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総会お土産

さて、昨日は株主総会を前にした企業の買収防衛策廃止の姿勢について触れたが、この株主総会といえば週末に総会を開くソフトバンクが恒例だった「お父さん」をあしらった食品等のお土産をとりやめるなど、出席する株主にお土産を渡すことを止める企業が相次いでいる旨の記事を昨日の日経夕刊で目にした。

このまま機関投資家やアナリスト向け説明会のヤツまでは廃止にならないだろうが、当欄でちょうど今から一年前にこの株主総会のお土産について書いた際に、この総会土産を廃止にした企業の総会出席者数が3割〜7割も減ったという件であったのを思い出した。

各社廃止の理由として欠席した株主への還元が不公平になるほか、出席株主の増加で経費や会場運営の負担が重くなることを挙げているが、ヘタをすればそれこそ優待よりお土産が豪華なパターンも存在し、「お土産」の中には非売品も多く特にレアものは根強いコレクターも存在するだけに各社その分の拡充策も思案のしどころとなろうか。


次の焦点

時節がらか配当関係と共に定時株主総会招集の通知が多く届いているが、そんな株主総会を前に買収防衛策を廃止する企業が相次いでいる旨が週末の日経紙に載っていた。ただ今年度は昨年度より7社多い19社が廃止を決めたというものの、先月末でなお479社が買収防衛策を継続しているという。

買収防衛策といえばやはり切っても切れないのが敵対的買収を行うファンド勢。これに呼応するかのように同策導入のピークは2008年の570社であったと同紙では報じているが、それでも当欄でも取り上げたPGMによるアコーディアへの敵対的買収、そしてもっと最近ではプロスペクトによる豊商事へのそれなど依然ポツポツと事例は続いている。

馴れ合いTOBとも取れる事例も無いとは言えないモノも中にはあるがそれは兎も角として、ピーク時から減った企業群の中には統合や再編で株主構成の変化からそもそも同防衛策の必要性が無くなったものも少なくはなく、冒頭の通り今なお同業他社等からの敵対的買収に対する警戒感がなお根強いのも事実。

何度も触れているように今月からはコーポレートガバナンス・コードが適用開始。それに伴い同策に関しての投資家への詳細説明が必要になることで、統合再編とは別の部分で廃止促進が為されるのか否か、持ち合い含めこれまで特異とされた体質がこれを機に変化してゆくのかどうか今後に注目である。


ガバナンス効果

昨日からコーポレートガバナンス・コード(企業統治)の適用が始まり、本日の日経紙マーケット面でも「ガバナンス相場の号砲」と題して、企業が資本効率を意識してROE引き上げに励めば企業統治改革を牽引役とするガバナンス相場の息が長くなりそうだとの旨の記事も目にした。

既にこのガバナンスを買う動きは彼方此方で出てきており、前々から注目されてはいたものの今一つ物色の流れに乗らなかったものも最近はこの波に乗り、メガバンク等も当初言われておいた総資金利ザヤ云々から目線がすっかりこちらへ移り直近の賑わいは周知の通りである。

もっとも資源系などは枝葉が広がりいささかこじ付けの感も強いものの、低位で其れなりに配当が出ている物はNISAでも物色人気が強いだけに機関投資家ならずともそのキャピタルゲイン部分の恩恵も高く、その相乗効果も期待できるといえようか。


Weeklyオプション始動

さて、今週から大阪取引所にて日経平均を対象とした週単位で満期を迎える新形態の「Weeklyオプション」がスタートしている。このオプション、初日の日中売買高は477枚でうち95%の452枚が今週末29日満期のオプションであったが、権利行使価格20,500円のコールの売買高が比較的多かった模様。

このオプション始動の背景には、近年重要な経済イベントの増加や市場に与える影響力の拡大等によって短期間でのヘッジに対応できる取引を求める声も多かった事があるが、実際に海外等では同形態のオプション取引が急拡大し、S&P500種を対象としたものではオプション取引に占めるこのWeeklyの割合が約3割に達しているという。

また、週単位での売買の関係上、月単位オプションに比べてそのオプション価格も安いという特性があり、こうしたタイムディケイの関係からストラドルなどの組成がし易くなる利点もある。ただ初日は期待よりやや低調だったとの声が多く聞かれ、現況も取組があるモノでも板は可也薄い。今後は取扱証券会社の増加や、機関投資家の利用含めリクイディティ確保等が課題となろうか。


高揚感無きバブル越え

本日の日経平均は4日連続で年初来高値を更新し2000年4月14日以来約15年1ヶ月ぶりの高値を付けたが、先週末の日経紙一面を飾っていたのは東証一部の時価総額も591兆3,007億円となり、1989年12月のバブル期経済の水準590兆9,087億円を約25年ぶりに上回りとうとう過去最高となった件であった。

とはいうものの日経平均が15年ぶり高値とはいえ4万円近くまで買ったあの絶頂期の記憶から約半値水準ではピンと来ないものだがそもそも銘柄数自体が違うのでこれも当然、事実単純に銘柄の単価ベースで弾いてみれば今の日経平均水準以下にまでなるので妙に納得である。

当欄では先月末にITバブル時以来の終値での20,000円台を回復した際に「失われた15年奪回」と題し、文中でやはり15年ぶりに史上最高値を更新したナスダック総合株価指数も当時と比べその構成銘柄も主役クラスの新旧交代が著しいと書いたが、東証でも上記の件絡めてバブル後に主役級が相次いで登場している構図に変わりはない。

足元では異次元緩和が実施されバブルなんぞという文言も本当に久し振りに彼方此方で目にするようになったが、高揚感がなかなか沸き辛い昨今の構図だけに今更ながらバブル後期にQレシオなんぞが持て囃されたウォーターフロント相場から狂乱仕手株時代など、今と比べてしまうとそのホットマネーのエネルギーの相違をしみじみと実感する。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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