290ページ目   雑記

問いかける美術品

さて週初にはサプライズ決算となったジャフコの件を書いたが、決算と言えば業績にプラスして思わぬ益金が舞い込むパターンもある。先週の日経夕刊マーケット面「注目株を斬る」で取り上げてあったDIC等がそのパターンで、同社が保有していた絵画が売却されたことでその利益が13年12月期連結決算に計上される旨が書いてあった。この譲渡益が103億円と巨額であったことから、これによって俄然含みが見直され直近でも年初来高値を更新している。

ところでこの絵、抽象画の巨匠バーネット・ニューマンの「アンナの光」なのだが、バーネット・ニューマンといえば今年5月に行われたサザビーズのオークションで4,380万ドルの落札を演じ、コンテ落札額の市場最高記録を塗り替えたという一件があった。額も額だが一面コバルトブルーに塗ったキャンバスに白線が1本描いてあるだけ?という超絶シンプルな絵にこの値が付いたのが話題沸騰であったのが記憶に新しい。

この「アンナの光」も同氏の作品中最も大きく圧巻ではあるものの、やはり一面レッドに縫ったキャンバスに白線が書いてあるといった上記のコバルトブルーが赤に変わっただけ?にも見えなくもないシンプルな物。確かに抽象画は見る人によってはほんとうに紙一重の部分があり何とも言えないが、それにしても思わぬ値が付くものである。

同品を保有していたのが千葉のDIC川村記念美術館で勿論のこと同館の目玉であった訳なのだが、この手でBSを洗ってみるとこのDIC始めとしてウッドワンや、ポーラなどが挙がるが、ポーラのガラス器など私も観た事があるが珍しいものも多くほんとうに素晴らしい。昨日に続いて美術品絡みの話になったが、こういった含みの視点で企業を見るのもまた面白いものだ。


いろいろな事情

本日の日経平均は円高進行で急反落となったが、そんな中でもストップ高まであと一歩に迫る勢いと逆行高していたのがネットオークション等の分析サービスを行うオークファン。先の分割後からはや株価倍増に迫る勢いの急騰を見せているが、オークション関連上場企業といえば先月末にシンワアートオークションが東京国税局の税務調査を受け、2011年5月期までの3年間に約4,000万円の所得隠しを指摘されていたことが発覚した件があった。

この一件、オークションで出品者の名前を他人名義で出品するなどして名義を伏せる見返りに別口の手数料を得ていたものを申告しなかったというものだが、この手の商慣習?は氷山の一角で美術品市場では日常茶飯事であると聞いたことがある。

考えてみればそもそも代々受け継がれてきた美術品の類にご丁寧に領収書も添付してあるケースなどは稀であろうし、出品者もいちいち表舞台に出るのを嫌がるパターンが殆どである。著名な美術展でもよく個人蔵というプレートを見かけるがオークションの裏には魑魅魍魎の背景が隠れる。


怪しさ満載の初期対応

さて半沢直樹が大ヒットとなった中、みずほ銀が不適切な融資を解消していなかった問題が燻り、直近では監督責任を追及し親会社の株主が歴代経営陣に賠償請求を求めるとの件もあった。この一連の問題で株主が経営陣責任を追及するのは初ということだが、何れにせよ大規模システム障害然りなかなか教訓が生かされない企業である。

前回もそうであったが誰が見ても不自然なのはその対応か。会見の度にその内容が前回を覆すように二転三転しとても信用業務を生業としている企業対応には見えないが、これを見ていてオリンパスの粉飾問題が明るみになった時の光景を思い出した。

そういう目線で見ると最近では他にもカネボウの化粧品問題、ソフトバンクモバイルの信用情報誤登録、中国産米問題が発覚したイオンのIRなどその初期対応には他の話題を立て話題を逸らしたい様子が満載で違和感を感じるが、各々その処理が容易ではない内容の問題というのは想像に難くない。

こんな体制では上記のみずほ含め利用者や株主の不安もより募ろうというものだが、当の株価は不祥事発覚後でカラを売っても薄利、こういったヤレヤレのカバーもあってか短期で回復を見せる旨みのない存在だがこれはこれで今の地合いなのかもしれない。


PB下克上

昨日の日経紙企業面には「高品質PB集客の目玉」として小売各社が好採算の品質、価格が高めのPB集品を増やし集客の目玉にする動きが広がっている旨が載っていた。斯様に従来低価格を武器にしてきた業態の一部高価格帯への進出が最近目立っているが、この辺はつい昨日も吉野家の一部高価格牛丼の提供について書いたばかり。

またこのPBについても今月上旬にネスレを取り上げた際の末尾で、「最近ではこのPBもセブンゴールドの「金の食パン」が大ヒットし大手の追随を喚起する等なかなか面白い構図になってきている〜」と書いたが、この時に書いたイオンのPBが大手ネスレの主力製品を模倣する等が通常の光景なら、昨今の動きはまさに大手がPBを真似るというこれの真逆の現象が起きているところが面白い。

ナショナルブランドながら低価格競争が足を引っ張る一方で消費者ニーズを汲んだPBの下克上現象が起き、これに他社が喚起されるというこれまでの通例が崩れる構図は食の新たなパラダイムシフトか。思えば今迄こうしたものが無かったのが不思議な感もするが、胡坐をかいている大手はほんとうにうかうかしていられない環境になってきた。ブランド下克上は今後の消費構図をどう変えてゆくのか、まだまだ目が離せない。


これも具現化

本日吉野家の前を通った際にふと思い出したのだが、先週末にはこの吉野家が永田町に店舗を新規出店している。出店自体は珍しくないがココには特別メニューとして1,200円の「牛重」が登場し、初日の昼過ぎにははや完売御礼となった模様だ。

この辺は今年の夏にマックがプチ贅沢路線を打ち出したのを取り上げた際の当欄で「同じファストフードの他業態では値下げ競争が激化して久しい牛丼があるが、これは専門を謳っている見せも少なくこうしたところこそブランドが浸透しているところは高価格帯のプチ贅沢路線は選択の一つと思うが〜」と書いた事があったが、これまた当時書いていた事が具現化した格好である。

この吉野家、既に高級路線の店舗はかつて赤坂に出していた時期があり、実際は今回が初めてではない。此処には私も行ったことがあるが今回のロケーションも国会と一般向けではないにしろ永田町とこれまた赤坂地区、アンテナの意味合いがあるや否や今後の戦略が興味深いところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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