319ページ目   雑記

うなぎレーショニング

さて、明日はご存知「土用の丑の日」。うなぎ専門店は老舗含め何処も一番の書き入れ時だろうが、今週初めの日経紙・サーベイには土用の丑の日にうなぎを食べないと回答した人が39%となり、そのうち21%が昨年は食べたものの今年は見送るとしている。その理由のトップは今年は値段が高いからという結果であった。

例年言われてきたことだが、稚魚の不漁で今年の活うなぎ相場は1年前より5割高い1キロ5,000円〜6,000円前後と過去最高の水準という。値上げする店も少なくないが、商機を逃がすまいと本来は冷凍蒲焼に加工する割安品の転用やら、うなぎ以外の食材を使った蒲焼も次々と登場、逆に老舗が出展する百貨店など限定ながらここ直前で値下げする等も動きも見られる。

上記のようにここまで高騰してしまった背景にはしらすうなぎの慢性的な品薄が云われているが、相対取引がメインのこの業界はやはり業者の言い値がモノを言う世界と巷では喧伝されており、こうした業界の歪な力関係もまたこの高騰の主因という。

市場原理を働かせるためにはやはり取引所ということだろうが、この手の特有の商習慣を持つものは今まで上場廃止になってしまった商品先物の銘柄など見るに上手くいかないのが常。この辺の圧力構造がそういった商習慣が廃れない所以だろうがセリの無いものとて要はやはり末端の力、この辺の存在を踏まえつつ何れこの件も均衡を見出せるかどうか興味深い。


平仄の合わない珍税制

さて、昨日の日経紙・一目均衡には「貯蓄から投資への教訓」として、この政策の目玉であった株式投資の優遇税制について書いてあったが、ご存知これは金融・経済情勢の激変がない限り13年末で終了となる予定である。

ところが東日本大震災やギリシャ危機に続くユーロ不安、長期にわたるデフレで悪化する一途の日本経済を取り巻く環境の中で軽減税率延長が終了しようとしていることで、先月あたりから大手ネット系証券からのメールやら最近では口座にログインすると先ず署名にご協力の画面が現れるようになっている。

しかし斯様に期日が近くなると何かと理由と付けてジャンプする方策を採るのもよいが、理想形をいえば暫定でもいいから優遇云々でなくいっそ廃止にしてしまえば市場も活性化に向かうのは明らかだろう。活性化すれば消費は間違いなく増え他の部分でこの程度の税収の埋めは幾らでも可能であるし今後を考えるにより健全とも思うが。

しかしこういったリスクを取るものに対しての課税制度は本当にいい加減という思いは長年消えない。冒頭の軽減税率もそうだが、もっと可笑しなモノなのは配当課税。同じ課税対象に法人と個人の税金が二重に課税されるという世にも可笑しな制度で、税逃れで海外に移転する企業も出るくらいの法人税を毟り取っている現況下、更に搾取してやろうというのだからこれは酷い。

「貯蓄から投資」を標榜しあれこれ然程意味のないものを小出しにするなら、先ずはこうしたところから制度改革すべきだろう。


プライドも何時まで

本日の株式市場は軟調なアジア株を映し小反落であったが、市場では225種の新候補銘柄を巡って思惑が交錯していた。本日新安値に沈んだヤマダ電機等もそのひとつであったが、さてこのヤマダ電機といえば直近で業界7位のベスト電器を子会社化する旨を発表している。

家電業界ではつい最近ビックカメラが同業のコジマを買収し業界2位に躍り出たのが記憶に新しいが、なんとも再編のスピードが加速してきた感がある。このヤマダ電機が子会社化することにしたベスト電器といえば、結局今回縋ることになったヤマダ電機の誘いをかつて断りもともとは上記のビックカメラと縁があったところというのも面白い話だが、共同店舗も僅かでその提携効果に疑問符が付いていたところであった。

とはいえ一度フッた相手にブラ下がったとはいえ店舗再編等でここからが棘の道、子会社化を好感して急反発した株価は早くもその発表前の水準に沈んでいる。ベストは市場が縮小で経営環境が厳しくなっているなかで自主路線を貫いてきたが、その背景にあったのがかつての業界首位だった頃の栄光物語と言われている。結局のところはそういったプライドと一枚岩になりきれない社内態勢が転落の主因であったが、こんな構図を見ていると似たようなパターンとして何故か東穀取がふと浮かんでくるものだ。


ジブリにはショート?

さて、昨日は一寸したアノマリーめいたものを書いたが、其れに続いて本日も一部の関係者が注目しているアノマリーものがあるが日テレ系で放映する「ジブリ」モノがそれ。これは金曜ロードSHOWにてスタジオジブリの作品が放映されると、その後は例外なく円高になり株価も殆ど下落するというものでそこそこよく担ぎ屋には人気で使われて?きたモノ。

ちなみに昨年の例では「魔女の宅急便」、「ゲド戦記」等があったが、前者の時は為替が一気に1円ほど急騰する円高になり日経平均も10,000円の大台割れへ下落、また後者の時も為替は「海の日」を挟んで79円台から76円台へと急騰し、日経平均も10,000円水準から8,000円台へと崩落していった経緯がある。で、今年はといえば4月の「虹の豚」があったが、この時は為替が81円台から下旬には70円台へとやはり急伸、日経平均の方も翌日には142円安を演じ、更に今月6日には「千と千尋の神隠し」が放映されたが果たして今週は本日まで6日続落の好実績を誇っている。

こんなアニメモノのアノマリーとしては、数年前に当欄でも書いたことがあったと思うが他に「サザエさん」もある。この視聴率が上がると株価は低迷、逆に視聴率が下がると株価は上がるというものでその相関係数は実に0.86、ニューヨークダウ工業株平均とTOPIXのそれが0.56であるから単にアノマリーと笑えない。

ということで、明日(13日の金曜日)にはいよいよ「となりのトトロ」が放映されるがこの株式市場連続安が前哨戦なのか否か、今回の放映に賭けてショートした向きは既にそのポジションには利が乗る水準までになっているが、さて来週はここから更に加速してしまうのかどうか、今回も非常に興味深い。


ほこ×たて効果

本日の日経紙財務面・新興のところには、竹内製作所の2012年3〜5月期連結決算で経常利益が前年同期比3倍にもなった旨が出ていた。まあ、個別企業の業績記事なんぞは普通飛ばしてしまうのが常だが、この竹内製作所は5月にフジテレビの「ほこ×たて」で三菱農機と「ぬかるみ重機No.1決定戦」をやったのが記憶にありつい目が留まってしまった。

この番組、当欄でも昨年末にウォーレン・バフェット氏の投資先企業を番組が対戦させた話をコメントした事があったが、今年も他にあのスプーン曲げで有名な超能力者といわれるユリ・ゲラー氏が曲げることが出来なかった製品には全国から注文が殺到し、同番組で連勝を重ねて負け知らずの好成績を残している東証二部の日本タングステンには新卒採用の応募者が前年の1.5倍に急増するなど彼方此方で其れなりの反響が出ている。

また登場した上場企業の株価動向もなかなか面白い。直近では上記の竹内製作所は番組での勝負には敗北したものの、ジャスダック上場の株価の方は放映後の翌日から既に20%以上上昇しており、今の冴えない市場環境を考えれば充分な投資成果であろう。この手のパターンでは東証一部の酒井重工業も同様、同社は「どんなものでも踏み潰すローラVS絶対に潰れないポール」なる同番組の対決で残念ながら敗北したものの、その株価は放映後の翌日168円から5月には363円まで急騰し株価は2倍以上に化けている。

裏付けありか新しいアノマリーかというところだが、そんな一面も併せて見るのもそれはそれでまた面白いものだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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