276ページ目   雑記

奇特な投資家

さて今週の日経紙企業面では「スカイマーク遠い再浮上」と題し、同社が破たん後の支援に名乗りをあげた企業との本格交渉に入った旨の記事を目にした。とはいえ候補企業や債権者等の思惑が複雑に絡み合い、その決定は当初目標とした2月から大幅にずれ込み今月いっぱいまでかかる模様という。

ココが破綻し株式市場からその姿を消してから早いものでそろそろ2週間が経つが、それにしても今回驚きだったのは最終売買日の終値が14円と異例の二桁であったことか?同じ航空会社の破綻と言えばJALの時もまさかの衝撃であったが、当然ながら同社も最後は1円になるなど通常はほぼ100%の減資で現存株式は無価値になるのが普通で最終売買日にして寄り付きの20円台は理解に苦しむ。

信じ難い現象ということで記憶を遡れば、かつて同じ東証一部に上場していた持ち帰りスシの京樽も確かパンクした後にとんでもない急騰劇から破たん前の株価を回復したのを思い出すが、コレクションの線でいっても今は株券も電子化になり昔のようにペーパー券面を手元に引くのも不可能なので過大な再生期待が背景にあったと思う。

そんなワケでこれも破綻後の珍現象として今後語り継がれるだろうが、まあいずれにしても奇特というか勘違い投資家のお蔭で同社前社長など思わぬ売却代金を手に入れることが出来たのだから、事業は破綻してしまったものの敗戦処理ではまさに不幸中の幸い?という格好になっただろうか。


あれから四年

さて、本日であの東日本大震災から4年が経過した。そんな時期ともあってか百貨店や街のイベント等では復興関連の物品販売やイベントも多く目にするようになったが、今なお2千6百名弱が行方不明のままで避難生活を余儀なくされている向きも23万人弱も居るのが現実で引き続き風化させるような事がないようにしたい。

ちょうど一年前の日経紙社説では降って湧いたような天災に絡んで警告を受け止めずに想定外にしてしまったと書いてあったが、確かに企業も個人も阿鼻叫喚のマーケットに直面しパラダイムシフトも可也進んだか。あれからトヨタなどまさに雨降って地固まるの如く構造改革からその株価も今や上場来高値に肉薄、震災当日に上場したカルビーはあれから株価は実に9倍近くにもなっている。

また交通インフラの復旧も進んでいるものの、一方で住宅再建は思うように進まず汚水処理など当初約束した今月末の期限を守れていない等こうした部分の再建はまだ道半ばなのは否めない。廃炉含めて息の長い作業だけに国の更なる支援が必要だろうが原則を忘れず臨みたい。


値上げラッシュ第二波

弥生月になってすぐ本日はもう桃の節句であるが、数年前にも書いたように近年では人形を飾らない向きが軽く半数を超えているのが恒常化している模様。とはいえ毎年この時期になるとリヤドロ等の商品案内が必ず舞い込み、街の小洒落た店の特設コーナーには所謂自分用にと芸術的な品が鎮座する光景など目にする機会が多くなる。

ところでこのリヤドロといえば今年1月から日本代理店価格が値上がりしている。この辺を扱っている向きを一寸調べてみたらこれに少し遅れ来月からはクリスタルの巨匠といわれるバカラ、ハンガリーのヘレンドからアメリカのレノックスまでも、日本代理店価格が値上がりする予定となっている。

そういえば驚いたのがアールデコ期を代表するフランスのラリックだ。一昨年に以前より欲しかった花瓶を購入したのだが、それから1年もしないうちにその価格はいきなり50%もの値上げになっていた。

高級ブランドなど円安に株価上昇傾向が明確化し何れ値上げ必至と一頃駆け込み購入現象が起こったものだったが、ヴィトンなどの段階的値上げは止まらず、宝飾系では先月のハリー・ウィンストン、今月はダミアーニやブシュロンの値上げも予定されている。一見便乗をも超えたヤリ過ぎとも思える値上げ攻勢との意見もあるが、強気一貫を通せるところはやはり圧倒的に不変な購買層を抱えているところ。ステージは違うがディズニーリゾートもそのパターンだろうか。


消えゆくトラウマ

ちょうど一週間前の当欄で「投資と配分」としてファナック株式を取得した米投資会社サードポイントの事を挙げたが、その週末の日経紙スクランブルでも「物言う株主株高誘う」と題して、このサードポイントがアクティビストとして登場していた。

アクティビストといえば一昔前の東京スタイルやニッポン放送はじめ多くの企業の株集めが有名だった村上ファンドや、ソトーやユシロ化学に敵対的TOBを仕掛け内部留保を吐き出させるのに成功したスティールパートナーズ等が直ぐに思い浮かぶが、結局最後は村上氏が証取法違反容疑で逮捕され、スティールは東京高裁から濫用的買収者と認定されるなど、後味の悪い結果からそのイメージもあまりいい物ではなかった感がある。

ただ最近は「日本版スチュワードシップ・コード」なる行動指針が導入され、三井信託銀行は経営改革を促すファンドに出資表明し、みずほ信託銀行も年内に同様のファンド創設に動くなど信託大手にまで物言う株主にシフトする動きも出ており、昨今の報道もアクティビストに対し以前とは一寸イメージが違ってきているように見える。

事実冒頭のサードポイントに対しカネにモノいわせ会社を揺さぶり資金を吐き出させる投資家という表現や、批判の声も上がっていないあたりは昔のアクティビストのトラウマが薄れた感さえあるが、今はスチュワードを定めるなど政府側もこれをアベノミクスの柱の一つにしようとしている姿勢あたりで決定的に違うのだろう。

そういえば今から4年前に上記アクティビストが司法に裁かれた時の事を書いた当欄では末尾に「〜裁く側からすれば水が清くなったのだろうが、外から見れば特異な非常識を日本に感じている業界関係者は多数。彼らがいい意味での緊張感をもたらしていた当時から比べるに、現在の株式市場は売買代金ひとつ取ってもその凋落ぶりが著しい。株主の変遷を見るにつけそんなことが頭に浮かぶが、水清ければ魚住まずもまた市場か。」と書いていたが、さて最近の水は少し変わりつつあるか?


爆買い

さて昨日まで中華圏の旧正月「春節」休暇であったが、巷で報道されている通り全国各地に中国人が大挙して訪れ所謂「爆買い」が彼方此方で見られた。判明しているところで百貨店など三越銀座では期間中5日間の免税売上げが前年比で3.3倍に達し、高島屋主要店も3倍、大丸松坂屋主要店が同4倍、松屋銀座は2.5倍になったという。

爆買いといえば今から5年前の当欄にて、三越一階のコスメフロアにて資生堂コーナーを占拠した中国人観光客団体が在庫品までほとんどカラになるほど買い漁りをしていた光景を書いたことがあったが、今回は昨今の円安による割安感が更に購買意欲を刺激してか一段とその勢いに拍車がかかっている。

自国の模倣品ではやはり満足がいかないのか、これら化粧品をはじめステンレスボトルや家電では定番の炊飯器に加え温水便座も爆買い人気が急上昇という。こんな直接の現場でなくともその恩恵は早くから株式市場でも見られ、上記の百貨店含めて春節前から家電量販店やドラッグストアなど所謂インバウンド関連は地合いに関係なく結構な値上がりを演じたものだ。

国内の個人消費が振るわないなか、わざわざ大挙来日して便座など大量にお買い上げいただき一角の株高にも貢献してくれたのだからお約束のマナーの悪さもクローズアップされるものの、今回はそれに目を瞑る程度は消費低迷を埋めるのに一役買ってくれたか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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