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逆日歩増加の季節

本日の日経平均は3日ぶりに反落とはなったものの、前場にはプラス圏に浮上するなど配当落ちの影響が130円弱と見られていた事を考慮すれば強かったと言えようか。斯様に本日は3月期決算企業の権利落ち日であったが、権利付き最終売買日までのオペ等もあって本日の日経紙には逆日歩銘柄数の増加が書かれていた。

こんな逆日歩が意識されるのも配当や優待取りを巡ってのクロスの影響だろうが、優待狙いが高くついてしまった珍事も過去多くあった。例えば話題になったところでは東京ドームの観戦指定席欲しさに数万株を繋いだところ、逆日歩で数十万円のコストがかかってしまったという残念な話など幾つもある。

金融誌やらネットやらでニワカ評論家などが金太郎飴の如く安易なクロスを勧めてきた弊害もあろうが、貸借倍率も読めない向きや制度信用しか知らぬままマル信に手を出す動きが増えればその分それを利用しようとする向きも増える。ヘッジ回避手段も多様化してきた今は様々な選択肢を活用したいもの。


個人への課題

過日の日経紙法務面には「個人投資家 物言う株主に」と題して、少数株主の意見を経営に反映させる目的で導入された株主提案権の利用が権利意識に目覚めた個人株主の台頭で増えてきている旨が載っていた。

今から二年前ほど前に当欄では「日本版スチュワードシップコードの行動原則がどの程度意識されているのか各社の姿勢も注目されるところ。」と書いたが、昨年はコーポレートガバナンスコードと共に二つのコードが始動となり、このタイミングで鳴りを潜めていた村上ファンドも久し振りに始動したものの他の一件で別の大物と共に再度葬られた感じもする。

このファンドも一頃は新興ファンドなど形態を変えた総会屋かと揶揄された時期もあったが、プロキシーファイトにまで発展する事案ならずとも近年では随分と個人の垣根も低くなったような気がする。総会屋活動が鳴りを潜めアクティビスト・ファンドも悉く司法の壁の前に退場していった今、漸く個人も日の目を見る事が出来るようになり今後は対話のあり方が課題になるか。


地銀ポスト

本日の日経紙マーケット面には「さまよう地銀マネー」と題して日銀のマイナス金利政策により債券投資で窮地に立たされる地銀が、ETFに加えて短期で高配当狙いの株式投資に活路を見出そうとしている旨が書かれていた。

地銀と言えば本日も東証一部に富山第一銀行のIPOがあったが、注目の初値は公開価格470円を6.4%上回る500円でスタートし、意外?に堅調な滑り出しとなった。パッシブファンド物色思惑もあるが、これ以外の地銀全般もメガ同様に先月はつるべ落としのような崩落の憂き目に遭っていただけに本日も全般堅調地合いとなっている。

確かにマイナス金利の重しが今後どの程度まで業績を侵食してゆくのか一概に大手各社のリポートも額面通りには受け取れない部分があるが、逆日歩も可也目立つようになってきた今の株価が一歩先迄完全に織り込んだのかどうか今暫くこの辺を見守りたいところ。


サイダー

本日の日経平均は円相場の上昇を受けて3日ぶりに急反落となったが、そんな中でも昨日のストップ高の余勢をかってソフトバンクは大幅続伸。これは周知の通り週明けの5,000億円規模の自社株買い発表がポジティブサプライズとなったものだが、昨日は同社株の寄与度が82.38円だったのでこれがなければ日経平均の引けはマイナス圏に沈んでいたということになる。

それは兎も角も、斯様に自社株買いもその規模によっては株価へ応分の寄与があるワケだが、一昨年にこの自社株買いを発表した業務スーパーをフランチャイズ展開する神戸物産はこの過程でインサイダー取引が行われていた疑いで、証券取引等監視委員会が強制調査している旨の報道を嫌気し先週は連続ストップ安の憂き目に遭っていた。

このインサイダー取引で得た利益の総額は50億円と報じられているが、仮にこれが立件されればインサイダー事件では過去最高額だろうか。丁度ひと月前に当欄では「無くならない不公正」と題して各種インサイダーに触れたが、規模も大きければ初動の段階で覚えのある向きならその怪しい動きは嫌でも目に付く。まだまだ月日を経て不正バレました的な件が明るみに出る例も出て来ようか。


リスクの担い手

昨日の余勢をかって本日の日経平均も続伸となった。とはいえ昨日も殆どがカバー中心との見方が多く、そもそも個人でマル信など張っていた向きなどは先週末迄に投げさせられ傍観というパターンがその売買代金からもうかがえるというところ。

ともあれ昨今主役になった短期筋に加えてこの値位置も真空地帯という事もあって1,000円近くの乱高下もそう珍しくなくなったが、そんな間にも先週末の日経紙でも取り上げられていたように機械的にノックインとなったリンク債が続出しており、暴落相場ではお約束のように登場する。

その構造上オプションとの抱き合わせになっており投機筋もデルタヘッジの先物売り等を企んでノックインまで執拗なショート攻勢をかけてくるパターンも多く、ヘッジ用無しとなった先物処分売りが急落に加担している部分もある。斯様にこの辺の鬩ぎ合いがまたボラを増幅させる要因の一つとなるなど、近年の魑魅魍魎な商品開発の弊害がこうした局面では晒される事になる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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