リスクを取れない本邦勢
経営再建中の東芝は昨日に第三者割当増資による計約6,000億円の払い込みが完了したと発表している。これでほぼ上場廃止を回避できる見通しとなったが、実に海外の60のファンドへの割り当てという思い切った手法でこの年末に来て一番注目を浴びたディールになったのは間違いないだろうか。
その顔触れといえばコバンザメ的な引き受け手も混在しているものの、もともと筆頭株主に浮上していた旧村上ファンド系のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントを始めとして米サード・ポイント、米サーベラス、米エリオット・マネジメント等々の錚々たる面々であるが、エリオットは先月取り上げた日立国際電気のTOB劇にも登場したアクティビストである。
これが東芝にとって吉と出るか凶と出るのか、一先ずこれで残る懸念としては半導体メモリー子会社を巡る米WD者との対立のみとなるが、何れにしろこんなスピード増資劇を見るに裏を返せば今の日本にはこれだけ短期間に巨額のリスクの受け皿になれる投資家不在の証左で今の資本市場を如実に表している。