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10月のアノマリー

本日の日経平均は急反落し5/30以来約4ヶ月半ぶりの安値水準となったが、それにしても今週は世界的に崩落が顕著になったものだ。米国の金融緩和終了後の不透明感を背景に昨晩のNY市場も一時460ドル安と急落だが、欧州も先駆していたドイツなど今週ZEW(欧州経済研究センター)が発表した独景況感期待指数が前月から更に低下、12年11以来の水準に落ち込みDAXも同様に暴落の憂き目に遭っている。

既に先週からモルガンの225とTOPIX双方への一手売りが先物で目立っていたが、グローバルマクロ系のヘッジファンドなどやはり相場が動く時には果敢に攻め続ける。一部に運用成績低迷も目立つ折、「もうはまだなり」とばかりに執拗にショートの回転を効かす地合いになっている。

そんな背景もあって恐怖指数と呼ばれるS&P500種の今後1ヶ月の変動予測を数値化したVIX指数は先週末に前日から2ポイント超上昇して約8ヶ月ぶりに21台に乗せ、これを受けた連休明けの東証VIXETFは比例配分のストップ高とこの種にしては非常に珍しい光景も見られた。

ダウやS&P500種はこれまで割れる度に切り返してきた200日移動平均線を割り込み、後者は過去3日間の下げが2011年以来で最大となった。上記のVIXもVXVとの比率では1.0割れ水準になり総悲観の感も強いが、果たして数年来の上昇相場も終焉となってしまうのかどうか今後も目の離せない展開になってきた。


再上場組

さて先週は外食大手すかいらーくが東証一部に再上場のはこびとなった。2006年にMBOで非公開化して以来、8年振りの再上場となり注目の初値は公開価格と同じ1,200円、引けは初値より5%安い1,143円であった。

これで計算した時価総額は2,219億円となり、外食では首位の日本マクドナルドに次ぐ規模となったものの、ちょうど株式市場も台風襲来のおり暴風雨のなかでの上場となったことも影響したのか否か上場廃止直前の時価総額2,944億円には及ばなかった。

11年から経営に参画した米投資会社ベインキャピタルは上場後も筆頭株主として発行済み株式の6割超えを保有するが、株価が上がるとベインによる売却が意識されるという見方もある。しかし同じ再上場組では西武の時もサーベラスの影がチラつき初値は肩透かしだったものだが、上場後は約5割も意外?な上昇を演じた経緯がある。

とはいえ外食産業の適正PERは約20倍、同社のEPSから合せてみればまだ高めという見方もあるが、上記の西武等のようにファンド絡みの事情や思惑や年末の優待取りを控え今後もいろいろ思惑含みの展開になろうか。


リキャピタライゼ−ション

一昨日の日経紙一面には「自社株買い高水準」と題して、2014年上期(4〜9月)は三菱商事や東レ等が取得枠を設定し、上場企業の自社株買い金額が1兆8,500円と半期で08年度上期以来6年ぶりの多さになった旨が載っていた。昨日もユーシンなどがこの実施を発表しているが、分母の資本が減少することからROEの改善につながるという事もあって昨今の注目度にマッチした現象ともいえようか。

最近では上記の東レや直近のアデランスなど、CB発行と自社株買いを組み合せたリキャップCBなる物も相次いでいる。企業体はコストの最小化を図れる上にCBもある程度安定した需要が想定されることでなかなかマッチしているようでもあるが、一方では自己資本比率低下には注意しなければならない点も。

また同紙の末尾には自社株買いは株式の需給面でもプラスとの一文もあったが、自社株買い後の消却や処分等そのオペによっては明暗を分け株価が下落する場合もあるから要注意である。とはいえ政府も成長戦略の中核と位置付け、これを重視した新指数JPX400の創設等もあって投資家の判断基準も今やこれ一辺倒?でもあり将来的には玉石混合でもまだまだこの傾向が続く可能性は高いだろうか。


BABA

さて、先週末には周知の通り中国の電子商取引最大手アリババ集団がはれてNYSEに上場となった。注目の初値は公募・売り出し価格の68ドルより約3割高の92ドル70セントとなったが、この段階で時価総額はフェイスブックを抜きグーグルに次ぐ水準の2,300億ドル、創業十数年でトヨタ自動車さえ上回る水準であるから凄い。

さてその熱気やまぬ取引所に姿を見せていたのはソフトバンクの孫社長、創業間もない同社にポンと20億円を出資し約30%を握る大株主だが、これまでのヤフーといいガンホーといい出資先が大化けしてきた経緯があるが、この公開によってザッと8兆円の含み益を弾き出す事となった。しかし10年で投資金が約4,000倍、いつもながらその先見性には恐れ入る。

当のソフトバンクもアリババが米SECに対してIPOの仮条件を届け出た後あたりからこの含みを囃してこのところ急伸してきたが、この上場による材料出尽くし感で週末のお約束の急反落から本日も大幅続落となっていた。しかし、株価と併せ注目すべきはこの巨額の含みを武器に今後どういった采配をするかであろうか。


結果としての時価総額

本日の日経平均は大幅反発し大台を回復、全33業種中31業種が上昇となったが、個別では先週末に思い出したようにストップ高したミクシィなども後場から急動意となっていた。モンストを年末までに北米や韓国で提供するとの報道を囃したようだが、このスマホゲーム系もガンホーのパズドラから始まって息の長い循環を繰り返している。

そういえば先週の日経夕刊の「日本株番付」には新興株の時価総額ランキングが出ていたが、ここでもランキング1位と2位に君臨していたのが上記のガンホー、そしてミクシィであった。ミクシィなどモンストヒット前までこのランキングで15位以下の位置づけであったからその躍進ぶりが凄い。

形成された株価の結果として時価総額はこうなったが、当初はゲームの伸びに各社アナリストのカバーも追い付けず真逆のレーティングも多々見られるなど混乱も多かった。ガンホーは堂々の時価総額1位だが、ピーク時にはあの任天堂を抜き1兆8千億円近くあったから1位とはいえ半分以下にまで急減しており、この辺も睨みながら市場は行く先を占っているようだ。

しかし、この手の新興株も売買代金が重厚長大のコア系銘柄を軽く倍以上抜いて首位に躍り出るなどの日も珍しくなくなったが、こんな背景には所謂「イナゴ投資家」の貢献も大きい。一気に集中しあっという間に離散する投資行動からイナゴと呼ばれる所以だが、とはいえモノによっては10倍近くまで化けるワケだから、それこそこんなイナゴタワーを形成する銘柄などNISAで上手く当てれば非常に旨みもあろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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