第1の力再浮上?
先週末に米ワシントンで講演した日銀の植田総裁だが、「基礎的な物価の上昇が続けば金利を引き上げる可能性が非常に高くなる」と具体的な時期は明らかにしなかったものの自身の考えを改めて示していた。折しも外国為替市場では日米金利差が意識され記録的な円安が進行中、3月CPIも発表されたがここからは日銀が理想とする所謂第2の力が足踏みする間に円安による輸入物価の上昇など第1の力が再浮上する構図が浮かび上がる。
日銀が言うところのこの第1の力といえば、電気・ガス等の補助金が来月で終了するが、イスラエルとイランは対立激化の真っ最中でエネルギー価格の先行きも予断を許さない状況が続いておりコストプッシュ型インフレが再燃する可能性がある。そういった方向に傾斜しそうな中ではたして追加利上げを敢行するのか否かだが、目先の会合では現行の金利政策を据え置く公算が大きいとのコンセンサスで一致している。
そういえば冒頭の日銀総裁講演より少し前の財務相会合では、同じく自国通貨安に喘ぐお隣韓国と最近の急速な円安・ウォン安への深刻な懸念を認識するとの共同声明もまとめていたが、こうした一連の動きを見るにインフレ以上に通貨動向も無視できない状況になってきているようにも見える。追加利上げを巡る発言に市場の関心が高まっているが、いずれにせよ先ずは今週の日銀金融政策決定会合に注目としたい。