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鉄火場祭り

本日の日経平均は米株式の急反発にもかかわらず債券先物急落を嫌気して大幅続落、そんな地合いの中で全市場総合で値上がり率・出来高共に第一位となったのは昨日挙げたスカイマーク株で、昨日同様に1億株以上の出来高を集め50%以上の値上がりとなっていた。

とはいえこの株、パンクして整理銘柄に指定され昨日東証が値幅制限ルールを撤廃した為に一気に30円台にまで暴落して寄り付いており、まさに値幅というより率で勝負の所謂祭り銘柄。本日も昨日の16円安値から前場は2倍以上となる32円まで化けるなど相変わらず祭りに参加するホットマネーは健在である。

しかし昨日ストップ高で買い物を残したオンキョーやsantecなど本日は揃って値下がりランキング4位と5位に顔を出すなど資金の逃げ足は速く、この辺は逆に腰を据えた物色対象難というのを浮き彫りしている。本日も一部のディフェンシブ系が年初来高値を更新しているあたりもこれと併せ一寸不気味なところでもある。


実質還流

本日の日経紙投資情報面には「キャノン、金庫株3割へ」と題して、潤沢な手元資金をもとに自社株買いを続け、2020年をメドに発行済み株式に占める自社株(金庫株)の比率を現在の18%から30%まで引き上げROE(自己資本利益率)など資本効率の改善を狙うキャノンの例が載っていた。

同社のような自社株買いに増配というパターンを見ていていつも連想するのが米のコカコーラなのだが、NISAに好まれそうな一般ウケする高配当を出しつつもこうした金庫株から実質は手元資金が還流してくることになり、これがまた増配などの原資になっている背景というカラクリがある。

そんなワケで昨年末にも一寸触れたように実に26年間もの間増配を続けているというのは主力の他社には見られない現象で一際異彩を放つ。高ROEといえば最近ではこの手に買い疲れが出て同業種の別銘柄への乗り換えが進んでいる模様も一部指摘されてはいるが、金庫株を使った経営政策は今後もさまざまな角度から検討されてこようか。


かろりーな

年末の株式市場は例年のことながら低位の仕手系が賑わうものだが、年があけてもこの手の中には更に勢いを増している物もある。例えば昨日発行済株式数以上の出来高をこなした池上通信やこれまた大商いしたプロスペクトなどがそうであるが、後者は現社名より一寸以前のかろりーなと言った方が腕に覚えのある向きにはピンと来るか。

このプロスペクトは昨年12月にはあっという間に株価倍増したが、その後に同社が業界の豊商事をTOBするとの報が流れ大納会も間近に迫った26日の値上がり率ランキングでは第一位にプロスペクト、そして第二位に豊商事と揃って並んだ。ちなみにこの日6位だったウォーターDもストップ高を演じていたが、これも光通信子会社が同社株を1株650円でTOBするという事で鞘寄せしたもの。

ところで豊商事といえばアエリアとの業務提携も絡んでここが筆頭株主であったが、その経緯から現況ではこれに変って資本提携先のあかつきF・Gになっている。またプロスペクト子会社はこのあかつきF・Gの株式8%超を保有し、またあかつきF・Gもかつてはプロスペクトの株式を保有していた経緯がある。

このTOBで数々の買収を手掛けてきたプロスペクトは経営多角化を推進し金融商品取引業への参入を目指すというが、これに先立ち両社は協議を行っていないという。この辺がまた思惑台頭というところだが、本日の豊商事は年初来高値を更新し既に公表されたTOB価格を上回ってきているあたりがこれをより一層増幅させており、今後どういった展開になってくるのか関係者ならずとも注目されるところ。


IPOラッシュ

さて、今月のIPO社数は28社と月間ベースでは06年12月以来8年ぶりの高水準となっているが、特に今週16日には今年最多となる5社が上場している。注目の初値は5社のうち日経朝刊に大きな全面広告を出していたSFPを除いた4社の初値が公募・売り出し価格(公開価格)を大きく上回っての上場となった。

しかし直近IPOの業務内容も大型鍼灸接骨院、病院経営支援ソフト、テント販売、アサイーの販売から法律相談サイトまで本当に変わり種?が増えてきた感がある。この法律相談サイトなど司法試験改革で弁護士が急増したマーケットに商機を見出しているところが面白く、かつて急増した歯科医マーケットに目を付けたところを彷彿させる。

原油急落をはじめとした環境悪化で株式市場が調整色を強める中、外部環境の影響を受けにくいこともあってIPOはホットマネーが流入し易いが浮気性だけあって離散も殊の外早い。昨日は前日上場のMDVが朝方急反落で始まるもあと切り返し急反発となるも後場はストップ安まで叩かれ、昨日上場のフルッタフルッタは公開価格の52%高で初値を付けた後にやはりストップ安まで沈んだ。

一頃のように抽選モレでも初値で飛びついてストップの波に乗れるという具合にコトが運ばない辺りがやはり需給と地合いに逆らえないところでもあり、今後は成長力などが吟味されての選別で明暗も出て来ようが、先ずは年内ギリギリまで続く残りのIPOが注目される。


次の視点

さて、先週末の日経紙には「自社株買い、規模が拡大」と題して、2014年の1社あたり平均金額(取得枠ベース)は約90億円と昨年より8割増えて、06年の水準を抜いて過去最高になるなど主要企業中心に上場企業の自社株買い規模が拡大している旨が載っていた。

増配に自社株買いを組み合せた株主配分強化がこの1年の株高の原動力にもなっているとも書いているが、このパターンは直近ではキャノンがまさにそれと思い浮かぶ。先週末に3期ぶりの増配を発表したが、此処は自社株買いも発行済み株式数の2割に迫る勢いの2億株以上をかれこれ実施済みである。

かつて自社株買いといえば同紙にも書いてあるように株価を下支えする狙いも多かったが、昨今のROEブーム?もあって初の自社株買いを実施する企業も出てきた上に買い入れた自社株を対価としてのM&A等も視野に入れた積極策が取れる前向きなものもあるなどここ数年で変遷しつつある。

しかし冒頭の通り数多くの企業に紛れ、上記のキャノンも増配かと普通に流しそうなものだが実に此処は26年間もの間増配を続けており、株主優待に目を移せばその実施率も今秋は上場企業の3割を超えて過去最高更新という報もある。NISAも絡め長期保有を促すIRも活発化しつつある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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