104ページ目   雑記

実需への期待

さて、先週は米株式市場でダウ工業株30種平均が3週間ぶりに史上最高値を更新した裏で仮想通貨のビットコインもまた史上最高値を更新していたが、その切っ掛けとなった一つにあのテスラがビットコインを15億ドル購入した件がある。現金運用先多様化との事だが近く商品代金決済をビットコインで可能にする方針もあり、実に90兆円ともいわれるビットコインの経済規模を取り込むのがテスラの目的ではないかとの観測もある。

このテスラの報道に続いて米大手銀行バンク・オブ・ニューヨーク・メロンもビットコインを中心とする一部暗号資産を顧客が保有・送金・発行するのを支援する部門を新設すると発表しており、先駆したペイパルやスクエアなど関連株がこの一連の報道で再度物色され当のビットコインも実需への期待から先週末にかけ連日で史上最高値を更新していた。

ビットコインなどの仮想通貨に関しては予てより決済手段としての活用が広がるという実需の期待があるものの、今回の件でも明らかなように影響力の大きい企業や経営者の一声で10%以上の急騰を僅か数十分で演じるなど価格安定性には依然として疑問符が付き、直近では北朝鮮による交換業者等への攻撃で推計3億ドル以上が奪われた事件も明らかになっている。

悲願のETFもこれまで数社が申請を試みるも上記のような理由からことごとくSECに弾かれたり自ら申請を取り下げたりしているが、今後は果たしてこうした大手の後追いで日米大手なども追随してくるかどうか、またそれらによる一般への浸透で実需の成熟化が適うか否かも今後派生モノ含めキーとなって来ようか。


バレンタインデー2021

さて来たる日曜日は毎年恒例のバレンタインデーだが、今年は言わずもがな新型コロナウイルスの感染拡大の影響から本命組も手作りチョコや手渡し等も憚られる雰囲気のなか、義理チョコに至っては昨年に続いてテレワークの増加や今年の日並びも日曜日とあって2年連続で手渡し無しの憂き目に遭うチョコも多そうだ。

そんな今年も渡さないバレンタインの形態となるなか、こちらの商戦もおせち料理よろしくオンラインに活路を見出したものが目立つ。バレンタインに関する調査を実施している松屋銀座は今年初めてバレンタイン専用のオンラインストアを開設、高島屋のお試し粒買いはじめ他の大手もそれぞれ自分へのご褒美等へ独自色を出した提案で義理チョコ需要減少分をカバーしようと戦略を練っている。

ともあれ上記の通り義理チョコ需要の減少も響いて今年のバレンタインデーの市場規模は昨年から約20%減の約1050億円にとどまるとの予想も出ているなか、大手のゴディバは過日コロナ禍の影響で北米での全128店舗を3月末までに閉鎖または売却すると発表、それだけでカカオ相場が一時値下がりを演じた経緯があるが対照的に日本事業は好調な模様。ここ数年のサロン・デュ・ショコラの盛り上がりを思い出すに終息後の復活が期待されるところ。


HOTEL Living

さて、今週気になったニュースといえば帝国ホテルが「ホテルに住む」をコンセプトとしたサービスアパートメントの新事業をスタートさせるという報か。既に予約の受付が始まっており客室全体の約一割をこれに充てて一部屋ひと月30泊で月額36万円からというが、130年の歴史を誇る同ホテルでは初めてのサービスという。

この辺の背景にはやはり新型コロナウイルスの感染者数急増による宿泊者数低迷などが想像に難くないが、先にホテル専門の調査会社英STRが発表した2020年12月の国内ホテル平均稼働率はといえば前月から12.1ポイント下落の43%となり、20年通年での稼働率は39.6%と同調査開始以降で最低を記録している。

ところで「ホテル御三家」では他にホテルニューオータニも昨年の夏にワーケーションプランとして30日連泊プランを39万円から販売した経緯があるが、こちらはラウンジで約1500円相当のドリンクが無料のほかパーキングにプールやサウナまで無料のうえ専属アテンダントまで付くのを考慮すれば1日あたり1万円を切りビジネスホテル並みの料金でインペリアルに「住める」という事になる。

単に客室をディスカウントしてセールするのではなく形態を変え新事業として売るあたりにブランディングの上手さを感じるが、一方ではSakuraブッフェで有名だったホテルグランドパレスのように東京オリンピックを前に7月で営業休止を表明したところもある。其々の決断だがともあれ先ずはこの老舗ホテルの新たな挑戦に追随してくる向きがあるのか否かこの辺も注目しておきたい。


124年ぶりの2日節分

さて最近では関東でも彼方此方で恵方巻のCMが喧しくなって来たが、本日は恒例の節分である。恒例とはいえ今年は4日という固定観念がある立春が3日になるという事でその前日にあたる本日が節分になるワケで1897年以来、124年ぶりに通常より1日早い本日2日というのが話題になっている。

もう何十年も立春は4日だっただけに成る程話題にもなろうがそれは兎も角も節分はもともと災厄消除を願うもので「コロナは外!」と今にはピッタリの行事とはいうものの、やはり蜜を避けるために初詣よろしく各地の寺社は境内での豆撒きの催しなどを相次いで中止もしくは大幅に縮小しているのが目立つ。

ところで昨年の当欄では豆撒きで追い立てられる鬼を擁護するようなコラムが増えたり、児童書「おにたのぼうし」など鬼が別な視点から描かれるなど新しい潮流を書いたが、昨年大ヒットし記録を数々の塗り替えた「鬼滅の刃」も元々は鬼も人間で一人ひとり実はバックグランドがあったというような含みを持たせ、一昔前の単純な勧善懲悪の構図とは異なる筋書など現代で流行るモノの流れが変わりつつあるのを感じる。


残高増と出口論

さて、FOMCでは大規模の金融緩和据え置きを決定し当面緩和策を解消する意向が無いことが再確認されたが、国内では先週の日銀金融政策決定会合後の記者会見で総裁が日銀内で金利操作やETFの運営方法も見直す案が浮上していることから、これに関しては従前の購入枠にとらわれず、必要な時だけ買い入れる形に改める見通しとしている。

日銀といえば新型コロナウイルス対応による資金供給でその資産は昨年末時点で1年前に比べて129兆円増加の702兆円となり、金融市場の安定を掲げたETFは20年の買い入れ額が約7兆円と過去最高となり25%増となっている旨が報じられていたが、昨日の参院予算委員会ではETFによる含み益が12〜13兆円とする試算を明らかにし現時点で全体の枠組みを、そしてその中のETF買い入れを止めるという考えはない旨を同総裁が語っていた。

とはいえ度々触れているように自ずと出口戦略の議論も喧しくなってくるが、当欄で昨年11月にも触れたようにバブル時代に証券会社で大流行?した所謂飛ばしのようなスキームや売却制限を付けた個人への譲渡案等も健在で、各経済シンクタンクの専門家も日銀の財務リスクを回避するべくバランスシートから外す必要があるとして買取機構の創設やNISAやイデコ等の運用先指定で個人へ売却、また分割して企業に自社株として購入してもらう様々な案が出ている。

この前の会見で同総裁はETFの売却を巡る議論について売却は出口の議論の一つなので全く時期尚早だと思うしそういうことは現在考えていないと話していたが、曲がりなりにもETF残高は簿価ベースで35兆円まで膨らんでおり、2%のインフレ目標は未達成ながら更に大きく残高を積み上げる状況ではなくなってきているのは事実で引き続き出口戦略について今後も様々な議論は続くだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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