275ページ目   雑記

ビッグデータファンド

本日の日経平均は方向感ないまま小幅続落で引けたが、そんな中の値上がり率上位で先週の地合い継続ということでもなく突如として高寄りからストップ高まで買い上げられたモノにビッグデータ処理のデータセクションがあった。

これは同社がファイブスター投信投資顧問と共同で株価予測システムを開発した事に反応してのものだが、ツィッターやブログなどネット上の書き込みを解析し株価が変動しそうなタイミングを予測、システムをもとにファイブスターはこれを活用した日本株公募ファンド「FS・DSビッグデータ活用型ロングショート・ファンド」を8月から開始運用開始予定という。

日本初のビッグデータファンドとなる事でその運用動向が注目されるが、これで思い出したのが昨年の3月だったかNTTデータが、ミニブログ「ツィッター」の日本語のつぶやきから株価予測に利用できる「ツィッターセンチメント」なる指標を提供するサービスを始める旨の報道か。

これが日経平均VIと相関性が高い事が判明し、国内で類似のサービスは無いと鳴り物入りの登場で3年後に100億円規模の事業に育てるとの事であったが、あれはその後どうなったのだろう?ともあれ今後も似たようなサービスが出てくる事が予想されるがこの手の新技術が投資のあり方を変えてくるのかどうか今後の成り行きに注目である。


続く値上げ

さて、今週は某タレントがベビーシッターに高級ブランド品の数々を盗まれたニュースが話題になっていたが、高級ブランドといえば一昨日の日経紙、企業・消費面の「高級ブランド、値上げ続く」と題した記事が思い浮かんだ。今週はまた12年半ぶりの円安水準が話題になったが、これと原材料高騰、それに訪日客爆買いも背景にしてハイブランドの日本での強気の値上げに繋がっているらしい。

おりしも一昨日の日経夕刊一面には賃上げが広がった事を背景に「実質賃金2年ぶり上昇」の見出しが躍り、また株高も追い風に高島屋等では若い富裕層を取り込む狙いで美術品のネット通販を始める旨も報じられている。斯様に景気の良い話だが、ハイブランドの類は今年3月の当欄でも書いたように不変な購買層を擁しているだけに唯我独尊な商売は止まらないのである。

まあ、こういった出来事は一部のブルジョワの話で自分とは無縁という向きも居るだろうが、この冒頭の記事の隣には、カゴメが原料高騰により家庭用等のソースを値上げする旨が載っており、また更にその下にはコクヨが全商品のほぼ半数を値上げする旨の記事もあった。これ以外でも衣料から食品まで個別で挙げればキリがないくらい多数控えている。

日経平均の27年ぶりの続伸とか21年ぶり上げ幅とか騒いでいる裏で、ヤクルトのジョアは23年ぶり、永谷園の広範囲の値上げは25年ぶりとこんなところでも数十年ぶりの出来事が進行している。これからも粛々と続く値上げの影響をカバーできるだけの賃金改善が未だ実感無き層まで裾野が広がるのかどうか、この辺が個人消費の今後のキーとなってこようか。


性善説

さて、昨日の日経紙一面を飾ったのは、職員の端末がサイバー攻撃を受けた事に因って約125万件の年金情報が外部に流出したと発表した日本年金機構のニュースであった。うち一部は生年月日や住所も流出したといい、国内の公的機関としてはもちろん過去最大規模の情報流出である。

日本年金機構といえば前身が杜撰な年金記録管理の失態を晒した社会保険庁だけにヤレヤレという感も強いが、日経紙では「日本の対策、危うい性善説」とも題してあった。確かにこの手の件が出る度に性善説が前提になっているところがまさに特異点ともいえ、各所では攻撃対応力の世界最高水準を自負する記事を目にするものの、ほぼ一年前に起きたベネッセ事件は内部の人間の犯行であったのは記憶に新しい。

現代の社会でIT分野は世の中を支える重要な基盤となっているのは誰もが認めるところ。性善説ありきの背景には世界から絶賛される日本人の美徳があり、それは解らなくもないが折しもマイナンバーの導入を控え、企業然りこの年金機構といった公的機関然りあらゆる組織が情報管理の在り方の再考が要求される時ではないか。


そういう時代

本日の日経平均は序盤モタついたものの、終盤には日銀のETF買い入れ期待からプラス圏に浮上し小幅ながら12日の続伸となり、9日連続で年初来高値更新となった。時価総額もちょうど一週間前に1989年12月のバブル期水準の590兆9,087億円を約25年ぶりに上回っていたが、本日はそれも終値ベースで初の600兆円台乗せ達成となっている。

ところで先週の日経紙投資情報面には、2万円時代の投資家群像と題し連日シリーズが組まれていたが、第一回目のタイトルは「バブル組の期待と記憶」、以降さまざまな投資家が紙面に登場していたがコンサバと肉食系では当時の身の振り方もまた違った。であるから記憶を辿って懐かしいなと一口に言っても思い浮かぶ銘柄自体が全く違うのである。

対面で板を読んでもらう時代から今やこんな光景は化石で、ネット大手は新たな証券の時代を創った。仕手等が好き放題謳歌していたバブル期から打って変わってネット等で金融知識を豊富に蓄え長期目線でこつこつと投資してゆくという草食系も台頭、マーケットも妙な棲み分けが構築されている。

当欄では4月末に「失われた15年奪回」としたものの、一週間前には「高揚感無きバブル超え」と題している。NISAやスチュワードシップ・コードなど漸く「日本版」が始動され、本日からはコーポレートガバナンス・コード導入のはこびだが、かつての肉食系としてはやはり上記の通り高揚感無きというのが正直なところ。とはいえやはりそういう時代になったということなのだろう。


8%の次

今週月曜日の日経紙一面は「ROE10%超 3社に1社」と題し、円安で企業の利益が過去最高を更新する一方で自社株買いや増配で不要な資本を減らす企業が増えた結果として、昨年は3社に1社がこのROEが10%を超え日本企業の資本効率が高まっている件が載っていた。

前にも書いたように日本企業は欧米企業に比べてかねてから資本効率が低いと指摘されてきたが、2008年の平均0.6%をボトムに昨年は8%台にまで回復している。この8%という数字、昨年の夏頃に当欄でも「8%の分岐点」と題し機関投資家注目の投資判断基準に企業のROEがこれから8%を超えるかどうかという点が注目されているとしたが、この水準まで来たという事になる。

しかし個別でROEが大きく改善した銘柄を見てみると、何れも上位に顔を出しているものはもともとが8%を超えていた物が大半であり、予め伸び易い素地を持っていたというのが顕著に表れており、果たしてこれ以下の部分がどれだけ嵩上げ出来るかというところが課題だろうか。

ともあれこれに呼応するかのようにROE等を基準に構成銘柄を選ぶ「JPX日経インデックス400」も週明けに2014年1月6日の算出以来、初めて15,000の大台を超える事となった。上記の通り8%達成となった今、来月からはコーポレートガバナンス・コードが導入のはこびとなり更に次は平均10%の大台に乗って来るのかどうかこの辺が大いに注目されるところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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