ピンフが描く街
さて、ちょうど一週間前の日経紙には「日本橋兜町を変貌させた平和不動産のプロデュース力」と題し、目まぐるしい国際金融情勢の変化のなか平和不動産がどういったビジョンで都市開発に取り組んできたかが書かれた全面広告があった。同社が仕切る兜町といえば3年前だったか、「KABUTO ONE」が新たなランドマークとして鳴り物入りでオープンしたのが記憶に新しいところ。
このエリアではTVのドラマなどで弁護士事務所などが入るビルという設定でよく使われる日証館などは昔からその佇まいが変わらない歴史的な建造物だが、この手の歴史的建造物の類では裏手の方で地味な佇まいだった旧第一国立銀行の分館などは数年前に当欄でも取り上げたスタイリッシュなホテルが入る複合施設「K5」としてオープンしている。
また証券会社が並ぶ大通りから一本中に入った小道周辺も様変わり。例えばここ兜町といえば(株価)うなぎ上りとのゲン担ぎで昔から老舗の鰻屋が多いワケだが、数年前に惜しまれつつも閉店したその中の一つ「松よし」は今やカフェとクラフトビールバーになっている。とはいえ焼き場はそのまま残るなど歴史と現代なモノの融合が面白い。
人の出もちょうど今の大手町に似て来たなと思ったりもするのだが、今や場が立っていない休日でも人通りが増え心なしか若年層も増えてきたような感もある。かつて私も東証前のビルにしばらく通った身だが、東証で笛吹が響き渡り中小証券から即金屋など街金まで犇めき合っていた当時から、新旧がスタイリッシュに融合し様変わりしつつあるその光景を見るに隔世の感を禁じ得ない。