37ページ目   雑記

再接近?

先週までにドラッグストア大手5社の2023年6~8月期連結決算が出揃ったが、売上高は5社すべてが伸び4社で純利益が前年同期比で増えていた。新型コロナの5類への引き下げでこれら対策商品の売り上げが落ち込んだものの、猛暑の影響もあり日焼け止めや制汗剤の販売が伸びたことがこれを補った格好になった。

ところでドラッグストアといえば当欄では先にアオキHDやツルハHDの株主総会を取り上げ、所謂物言う株主が創業家の影響が強すぎるとして創業家役員の再任に反対し独自の社外取締役を設けるなど株主提案があった旨を書いたことがあったが、ツルハHDの株主総会では資本業務提携を結んでいるイオンがツルハHD側に寄った格好になった事で接近説が再浮上している。

イオンといえばスーパー再編のみならず数十年も前からこのドラッグストア業界にも根を張ってきたが、9年前にはウエルシアHDを子会社化している。ウエルシアは首位だが、次にツルハHD、そして3位には大手同士の統合で誕生したマツキヨココカラが位置する。仮にウエルシアとツルハHDが統合したらイオン並みのガリバー企業が誕生することになるあたりが思惑だ。

目下のところイオンは業界再編に関しては会社提案による経営体制の下で協議を進める事が適切と淡々としているが、場所によっては同社が出資するドラッグストア同士の競合も発生しており今後も物言う株主の経営改善圧力は弱まる事はないであろうことを考えるとそういった圧力?が結果的にイオンの背中を押し更なる再編に向けての動きが起きるかもしれない。


欧州に倣う

高島屋から回収した顧客の服より再生したカシミアを使った衣類の案内が来ていたが、この辺に絡んでは経済産業省が先月末に衣料品の再生や再利用に関する課題と改善策をまとめた報告書を公表している。「回収」「分別・繊維再生」「製造」「販売」の4段階で改善を要求するというものだが、上記の高島屋はじめ近年再生衣料の試みが目立っている。

最近はJR東日本などでも回収した古着から手拭いなどを作って販売する動きがみられるが、アパレル産業は世界で年間約9000トン以上もの大量な服が廃棄されており石油産業に次ぐ環境汚染産業とまで言われているが、日本でも家庭や事業所で不要になった衣料品の64.3%が捨てられており再生は約17%にとどまっているのが現状だ。

リサイクルやアップサイクルで先行しているのが欧州勢で、ZARAはじめ複数のブランドを展開するインディテックスは早くからプラスチックのショッピングバッグを廃止し再生衣料にも積極的に取り組んでおり、H&Mも廃棄品をアップサイクルした循環型繊維を什器に採用するなど積極姿勢が目立つ。今回の経産省の動きも欧州の動きに対応したものだが何処まで比率を伸ばせるか注視しておきたい。


国際金融センターランキング

先週は日経サステナブルフォーラムが開催されたが、そこで総理は新しい資本主義実現会議のもとに投資拡大に向けた政策を議論する分科会を設けると表明、NYで表明した煩雑な行政手続きを英語で完結するなど海外投資家が活動し易いように環境を整える等の資産運用特区などを議論し年末までに政策プランをまとめる方針と述べていた。

この海外の資産運用会社を日本に誘致する狙いの特区だが、ちょうど先月末に公表された国際金融センター指数によればランキングのトップは安定のニューヨーク、次いでロンドン、そして3位がシンガポールとなっている。という事で肝心の東京はというと21位と前回の16位より更に5つランクを下げなかなか不甲斐ない位置に甘んじている。

もっとも1年前は曲がりなりにも9位とトップテン入りしていたワケだから前回も既に7つランクを下げていることで今回も連続ランクダウンと凋落が目立つのは否めない。ちなみに政府はこの資産運用都区の候補として東京以外にも大阪、札幌、福岡を軸に検討しているようだが、このうち大阪が同ランキングで辛うじて38位に位置しているものの札幌や福岡はランク外となっている。

このランキング、今後数年で重要になると想定される都市には東京以外のアジア勢が数多挙がって来ているが、現状の日本の運用会社の規模などを見るにこれに挙がって来ないのも納得でなんとも心許ない。この辺はホームバイアスの特異さなどが背景になっているワケだが、先ずはこのあたりの現状から見直さなければならないのかもしれない。


ノーベル賞ウィーク2023

さて今年もやってきた恒例のノーベル賞ウィーク、皮切りとなる昨日の生理学・医学賞には新型コロナウイルスワクチン等に欠かせないメッセンジャーRNAの基盤技術を開発したペンシルバニア大の教授らが選ばれた。誰もが納得の受賞であったが、続く本日3日の物理学賞にはアト秒パルス光の研究における功績で欧米の原子物理学者3氏が受賞することとなった。

かつてはこの時期になると株式市場でも有力候補が絡む関連銘柄がザワついたものだったが、昨年は日本人の受賞が無く数年前のバイオ株のようにストップ高に乱舞するお祭り的な光景は見られない。10年以上も本命視されながら肩透かし?が続く文学賞に絡んでもなかば恒例となっていた丸善HDや文教堂HDの先回り買いももはや見られることなく盛り上がりに欠ける展開になりつつある。

その辺は兎も角も明日4日は化学賞、明後日5日は文学賞、そして6日には平和賞、9日にはこれまで唯一日本人が受賞したことのない経済学賞が発表される。上記の通り昨年は全ての賞において日本人の受賞がなく仮に日本出身者が受賞となれば一昨年の米プリンストン大学上席研究員の真鍋氏以来、2年ぶりとなるだけにこれからの発表を関連銘柄の動向と共に引き続き見守りたいところだ。


数多改正の10月

月初め恒例の値上げ品目チェックだが、帝国データバンクによれば今月の食品値上げは4634品目が対象となり、先ず酒税法改正で第3のビールが1缶あたり約9円の値上がりとなることで値上げされるうちの7割が酒類・飲料で占められる。他、コカ・コーラやサントリー食品が大容量ペットボトルを、丸大食品やプリマハム等でハム・ソーセージ等の加工食品を再値上げなど年間累計としても昨年水準を大きく上回る。

実際に日常買いしているモノで最近実感するのは原材料の類など特にオリーブオイルなどスペイン産の値上がりが著しい。そういえば冷凍食品でもかつて食べた際にそこそこ美味しいなと思ったハンバーグを先日スーパーで目にする機会があったが、しばらく買わないうちにかつて400円そこそこで買えたモノが900円台半ばと実に2倍に化けているのを見て改めて驚いたものだ。

ほか外食では毎年10月に値上げを重ねてきた吉野家が今年も今日から牛丼などの主力商品を値上げし、食品以外でも日本郵便が宅配便のゆうパックの料金を平均で10%値上げ、東京ディズニーリゾートの1dayパスポートも繁忙期でこれまで9千円台であったものが1万円の大台を超えることになる。また前回で書いた通りふるさと納税もルール変更でこれを遵守するために寄付額を引き上げる自治体も少なくない。

斯様に昨年来の相次ぐ値上げで企業収益は改善したが消費者の購買力が低下して売れ行きが伸び悩んでいる部分も出始めている事などから、一方で今月はおよそ800品目の値下げも予定され年内の値上げは今月で一旦落ち着くとの見方もある。コストアップ要因は依然燻ってはいるものの、PB商品含め消費者を囲い込む小売各社の戦略にも注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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