322ページ目   雑記

似て異なる用語

今週はIPOが2社あったが、うち本日は(キャリアリンク)がマザーズに新規上場、公開価格はブックビルディングの不調から仮条件上限で決まらなかったものの、寄りは差し引き130万株の買いものから始まり結局、公開価格の2倍以上の値の買気配のまま初値形成を明日以降に持ち越すこととなった。

週明けに上場したもう一社の(ありがとうサービス)も公開価格が仮条件下限で決定していたことで初値が注目されていたが、蓋を開けてみれば11.3%上鞘でスタート、初日から2日連続でストップ高と破竹の勢いから上場3日目で公募価格倍増達成となった。需給が全てといったところだが、今月の第一弾に刺激された部分は小さくないだろう。

ところでIPOといえば、先月には「親引け規制」の緩和が為されている。もともと幹事証券等が企業が指定する法人や個人等に優先的に公募株等を売ることは禁じられていたものの、この規制緩和によって払い込みからある一定期間の保有等条件付きで一部これが可能になる事となる。

株式関係の規制緩和といえばこんな低迷下で今や随分と盛んになってきた1994年の一部自社株買い解禁、続いて2001年にはこれに絡んで金庫株制度も解禁になってより機動的なものになった経緯がある。IPOはその業態や知名度でムラがあるのは否めないものの、この辺はまたこれでIPO活性化に繋がるかどうか注目される。

余談ながらこの「親引け」なるもの、同じ金融系で証券と商品共にこの言葉が存在するが商品の場合、渡し物のあった売り方がカバーして途転等に使うなど一寸意味が違ってくる。他にも「仕切り」なる言語があるがこれも商品では通常は手仕舞いの意だが、証券の場合今では化石になってしまった悪しき営業形態を指すなど両者でまったく違った意味になってくるものが存在するから面白い。


ETFの伸び代

昨日は金についてETFランキング等にも触れてみたが、このETFといえば今月アタマの日経紙の夕刊一面でこのETFの9月末における世界純資産残高が約145兆円と2011年末比で21%増えて過去最高となった旨が載っていた。

手数料の割安さや指数リンクなど分かり易い値動きや商品性が好まれている模様だが、国内でも東京証券取引所など全国の証券取引所が先に初めてこのETFの保有分布状況を公表しており、それによれば7月末時点の株主に相当する受益者数は36万5,614人、うち個人が全体の98.3%を占めているという構図となっていた。

昨日一寸挙げた10月度のETFランキングでは1位がNEXTシリーズの日経平均レバレッジ、そして2、3、4位とオーソドックスな指数モノが並び、5位にはTOPIXブル2倍、6位にはVIX、そしてコモディティものと続いていたが、1位のレバレッジや5位の2倍など共に今年の春先に上場したニュータイプもので、最近ではこの手の人気も上がってきているのが窺えこの辺もまだ伸び代が期待出来るか。


世論よりも

今週は周知の通り米大統領選は即日開票の結果、民主党のオバマ大統領が激戦州の大半を制した共和党のロムニー候補を破って再選となった。下馬評でギリギリの接戦も一部言われていたものの果たしてのオバマ氏勝利で米株式は300ドル超の急落、所謂「ねじれ」が確定し、年末に期限が来る「財政の壁」問題への対応遅れを懸念した売り物が膨らんだ格好だ。

ところで今回の米大統領選、今週初めにはアイオワ大が運営するIEMではオバマ氏が75%とロムニー氏の25%を大きく引き離す数値が出ており、こちらでは既に今回の結果を織り込む動きが確定していた模様だ。

斯様にこの電子市場は世論調査よりも実際の結果との乖離が少ないとかねてから言われておりユニークながら侮れない存在である。導入部分がシンプルならバイナリーオプションではないが、政治への非感心層への啓蒙もこんな導入手段で間口が広がるかもしれない可能性も秘めておりこの辺は日本もまだまだ勉強する余地があるのではないか。


抜かれる構図

さて、ちょうどひと月ほど前には「新日鉄住金発足」として晴れて大型統合の運びに至った旨を挙げたが、この新日鉄住金といえば高性能の鉄鋼製品の製造技術を盗用されたとして、同社が韓国大手ポスコ等を相手取り同製品の製造販売差し止めおよび損害賠償を求めた裁判が先に始まっている。

この辺に関しては今年の5月にも当欄で取り上げたことがあったが、技術流出案件はその立証が難しい一方でこの手は素材産業やエレクトロニクス業界では後を絶たないという。昨今の家電業界の苦境で厳しいリストラが横行しているが、技術者の中には光る手土産があれば韓国大手等から引く手数多で更には高待遇が用意されているというから地獄から天国で揺らぐ輩も居るのは想像に難くない。

しかしその裏では転出先の大手から美味しい部分だけ抜かれて用済みとなった向きが早くも第二のリストラの憂き目に遭っているという噂も絶えない。形勢が逆転するととことん足元を見られる典型だが長年技術は日本の競争力の「要」であり、前にも書いたが不正流出に対する防衛策等を企業も政府も早急に講じるべきであろう。


拡大解釈なる便乗

例年この時期になると会計検査院による決算検査報告書が出るが、昨年度の税金無駄遣い等の経理処理が不適切と指摘したのは513件、計約5,296億円となり前年度比で1.2倍、過去最高であった21年度に次いで実に2番目の規模となった模様だ。

今の民主党政権といえば事業仕分けなんぞで歳出抑制が強調されていたものだったが、果たしてというか無駄使い放題といったところだろう。この中でもやはり酷いと思うのは昨年の大震災絡みの案件で、復興予算が被災地と関係の薄い事業に流用されていたのが次々と明らかにされたり、先月末の日経「春秋」には復興予算が東京スカイツリーの開業イベントに流用されていた旨も書いてあった。

また防災に絡んでは90億円以上を注ぎ込んだJ-ALERTが有効活用されていなかったというのもあったが、上記の復興予算など日経紙によれば「拡大解釈」という抜け道の便乗要求があるという。解釈といえば2006年のちょうど今頃の記事でも「解り合えない解釈」の題で、社会保険庁が売却予定美術品のデューデリにおいて美術品に有るまじき一律算定をした事がこの検査院から問題視されたことを書いたことがあったのを思い出す。

しかし、復興増税と消費税増税の負担を一般に求める一方でこんな杜撰な割り振りはほんとうに呆れる。飄々と所信表明をのたまうのもいいが、例えば直近のネット証券4社による証券優遇税制の延長要望など速やかに対応する姿勢こそ先ず持ってもらいたいものだが、今の政権にその辺を求めるのは無理というものか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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