37ページ目   雑記

Good Sleep

昨日の日経MJ紙では「睡眠ビズ革新へ目覚め」と題し、創業458年の老舗、西川の戦略などについて書かれた記事を見掛けたが、今月は三越銀座でも先週アタマまで「GOOD SLEEP FAIR」が開催され、体形等を計測し個別にマットレス等の寝具を提案するなどのイベントが行われるなど近年は睡眠をテーマにした催事を多く目にするようになった。

思えば2年くらい前だったか、睡眠の質が向上するとかのフレコミで「ヤクルト1000」がコンビニから駅の自販機に至るまで軒並みその姿を消すような現象が起きたあたりから睡眠関連のマーケットへの注目が高まったような気もする。ちなみに昨年2023年度の国内睡眠関連市場は前年比で4%増の1608億円にのぼる見込みという。

もともと日本人の平均睡眠時間はOECD30か国中の中でも最短と言われているが、睡眠不足などこの関連による経済損失は18兆円にものぼるとの試算も一部ある。社会保障費の増大や生産性の低さを問題に抱える日本の課題の一つにもなっていると指摘する向きもあるだけに、よりよい睡眠環境を求める需要を掘り起こす動きが今後もますます出てくるか。


安売りセット拡大

先週末の日経紙夕刊マーケット面では、マクドナルドの5ドルのセットメニュー導入に端を発しその後にウェンディーズやバーガーキングがこれに続くなどハンバーガーチェーンによる安売り競争が激化している旨が出ていた。ちなみにこの5ドルセット誕生の背景になったのが、米の一部店舗でマックのセットが18ドルで販売されていたことが話題になり顧客からの価格の高さに対する不満が出ていた事などいわれている。

マックで18ドル(約2800円)のセットなどちょっとピンとこないが、安売りでも780円かと一瞬思ってしまうほど我が国の購買力は沈んでしまったと実感するが、それはともかく、米消費者物価指数の全項目は2019年末から今年3月にかけ22%上昇したが、マックのようなファストフード等の限定サービス項目は31%増と、フルサービスの食事の25%増を上回る高い上昇率となっている。

マックで18ドルのセットが出るくらいだからフルサービスのレストランメニューがこれより安くなる逆転現象というケースも出始めていると思われるが、こうなると先週月曜日に当欄で、小売店中心に消費者が従来より低価格の商品を購入しようとする「トレードダウン」の動きが外食にも押し寄せてくる可能性もあり、米経済の先行きを占う意味でも今後もこれら含め個人消費の動向には注視しておきたい。


日本文化を海外に

さて、先週末は渋谷の宮下パークにて日本酒の飲み比べが楽しめる「SAKE PARK」が開催されていた。3回目となる今回は30の酒蔵や醸造所が出店したが、この中には年初に被災した能登の酒も初披露されていた。各地の日本酒はそれぞれの風土が育んだ味であり文化でもあるが、残念なのは販売量がここ50年で約75%も減少しているなど国内消費が振るわないという点か。

一方で昨今の近年の日本料理や日本文化の人気が海外で高まっているのと相まって、日本酒人気も世界各国で高まっている。こうしたブームに伴って日本酒の輸出額は米中を中心に2022年度まで13年連続で過去最高を更新している。上記の通り日本酒の国内消費の伸びが期待出来ないなか、成長を海外に求めてゆく必要にあってはこのタイミングをしっかり活かしたいところだ。

そういったところでは先に開催された食の最新トレンドを一堂に会した「FOODEX JAPAN 2024」でお披露目された世界初という日本酒専用の急速冷凍機などキーとなるか。生酒は冷蔵庫保存でも1日や1週間で味が変化してしまうが、これは日本酒をたった15分で急速冷凍させ解凍するまでその味が保たれるというもの。通常の冷凍方法では水分とアルコール分が分離して品質が悪化してしまうが、この最短技術によって搾りたての味の維持が可能になったという。

こうした技術により海外等にまで美味しい酒が流通出来る道筋が見えて来たわけだが、今後の成長は新たな市場の開拓に懸かっている。日本の場合、も高度経済成長期にワインなどが普及のきっかけとなったが、経済成長によって富裕層のボリュームが増えるところなどは消費量増加を睨んでねらい目か。この日本酒や日本料理など文化を通じた啓蒙が海外とのよい懸け橋となることを期待したいもの。


インフレ負け?

先週は内閣府が1~3月期のGDP速報値を発表しているが、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比で0.5%減、年率換算でマイナス2%と2四半期ぶりのマイナス成長となった他、GDPの半分を占める個人消費もマイナス0.7%と4半期連続での減少となりこれはリーマンショック以来、実に15年ぶりの事となる。

米でも先週は商務省が4月の米小売売上高を発表しているが、市場予想の0.4%を下回る数値が出ており異例の好調を保っていた個人消費の減速傾向が強まっている。これまで小売店を中心に消費者が従来より低価格の商品を購入しようとする「トレードダウン」の動きが一部顕著になってきているが、それでも生活必需品など支出を減らせない必需的支出は増加している。

翻って日本では2人以上世帯の消費支出において、昨年から今年にかけてこの必需的支出の低下傾向がみられるという。つまるところインフレ負けしてきているとも言えなくも無いが、向こう数か月で実質賃金がプラスに浮上してこないと消費の下向きが恒常的になってきてしまう可能性もある。政府としては来月からの定額減税等で消費を下支えするとの目論みだが、円安解消は先が見えず国内景気も正念場を迎えているともいえる。


IPS細胞の可能性

本日の日経平均は日銀の国債購入減で金利が上昇し小反落となったが、先週の個別銘柄の上昇率トップスリーにはストップ高を交えて急騰を演じた化粧品大手のコーセーが入っていた。欧米や日本の拡販により2024年12月期1Q1-3月期連結営業利益は前年同期比35.5%増の79.0億円となり、これまでの売り上げ不振から明確な底打ち感を示した事が好感されたもの。

ところでこのコーセーといえば、この決算発表の日にはIPS細胞の最先端技術を持つ2社と提携、新たに利用者自身のIPS細胞から抽出した成分を配合したパーソナライズした美容商品の開発を始めるとも発表し、安全性が確認されれば2026年度までの事業化を目指すとし真のパーソナライズされた美容ソリューションを目指したいとしている。

斯様に今では個人レベルにまで手が届くようになったノーベル賞にもつながったIPS細胞だが、今やこの応用で神の領域への挑戦が繰り広げられている。既にIPS細胞で作る「腸オルガノイド」の手術など成功例があるが、人口脳である「脳オルガノイド」もまたマウスレベルでは成功の兆しが見えてきており、人への応用が可能なら再生医療に革命をもたらすのは想像に難くない。

つまり人の身体で臨床実験を行うことがまだ難しい薬でも、上記の脳オルガノイド等を用いればその効果を試すことが可能になるというわけだ。近年では世界のIT長者が挙ってこうした分野へ関心を持ち巨額の投資をしているのが顕著になってきたが、新薬開発や病気の解明など医療が飛躍的に進む可能性を秘めているだけに大いに期待したものだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

12

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31