333ページ目   雑記

遅々として進まず

さて、今週は郵政・金融担当相が閣議後会見にて一次産品の価格高騰は予断を許さない状況と説明、「総合取引所」を進める議論はより一段優先度が高まったと思うとの認識を示していたが、この辺に絡んでは先週末の日経紙経済面に「総合取引所」の在り方を検討する副大臣級の会合が約2ヶ月ぶりに再会した旨も載っていた。

「総合取引所」に関しては先に今国会への提出を断念する方針が伝えられ、12年の通常国会での関連法案の提出を目指すものの、調整が難航すればさらに遅れる可能性が指摘されている。もともと昨年末に公表した中間整理において両論併記になっていた段階で暗雲漂っていたわけだが、やはりというか農水がネックになっている模様であるしそれ以前に政治主導を謳うその政治そのものが混迷極めている状況では何とも厳しいところ。

内閣支持率が約20%程度と末期的な状況で、本日も農水政務官が農水相に辞表を提出したりと自壊作用の話題には事欠かないが、周りが斯様な状況であるから各取引所サイドも模様眺めに回っている感じで、既にまな板の鯉状態になっている取引所はともかく、外枠がハッキリしてこないことには各所も腹を括っての動きはなかなか取り辛いか。

このところ書いてきた通りこの数週の間に世界の取引所はさながら風雲急を告げるような再編の構えを見せているが、そんな中で数年前に日本に歩み寄ったNYSEなどはゴタゴタの中で疎遠になってしまっている。諸外国の開拓も進められず共同歩調も取れない土壌を作っている行政の責任は重いと言わざるを得ないだろう。


対日M&A

さて、今週に内閣府が発表した2010年の日本のGDP実額は、年間を通じて初めて中国の名目GDPを下回った。1968年以来、日本は米国に次ぐ世界第2位の経済規模を保ってきたが、とうとうその座を中国に明け渡した格好になった。

このGDPは既に大方予想されていた事だが済成長はやはり著しい。GDP逆転だけでなく斯様な背景で拡張するチャイナマネーも近年日本株投資の他、企業買収等へ振り向けられている。年末には中国系と見られる2つの投資ファンドが、日本の所謂「01銘柄」等を始めとした一部上場85社で10位以内の大株主となっていた事が判明している。

また中国企業による日本企業のM&Aも増加、平成22年の件数は年末の段階で前年度比約42%増の37件、ここ4年で2.2倍になった旨が報じられている。これに関連した件では2/12付け日経紙夕刊一面で、中国の大手会計事務所「信永中和」が日本に会計監査の拠点を設置する旨が報じられていたが、こうした中国系の監査法人が国内に設置されるのは初めてという。

日本企業の対中投資等のサポートもあるだろうが、この辺の動きは当然上記のような対日M&Aを睨んでのものだろう。積極化するチャイナマネーの旺盛な海外投資意欲を受けて、この手のグローバルな会計ネットワークが今後広がる可能性があると同紙では指摘しているが、ファンドの動向等併せてますます目が離せない。


ショコラの波

さて、昨日はご存知「バレンタインデー」であったが、今年は平日にあたり職場等においては義理?が発生するぶん例年アテの少ない殿方も束の間のイベント気分に浸れたと思うが、この平日になるのは3年ぶりのこと。

こうしたイベントものと絡めて必ず登場する行動ファイナンス理論だが、ちなみにこのバレンタインデーではここ20年間バレンタインデー当日の日経平均株価は71%の高い確立で上昇し、直近10年間では全て値上りしているという。なるほど昨日も日経平均は上昇し昨年4月30日以来、約9ヶ月半ぶりとなる高値水準で取引を終了している。これでまた一つ実績?が追加されたことになるか。

それはともかくチョコ系といえばここ近年は欧州著名店の日本進出が著しく感じられる。昨年はデフレがいわれる中を所謂売れ線だったのは高級チョコばかりであったが、今年はこれに更に拍車が掛かっておりマーケティングも応分のものになってきている。「サロン・デュ・ショコラ」などもそうだが、この辺はバレンタイン云々ではなく文化の相互理解の観点からも益々発展しそうな感もある。

ところでこれら原料のカカオといえば昨年はヘッジファンドのスクイズ観測等から暴騰するわ、今年は有力生産国の禁輸措置で先物が約30年ぶりの高値水準に達するなどで話題には事欠かないが、今後も先物、製品いずれの世界でもまだまだ熱いシーンが見られそうな気配だ。


安定株主構造

さて睦月も終りに差し掛かったところでS&Pが8年9ヶ月ぶりに日本国債の格下げを発表したのも束の間、今度はエジプトで長期独裁政権の退陣を求めるデモが勃発するなどまたも忘れた頃の地政学リスクが再燃、各国の株価下落などの広がりでマーケットには立て続けに厳しい洗礼となった。

ところで上記の国債だが、よく何処其処の国と日本は同格なのかとか或いは格下とかこうした格付け時にはよくそういった話題が出るが、考えるに実質中身ではもっと脆いところもありで見方は十人十色だろう。蓄えという体力が残っている部分でこうした意見が分かれるところだろうが、この部分は良いようにもとれるし逆に怖い部分でもある。

またその特異な構造からあまり影響は無いだろうとのコンセンサスであったが、やはり発表直後のナイトでは20ポイント前後小甘い水準になった程度であった。この辺は一頃の一部企業じゃないが9割以上が国内で持ち合っている構造で、意図的に崩そうとしてもこれ単独で狙うのは構造上無理がある。

但しこの部分をトリガーにして、枝葉の部分で取ろうとの仕掛けの布石というか調査の色彩が濃い場合はやはり先は注意しておいたほうがよいか。ジム・ロジャーズ氏も昨日都内のホテルで開催された講演会で「このままでは5年、10年後に日本株に投資しているかは疑わしい」と述べているように、今はあれこれストラテジーなど考えているうちはいいものの、この問題も「疎い」のかどうなのか遅々として進展しない政府に本質的な部分を問いかけているような気もする。


小口化促進?

本日は街中を歩いていてふと思ったのだが、昨年から金や関連宝飾の買い取りしますという看板がやたらと目に付くようになっている。近年の金高騰で商機とみたのだろうが、それにしてもこんな事業していたか?というようなところまでこうした旨を謳っている。

買い取りといえば老舗の田中貴金属工業、貴金属ジュエリーリサイクルシステム「RE:TANAKA」の一年間の買い取り実績によれば回収した金の総量は3,646キロ、プラチナは450キロ、銀は1,592キロで取扱総量は5,688キロであった模様。うち最終月では最高の月間買い取り実績を記録したというが、鉱石換算では7万トン相当の貴金属資源を循環させた事になる。

さて、金地金等の買い取りといえば昨日の日経紙に出ていたが、2012年以降は税の申告漏れを防ぐ為に金やプラチナを売却する際に売り主名などを記載した支払い調書の作成がこれら扱い店に義務付けられる見通しという。

ここ近年、地金でも簿価の倍以上になっている向きも多く、これに伴い申告漏れも多額のものが出てきている現状での補足新制度なのだろうが、大手業者と中小では見方が異なり賛否両論。これで小口化の動きにも拍車が掛かろうが、費用対効果の問題もあるので一部は他の派生商品へのシフト等も出て来るのだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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