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株主総会模様

さて、近年では株主総会の分散化が随分と進んではいるものの明日あたりが株主総会のピークで、株主総会決議通知など順次発送されているというところだろうか。ところで、いま世界中を釘づけにしているワールドカップではレッドカードが切られるシーンも目にするが、今年の株主総会も各社でけっこう退場者が出ている旨が見出しで何気に目立つ。

本日の日経紙で機内インターネットサービスの全面広告を出していたJALが日本武道館で行った株主総会では2名が強制退場、またこのJALと同日株主総会を開催したドコモの総会では質問打ち切りに不満をぶつけた株主が退場させられ、ソニーの株主総会でもヤジる株主に退場勧告が出た模様である。

斯様に退場者といっても今や普通の?一般株主である。一昔前のように社員株主で最前列をがちがちに固めたり、総会専用に選任されたような脇役員がデキレースで纏めるシャンシャン総会のようなイメージでなく他一般株主に同意を求めるようなマイルドな光景から時代の流れを感じる。

個人株主といえばお土産を楽しみに出向いている向きも多く、今年はこの土産廃止した企業の総会出席者数が3割から7割も減った企業もあったというからなんとも顕著だ。またアクティビスト復活とも言われているがこれまで意外?にもそういたファンド勢は静観の構え、ただ先日書いたようにスチュワードシップ・コード導入もあり今後その辺がどう意識されてくるかこの辺が注目である。


成長期待を買う

本日の株式市場はこのところの過熱感を警戒し反落となったが、そんななかで昨日マザーズ市場に鳴り物入りで上場したネット広告配信枠取引プラットフォーム等を提供するフリークアウトが、上場2日目となる本日に2,000円の公開価格から実に3.5倍となる7,000円で漸く初値が付いた。

その過熱ぶりに現金即日徴収や自己、成り行き注文等の規制措置が打ち出されるまでになっていたが、サイバーダイン同様に依然として成長期待の高いビジネスモデルに対する関心が高い物の人気は旺盛なようだ。

このIPOに絡んではちょうど本日の日経紙に「新規上場7年ぶり高水準」として、今年はこれまで26社と前年同期から3割増えるなどその復調ぶりが鮮明になってきている旨も書いてあったが、後半戦に再上場となるすかいらーくやリクルートHD、そして最大の話題株であるLINE等を控え個人マネーの動向がますます注目される。


インセンティブ多様化

週明けの日経紙には「新型の株式報酬」として、自社の株価が一定水準を満たす場合のみ新株予約権を全て行使できるようにした三井物産や、株式をあらかじめ決められた株数でなく事前に設定した金額に換算し交付する仕組みを採用したADワークスなどの例が出ていた。

この手の報酬といえば今年の1〜5月にストックオプションの付与を決めた企業は前年同期比で24%増の178社となり、1〜5月としてはリーマン・ショック前の2008年以来、6年ぶりの高水準になったとも週末の同紙には書いてあったが、ここ数年で随分と身近になってきた感が強い。

そんな一例で従前は役員向けのイメージが強かったが、近年では役員はもとより正社員でないバイトまでもストックオプションの権利を配る範囲を広げている例もあり、この辺もまた企業のカラーが出ていて面白いというものだ。

ストックオプションの報酬を巡っては今年の初めにこれを使って得た2年分の所得を隠し、所得税法違反の罪に問われたクレディスイス証券の元部長に対し東京高裁で無罪判決が出たのが記憶に新しいが、役員報酬としての株式譲渡の場合交付金額を事前に確定させておくと企業側が税務当局から費用として認めてもらえる利点もあるとの一文もあったが今後ますます多様化が進みそうだ。


リアルなゲーム

さて昨日も冒頭で一寸触れたが、今週の株式市場で一際にぎわっていたのはやはりミクシィか。ストップ高となった17日の売買代金は、東証一部高寄与度銘柄にランクインするあのソフトバンクを抜き実に全市場でトップ、また時価総額もマザーズではトップに躍り出る事となった。

ゲーム株の狂乱相場といえばやはり記憶に残るのがガンホーだったが、ガンホーのパズドラを買ったときは息の長い上昇相場となっただけに、今回のミクシィも次の牽引役云々とか各種指標から株価を語るのは野暮とモンストを素直に買う息の長い相場展開が期待されているようだ。

そんなワケで株式市場の旬なテーマになっているロボット関連の終焉後をはや予測したような賑わいになっているが、貸借銘柄だったらどんな取り組みになっているのか想像しながら戦略を練るのも面白いものの、いずれにせよ分割を絡めたお祭りが何所まで続くのか参加組も見物組もまだまだ目が離せない展開である。


物言う株主復活?

ここ近年日経紙の投資情報欄等には、小さいながらも企業が敵対的な株の買い占めに対する買収防止策を廃止する旨の公示がよく出ているのに気付く。このような買収防衛策廃止決定企業を除く同策導入企業は先月末段階で498社と500社を下回りこの現象は平成19年末以来、約6年半ぶりという。

さて敵対的買収といえば所謂物言う株主だが、今週は金融庁が投資先企業との対話を通じて経営改善を促す「日本版スチュワードシップコード」なる行動指針を導入する機関投資家が先月末時点で127になったと正式発表している。こちらは物言わぬ株主とされる国内機関投資家の経営監視圧力を高め企業に手元資金を使って貰おうという枠組み。

先週末の日経紙スクランブルにも「配分迫る強気の株主」と題し、投資ファンドが配当などの利益配分強化を企業側に求める動きが書かれていたが、ここ最近の株高を背景にこうした動きが再度出てきているという。

上記の投資ファンド代表がかつて在籍していたのはあの村上ファンドであったが、思えば同ファンド全盛の頃が懐かしい。彼らの姿勢も形態を変えつつあるかどうかだが株主総会の案内が届くこの時期、この日本版スチュワードシップコードの行動原則がどの程度意識されているのか各社の姿勢も注目されるところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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