欧米との温度差
先週2日の日経紙朝刊の一面には「テルモ、人工心肺増産」と題し新型コロナウイルスの感染拡大で人工心肺装置の需要が高まるなか、国内最大手のテルモが生産量を現在の倍以上に増やし今後数カ月以内の間に国内の治療施設に100台超の人工心肺装置を供給できるようにする旨が出ていた。
漸く国内もという感じだが、この手では米国はテスラが人工呼吸器をNY工場で生産し世界の病院に向け送料も負担で無償配布する事を発表、GEとフォードモーターも協力し生産開始するほか、英国でもダイソンが人工呼吸器をわずか10日で開発し5000ユニットを製造して英国内外のパンデミックに対する取り組みに寄付する意向を示しているあたり、本業とは別に公共財を製造する社会的使命を担うという観点でやはり欧米は抜きん出ている感が強い。
斯様に上記の通り大手に加え新興企業や異業種企業も巻き込んで動員し増産を急ぐなど産業界が総力戦の構えを見せているが、一方で国内大手企業群の消極的姿勢は否めない。こんな状況下だけに積み上がって来た約460兆円ともいわれる内部留保をがっちり守り抜きたい気持ちも解らないでもないが、かつて松下幸之助氏が言った「企業は社会の公器」という言葉がこんな時にこそ思い出されるもの。