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次々去る指導(独裁)者

さて、この年の瀬の昼前にいきなり入ってきたニュースには周知の通り北朝鮮総書記の報があり早速号外も出ていた。もともと昨今の欧州格下げ懸念でリスクオフムードが広がっていたものだったが、この報でウォンは急落、韓国総合株価指数も同様に急落となっていた。

一方、コモディティーの方は金が殆ど反応無しというより寧ろ弱含みと金氏で金買い喚起はならずといったところ。そうそう、コモディティーといえば先月に国際フォーラムで講演したジム・ロジャーズ氏は訪中時の話題でミャンマーやスリランカと共にこの北朝鮮の将来性のことについて触れていたなと。

ところでリスクオフから日経平均も後場一段安でスタートとなったが、そんなマーケットの中で早速急騰したのは「豊和工業」と「石川製作所」あたりか。双方後場寄りから北朝鮮の報で防衛関連ということで急騰していたが、面白いのは既にこれら先月から不気味に出来高が膨らんでいたという点。

そうそうこんな現象ではもう一つ、本日ストップ高と急騰していた「重松製作所」もこのパターン、一昔前の話になるがあの忌まわしい地下鉄サリン事件の直前に異常に出来高が膨らんだ経緯もあったなと。はて、たまたま偶然か否かだが株式市場には時々こんな不思議も起こり得る。


今年の漢字と商機

さて、今週は日本漢字能力検定協会の2011年の世相を1字で表す恒例の「今年の漢字」が、「絆」と決まったと発表された。これは今年で17回目になるがちなみに2位は「災」、3位は「震」、4位は「波」、5位は「助」と続きやはり今年は東日本大震災に大きく傾斜したものとなった。

さてこの「絆」だが、デパートなど今年の年末商戦は家族や知人との「絆」につながりを感じることが出来る商品が好調に推移しているという。また、この「絆」関連では改めて東日本大震災を境に未婚男女に高まっている絆意識に商機の期待がかかり、株式市場では全施設形態を持つ結婚式オペレーター「エスクリ」がこの冴えないマーケットの中で、一人気を吐き昨日も年初来高値を更新している。

予てよりこの年末は自粛ムードの反動などもあって都内のホテルなどは強気の高額プランなどが続々と出ているが、上記の百貨店なども震災後に大切な人とのつながりの象徴として高額宝飾品の伸びが著しいといい、また家族や大切な人と過ごすなら御節も奮発ということで都内主力店ではこれも前年比2ケタ増のペースで予約が入っており高額品ほど好調という。

まあ気分転換の常套手段としての行動心理で高額消費はしばしばいわれるが、こうした気分一新の次に消費者はどう動くのか、消費持続力の試金石としてもリバウンド需要後が注目される。


短期も長期も

本日の日経紙一面にはヘッジファンドの2011年の平均的な運用成績が、リーマン・ショックに見舞われた08年以来、3年ぶりのマイナスとなるなど欧州危機を受け運用が世界的に振るわない旨が載っていた。運用成績を指数化した「ヘッジファンド総合指数」なるものも出ていたが、しかし今年は大手から著名ファンドまで清算も相次ぎ苦戦続きである。

さて、同紙夕刊一面には同じ運用でもこのヘッジファンドとはガラリと毛色が変わって運用成績次第で受給額が変わる日本版401k(確定拠出年金)の加入者のうち、今年9月末の時点で元本割れに陥っている人の割合が約6割にのぼることも載っていた。この手は確定給付年金のように運用低迷による不足分を企業が補填する物と異なり将来の受給額減少に直結するわけで気になる向きもあろう。

マーケットではヘッジファンドが駆使するHFTのような今が旬?の投資の一方で、その対にある長期投資家や個人投資家がいかに共存してゆくかが論点になっているものの、運用成績は共倒れの様相。著名ヘッジファンドのように参加する向きが限られるような顧客層と違い、パブリックな401kなど裾野が広くゴールが退職時などはるか先とはいえ主力のディフェンシブ物が数十年ぶりの安値に続々と沈む昨今では機運の変化さえ出てもおかしくは無いか。


政府と胴元の姿勢

先週末の総会で政府税制調査会は2012年度税制改正大綱を決定,日経紙でも消費増税控え「場当たり」と出ていた通り各所で小手先見直しの寄せ集めで政治戦略の欠けるものであったのは否めない。暫く消費増税と社会保障の一体の改革など議論されてきたものだが、この消費税などそもそも一昨年の衆院選でのマニフェストには4年間消費税の話はしないと明記されていたものが舌の根も乾かぬうちに不退転の増税というから呆れる。

さてもう一つ、税制といえば金融系で最近気になったのは2013年12月末で期限が切れる証券優遇税制を延長しない方針であると首相が述べていることか。周知の通りもともとこれは株価低迷などへの対策として導入されたものだが、個別でも主力の株価が数十年ぶりの安値水準に低迷し売買代金も約8年ぶりの低水準まで落ち込んでいるこの期にこんな表明をするのは、税収にしか興味が無いというか単純に相場系には全く疎いということなのだろう。

また、当欄では先週の7日に「高速取引と規制」として、最優先の矛先を海外勢に絞込み個人は蚊帳の外で蔑ろにされている旨を書いたが、その二日後の9日には日経紙夕刊で大和総研の専務理事もこの高速取引を個人投資家にとっては近寄りがたい存在とし、超ハイテクとローテクの共存を如何に図りその中でいかに個人投資家の使い勝手の良い市場を提供していくかが最重要テーマの一つとしている。

この税制然り取引所運営然り個人に主眼を置いたものへ回帰するにはやはりお上の意識改革が焦眉の急、現状の陣営を見ていると心許なく産経とFNNの合同世論調査では内閣不支持率が51.6%と初めて支持と不支持が逆転、一方で東証は依然として海外投資家サマ様で海外向けに「Evolving Japan」なる広報誌を本日創刊しているようだが、内からの促進で対処療法の形しか取れない事から離脱できるのは何時のことになるのだろう。


貴重な逸品

さて、年末に近づくと各所で鑑賞欲を擽る催しものが多くなってくるものだが、過日は「神と幽玄のかたち」と題して三井家伝来の重要文化財でもある能面と能装束の数々を展示している三井記念美術館へ。

同美術館には昨年の年明けに行った「柴田是新の漆×絵」展以来のことであるが、これと同様に此処は普段なかなかお目にかかれない貴重なお宝がたまに出てくるから見逃せない。もともと「旧金剛宗家伝来能面」そのもの何れもその価値は計り知れないが、タイトルにある「神々のかたち」でも翁面の一つ「稲尉」など能好きでもなかなか観たことがないものもあった。

また「幽玄のかたち」ではやはり女面が素晴らしく、特に今回は室町時代の孫次郎作といわれる妻の面影を面に写したという伝承がある「ヲモカゲ」を直に観ることが出来たのにはとても感動。昨年のオルセー美術館展2010に出ていたアンリ・ルソーの「蛇使いの女」もそうだが、日頃より写真で見て憧れていたものの実物を観た時の思いはなんともいえないものがある。

ところで先に開催されたコンテの「ジパング展」で観た山本太郎氏の「隅田川」などまさに能楽からのインスピレーションであるが、能面は極めて人間的ないろいろな表情や超人間的な力を角度や光の強弱によって変わる微妙な変化を狙って巧みに造形化し固有の高い芸術性を有するとされているゆえこうしてさまざまな方面にも分岐し人を惹きつけてやまないのだろうとも思う。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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