42ページ目   雑記

新総裁体制始動

さて、日銀の第32代総裁に経済学者で元日銀審議委員の植田氏が就任した。これに先立ち先週末に退任した黒田総裁の退任記者会見が行われたが、2%の物価安定目標が達成出来なかったことは残念としながらも、総じて先月の衆議院財務金融委員会での発言同様に総じてこれまでの政策運営の成果を強調する自画自賛?に終始した会見となった。

思い起こせば10年前の就任当初に2%の物価目標は2年で達成出来ると豪語していた姿が鮮明に蘇るが、大量の国債購入と資金供給拡大の所謂黒田バズーカでもってマネタリーベースは約5倍の水準に拡大、途中から調整対象をこれら量から金利にも手を出し始めたが上記の通り今なお物価目標の安定的達成は出来なかった。

確かにアベノミクスの支柱をなしたのはこの異次元緩和であったのは異論のないところだが、やはり物価上昇目標の自縄自縛に陥り今や日銀の国債保有割合は50%を超える水準まで膨れ上がり、ETFの累計買い入れ額も37兆円を超えるなど将来に残る弊害のツケを膨らませたのも間違いの無いところだろう。

これらを市場に混乱を与えないように処理して解決するには実に170年かかるとの試算も一部に出ているが、イグジットについて前総裁は最後まで言及を避けて来た。目先は月末の27、28日に開かれる新体制初となる金融政策決定会合でこれら長期金利の上限引き上げ等の政策修正が議論されるのか否かが先ずは注目されるが、いずれにせよ難しい舵取りの宿題?は新総裁へ丸投げされる格好となる。


街のお別れ風景

年度末から新年度にかけての時期は出会いと別れの季節でもあるが、今年は身近な街の風景にもこれが当て嵌まる感がある。最近では東京駅周辺で再開発の起点ともいえる大型商業施設「東京ミッドタウン八重洲」が先月華々しくグランドオープンとなったが、この並びに位置した「八重洲ブックセンター本店」が先月末で約44年間の営業を終えた。

初めて同店を訪れたのはまだ大学に入学したての頃であったが、社会に出てからも他では探せなかったかなりマニアックな本も100万冊以上もの在庫を揃えるここに来ればほぼ見つかったものだった。2028年度に完成予定の超高層複合ビルへ再出店の予定とのことで復活が待たれるところだが、これからしばらくは丸善あたりに足が向かうことになりそうだ。

それともう一つ、夏場は特にお世話になっていた「東京辰巳国際水泳場」もまた上記の八重洲ブックセンター本店閉店と同じ日に30年の歴史に幕を下ろし閉館した。メインプールは長水路で他と違って飛び込みも出来るところも良く、ここへ来たらわざわざ北島康介氏の世界記録樹立プレートのあるレーンで泳いだりしたものだが、存分に泳いだ後にゆったりとジャグジーが満喫出来るのもよかった。

こちらは2年後の秋にアイスリンクとして装い新たに再開業の予定というが、どこかシドニーのオペラハウスを彷彿させる名建築が無くなってしまうのはやはり残念な思いだ。そうそう、名建築といえば帝劇ビルも2025年度をめどに閉館の予定という。此処もまさに昭和の名建築だったが、ステンドグラスや昭和モダンな細部の装飾等々同じ物はもう見られなくなる可能性もあるだけに閉館まで時間の許す限り目に焼き付けておきたいものだ。


新年度の値上げ

今年も新年度がスタートした。今年は4月から主産育児一時金が現在の42万円から8万円引き上げられで50万になるなど新たな支援もあるが、一方で新年度が始まっても止まらないのは値上げラッシュだ。帝国データバンク調査では5106品目の食品が値上げとなるが、日本ハム、伊藤ハム、プリマ等のハム含む加工食品類は単月全体の4割を占める。

値上げの増加ペースは早まっており今月中にも計画ベースで年内値上げ累計2万品目を突破するとみられているが、食品以外でも4月は関西鉄道大手6社、JR西日本などの運賃、ヤマト運輸や佐川急便も揃って相次いで値上げへ、ヘアカットのQBハウスの料金も値上げされるなどモノだけでなく我々の身近なサービス部分も上がってくる。

資源高が一服はしてはいるものの、今年は春闘などで大幅な賃上げ回答という事例が出ているだけに企業側もそれによる購買力の高まりという期待もあり、それらを踏まえ家計がより値上げを受け入れてくれるという計算も相俟ってコスト上昇分をより転嫁しようとする動きが今後も出て来る可能性もある。

5月以降も2022年を上回る水準の値上げが予定されており、来月5月は前年比3倍の食品値上げが予定されているという。伸びの鈍化もいわれてはいるものの、値段が下がるというワケではないので今後も値上げに伴う体感物価は消費者物価指数をはるかに上回る状況が当面続くことになるか。


個人の判断

本日の日経紙ビジネス面にはマスク・出張制限撤廃3割と題し同社の実施した国内主要企業社長へのアンケートで、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5月8日から「5類」とし季節性インフルエンザと同じ分類とはなったものの、社内でのマスク着用等を撤廃する企業は3割前後にとどまった旨が出ていた。

周知の通りこのマスク着用に関して政府が示した新たなルールでは13日から「個人の判断」となっている。初日は近所の三越のライオン像のマスクが約2年10ヵ月ぶりに外され、空港でも受付カウンターのパーティションが外される光景を目にしたが、百貨店やレジャー施設なども概ね上記企業とほぼ同様な対応となっており5類移行まで各所明確な判断がし難いだろうか。

半ば生活の一部になってしまっている一番難しいマスク問題だけ唐突に個人の判断にすると半ば責任放棄とも取れる政府のガイドラインだが、改めて勝手にどうぞと言われるとはたしてマスクやパーティションにどれ程の効果があったのだろう?とも思う。時にはスーパーコンピューターまで持ち出しその効果を謳ったのが記憶に新しいが、その辺の科学的な知見とはいったい何だったのだろう?

日本は一度決めたことが効果のある無しがわからないままなお続けてしまうキライがあるが、世界中でマスクを外した日常が戻るなか日本だけ頑なに政府のガイドラインを守りマスクを付け続けた効果が諸外国と比較し顕著だったかどうか、せめて政府は検証すべきだろう。いずれにせよ5類移行でコロナ前の生活様式が直ぐに戻るのはなかなか難しそうだ。


復活の兆し

さて、国土交通省がこの時期恒例で公示地価の発表をしている。先週発表されたそれは全用途の全国平均が前年比で1.6%上昇し2年連続で上がった。15年ぶりの上昇率となったが住宅地、商業地共に去年より上げ幅を拡大させ、商業地の全国平均は1.8%上昇で都心部のオフィスや店舗の需要が地価を押し上げた。

地価高額地点は1平方メートルあたり5380万円となった常連の山野楽器本店はじめズラリと銀座が上位を占めていたが、昨年1.1%の下落だったこの山野楽器本店は今年は1.5%の上昇に、中央通り沿いでは他に2丁目のダンヒルがある場所も昨年の2.0%下落から今年は1.0%の上昇と個人消費やインバウンドの回復期待を背景に昨年の下落組が軒並み今年はプラスに浮上している。

銀座といえば以前に当欄では「腐っても銀座」と題し、メインストリートに近い好ロケーションの空き物件は好機とみて手当が進んでいるのを書いたことがあったが、5年前にこの銀座から一度撤退したH&Mは再度この地に出店を予定している。このカテゴリーではZARA銀座も昨年はリニューアルオープンしており、新たなテナントの入居でまたかつての活気が戻ってくるかどうか期待したいところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2024

11

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30