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重要提案行為

昨日の日経紙総合面には「物言う株主、再び攻勢」と題して、企業の経営に影響を及ぼす狙いがある「重要提案行為」を目的にアクティビストが株を大量保有するケースが相次ぎ、昨年はその数が103件と08年以来9年ぶりの高水準となるなど世界的なカネ余りや株高で資金力を増し日本株市場への攻勢を再度強めている旨が書いてあった。

上記のカネ余りの背景の他にも15年から導入されたコーポレートガバナンス・コードも活動の追い風となっている模様だが、この辺が窺えるのがやはり昨年の黒田電気の株主総会において旧村上ファンド系の投資ファンドである大株主のレノが提案した人事案が8年ぶりに承認された出来事が記憶に新しいところ。

先にTOBの話で取り上げたアサツーDKや日立国際電気も、アクティビストである英シルチェスター・インターナショナル・インベスターズやエリオット・マネジメントがそれぞれ絡み買収価格の低さを指摘していたが、目下のところジャスダック市場の東栄リーファラインも上記の旧村上ファンド系の大株主がTOB価格の低さを指摘し一先ずMBOが不成立となっている。

確かにPBRが1倍を切る現状ではMBOに応じる株も集まりようが無いが、異端扱いされていたかつてはそんな検討に値する提案さえ賛成票を投じるのが躊躇されていたものがコード導入によって壁が崩れた功績は大きい。キャピタルゲイン効果も無視出来ないモノもあり今年もアクティビストの動向は益々注目されるところ。


新興統合

本日の日経平均は史上最高値を更新し続けている米株高を背景に年初来高値を更新し、ザラバながら24,000円の大台に乗り1991年11月以来、約26年2か月ぶりの水準となった。その裏で今週はジャスダック市場もまた一昨日まで9日続伸となり、1990年7月9日に記録した高値を上回り83年11月の算出開始以来の最高値を付けてきている。

ところでジャスダックといえば、東京証券取引所を傘下に持つJPX(日本取引所グループ)が同じく新興企業向け株式市場マザーズとで両者統合する方向で検討に入った旨が年明けに報じられている。これら両者は東証傘下になる以前はそのカラーというか棲み分けが比較的明確化していたものだが、現況ではその色も薄れてきていた感は否めない。

JPXは今年半ばから3年展望を示す中期経営計画を新たに策定するのに合わせ再編の検討を本格化、単純に時価総額の規模で比較すればジャスダックはマザーズの約倍だがこれらを統合し約1,000社、時価総額約16兆円規模の市場で世界有数の新興市場である英AIM等を見据え、日本の新興市場の位置付けを明確化させ市場の活性化を狙うと読売紙でも書かれていた。

これまで新興市場は東証一部に比べて海外投資家や上場企業の参加が未だ限定的といわれてきたが、算出以来の最高値を付けて来たジャスダック市場など最近では海外勢や機関投資家の資金が流入してきている旨を日経紙では伝えているが、統合でこうした動きを更に促す事が出来るかどうか注目される事になろう。


師走のIPOラッシュ

昨日は今年最大のIPOと注目された佐川急便を傘下に擁するSGHDがはれて上場となったが、注目の初値は公開価格1,620円に対し約17.3%高の1,900円ドタとなり、同じく一部に上場となったアパレルのマツオカコーポも公開価格を46.2%上回る3,800円で初値形成、マザーズでは不動産のグローバル・リンク・マネジメントが公開価格2,620円に対して実に約2.3倍となる6,130円で初値と何れも好スタートを切った。

また本日はマザーズにサービスのエル・ティー・エスが新規上場となったが買い気配のまま初値は持ち越し。同様に公開価格2倍以上となる気配値上限で値が付かず持ち越しとなっていた昨日ジャスダックに上場の画像処理検査装置のヴィスコ・テクノロジーズは実に公開価格の約3倍で本日初値を形成となった。

こうした事も背景に冒頭のSGHDも本日は大幅続伸となっていたが、過去1年間に上場した企業の値動きを示すQUICK IPOインデックスは11年2か月ぶりの高値水準となっている。今年の初値平均も公開価格の約2倍となっているが、いずれにせよ3年ぶりのIPOラッシュとなるこの師走、個人マネーの循環が効き一段の市場底上げに繋がるかどうか残りのIPOも注目される。


燻る思惑

今月中旬に当欄では「アクティビスト台頭」と題しTOBが難航している日立国際電気やアサツーDKを取り上げていたが、先週末の日経紙マーケット面にはこの日立国際電気へのTOB成立を試みている米投資ファンドのKKRが従来のTOB価格から約25%再引き上げする発表をした旨が載っていた。

KKRが一段の譲歩を迫られると当欄でも書いていたが、果たして異例の再引き上げ措置となった。イグジットのハードルが引き上がっただけにKKRはファイナルアンサーとしているが、反落となった本日の終値でもその再引き上げしたTOB価格を上回っており一般含め市場を下回る価格で応募する奇特な向きは如何ほど居ようかと疑問符が付く。

もう一つのTOB期限を一度延長していたアサツーDKの方はといえば、土壇場で筆頭株主のWPPが態度を軟化させ売却合意に向かった事で買い付け期間を12月6日まで延長という事で一応の決着を見た格好となっている。こちらも期限迫るなか三つどもえの構図がどう決着するか見ものと書いていたが、其々の思惑を乗せてまだまだ注目されるケースが続こうか。


IPO終盤戦

本日の日経平均はCMEに寄せる格好で続落となったが、6営業日続落は昨年4月25日から5月6日以来の記録となった。そんな悪地合いのなかジャスダック市場へ新規上場となったのはプレカット木材加工販売のシー・エス・ランバーであったが、その注目の初値は公開価格1,480円を84.1%上回る2,724円となった。

全般相場の軟調地合いもあってあと換金売りが嵩んだものの、最近のモノにしてはその事業内容がやや地味目の印象との下馬評を跳ね返し順調な初値形成である。初値が公開価格を超えるのは今年も順調で、IPO全体では9月末段階で9割の水準にのぼるなど2年ぶりの現象となっている。

そんな資金の好循環もあって過去1年間に上場した企業の値動きを示すQUICK IPOインデックスは先月に約3か月ぶりの高値を付けてきている。来月も佐川急便を擁するSGHDなどの大型上場を控えているが、何れにせよ12月のIPOラッシュもこの好循環のまま逃げ切れるか注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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