募増資利用型手法」としてコメントしたことがあったが、漸くココへもメスが入るという運びか。しかしそのまま「インサイダー取引」というイメージが薄いのかどうなのか日経紙に出ていた内容では金融商品取引法違反として30万円以下の過料という。

この過料なるものだが、解釈では刑罰ではない軽い犯罪のジャンルでありこの手の取引にしてこれは随分寛容な考えだなと。逆に言えばペナルティーがその程度の額で済むならば必要経費の範疇で幾らでも実行に移す輩も出てくる可能性はある。この手は線引きが非常に難しいが中途半端に固まってしまうことが危惧される。


米市場波及なるか

本日の日経平均は3営業日ぶりに急反落となったが、株式市場といえば先週には東日本大震災で途絶えていた新規上場が約2ヵ月半ぶりに動き始めた。非鉄金属リサイクル事業を手掛ける「クロタニ」がそれだったが、公募価格が仮条件の上限で決まる期待値の高さに反して、蓋を開けてみれば買い物が16万株そこそこしか入らず売り気配スタート、初値は公開価格比30円安と軟調でなんとも肩透かしの結果になっている。

この公開価格割れは3/15上場のアイディホーム以来のこと。同社の公開価格は一応PERで測ってみれば6倍台と一般的には割安感が出そうな水準ではあるが、今の市場では吸収額も気にされ加えて業態の地味?さも足を引っ張った模様だ。

思えばこんな状況は一寸前のちょうどリーマン・ショック時にもあったが、当時はその後に上場して人気化したグリーがそんな低迷ムードを打破した経緯がある。今回のクロタニが上場し現時点で予定されている新規上場は下旬の5社。目先は新規上場銘柄が個人の投資意欲を喚起するシナリオより需給不安の方が先行してしまうという見方もあるが、こんなグリーのような救世主?が現れるかどうか今後の推移を見守りたいところ。

そうそう話は逸れるが、グリーといえばソーシャルゲームサイト業界では直近で公正取引委員会がDeNAを取引先のソフト開発会社の契約行為を妨害したとして排除措置命令を出している。急成長する新興業界の競争の熾烈さを垣間見た一件である。


時価総額下克上・2

さて、先週末の日経紙には「時価総額の逆転相次ぐ」として、ライバル企業の時価総額逆転が株式市場で相次いでいる旨が載っていた。直近では個人情報流出問題から年初来安値を先週も更新したソニーが、1997年以来14年ぶりに日立の時価総額を下回ったという。

この辺は直近での事件も起因しているとはいえ、リーマン・ショック以降の構造改革の成否で明暗が分かれたとしており、この手では他に住生活Gが増加したのに対し積ハウスが減少と出ていた。他には新興国開拓での逆転組としてユニチャームと資生堂、いすゞとマツダ、ネット対応ではサイバーエージェントと博報堂DYがあり今やサイバーは電通に次ぐ業界2位という。

ちょうどこの時期にはよくこうした比較が行われるが今回挙げられていた企業で、2年前に当欄で同様の件について触れた際に登場していたのは日立やマツダ、それに高島屋があったが、当時はこれら全て苦戦組として挙げられていたもの。今回もマツダや高島屋はまたも下鞘に甘んじる苦戦組に入ってしまった一方で日立は堅調組に浮上となった。

こうした時系列で見ると各社の舵取りもまたよく見えてくるが、さて来年はどんな下克上が展開されるのか、また今回の日立の如く苦戦組の浮上なるか否か興味深いところ。


取引所の顧客考

昨日の日経紙投資財務面「一目均衡」には、機関投資家向け電子トレーディングシステムを野村証券で構築した第一人者が三菱UFJモルガン・スタンレー証券へ移籍した話が載っていた。同氏らによる電子取引システムの再構築が軌道に乗れば、証券会社の売買シェアが塗り替わる可能性があるという事で取り上げられたもの。

当欄でも何度か触れたように昨年から東証のアローヘッドが導入されたが、コロケーションサービスもスタート、総注文件数に占める高速取引の割合は当初の10%程度から今年の4月には34%を越えたと日経紙で報じられている。過剰流動性の増加や大震災の影響もあって斯様に注文件数が右肩上がりになるのは想像に難くないが、一方で個人や中小会員はすっかり蚊帳の外となった感も。

時代の趨勢もあって半ばこうした部分は殆ど無視され当然のように障害無くコトを運ぶことが出来たが、着々と大口主体というか外資の計画通りに事が粛々と遂行されているのはこれを含め昨今のリップサービスにも見て取れることである。

一連の計画は、ある意味一部投資家や一部会員の淘汰を促進させることにもなろうが、それでも基本の売買行為自体は当たり前だが変わりようも無い。遠大な誘致計画もまた変えようも無いだろうが、今後は市場に残る一般へもせめて税制面等の調整その他の再考が求められて来よう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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