相場連動事件
本日の日経紙商品面には「金属高騰で換金活況」と題し、金属価格高騰でのリサイクル活況は換金を狙った窃盗など負の影響も生んでいる旨の記事があった。直近では先の日曜日に相模原市の太陽光発電施設から銅線ケーブルの盗難事件が報じられているが、先月は茨城のデイサービス市施設でエアコン室外機の盗難が相次ぎ、足利市でも神社本殿の屋根材の銅板約270枚が盗難に遭うなど、特に毎度ターゲットになる北関東でそれが目立つ。
エアコン室外機の窃盗事件は外気を冷却する部分に使用されている銅狙いだが、この手の窃盗事件はコロナ禍の2020年の255件から一昨年には819件と3倍以上に急増、全体でも銅盗難事件は昨年の1万件そこそこから今年は16000件超えと急増している。もう数年前から相場に比例した盗難事件と書いているが、銅製品盗難が目立ちはじめた2021年の銅価格はトン当たり約87万円であった。
それが昨年に北関東で銅製の二宮金次郎像が盗難に遭った件を取り上げた時にはトン当たり約123万円と約4割以上も値位置を切り上げ、盗難事件が急増してきた先月の相場ではトン当たり約175万円と過去最高を更新してきており、上記の2021年からはちょうど2倍に化けている。直近では下落している国際相場も先月は一時11000ドル超とこちらも過去最高値を更新する場面があった。
脱炭素社会が叫ばれて久しいが、その通電特性からエンジン車比で4倍もの銅が使われる電気自動車はじめこれに関わる太陽光や風力等どれを取っても大量の銅が使用されるワケで斯様な社会の実現は銅無しではあり得ない構図と言っても過言ではないだろう。これに乗じての投機マネーが入る場面も近年は増えてきており、相場を睨んだ更なる盗難対策の強化も急務だろうか。