85ページ目   雑記

市場の伸びしろ

さて、今週は一人焼肉で有名な焼肉ライクでも昨年末に提供され話題を呼んだ大豆由来の代替肉(NEXTカルビ)の進化形?商品がネットにて新発売され初日は売り切れの場面が出るなど人気だった模様だが、この代替肉の類ではイオンでも昨日から大豆由来の代替肉を使った冷凍ハンバーグなど計3品目の発売を開始している。

ところで新型コロナウイルスの影響による世界的な物流網の混乱から物資の輸入遅延が発生しており、ケンタッキーフライドチキンのポテトが一部店舗で販売休止となる恐れが出ている模様だが、コロナ禍による米食肉工場の稼働率低下などを背景に依然として輸入牛肉の品薄も続いておりこうした代替肉にも最近はますます注目が集まっている模様。

これまでも健康志向や環境意識の高まりから市場拡大が期待され2029年までに世界の代替肉市場は1400億ドル規模に成長が見込めるとバークレイズ等はリポートを出しているが、国内市場も市場調査のシード・プランニングによれば昨年20年の推計346億円から25年には約1.3倍の463億円、更に30年には780億円とこの先10年で約2.3倍にまで成長するとの予測を出している。

斯様な背景もあって国内では植物由来の代替肉原料開発のスタートアップであるDAIZの第三者割当増資を引き受けるなど、三菱ケミカルや丸井などの上場企業大手が挙って出資を始めている。既に米では先行してビヨンドミート等が大化けの上場を果たしているが続々とIPO予備軍が控えている。国内スタートアップもこれの後追いとなってくるのかどうか今後もこの市場には注目しておきたいところ。


初承認

さて、これまで幾度となく急落の憂き目に遭いながらも不死鳥のように浮上してきたビットコイン相場だが、直近でも先週末には約半年ぶりに6万ドルの大台を超え4月中旬に付けた最高値を射程圏に捉えてきている。実に今月に入ってから約45%もの急騰を演じているワケだが、この背景にあるのがSEC(米証券取引委員会)がビットコイン先物に連動するETFを承認したとの件がある。

米では過去5年以上にわたりこのビットコイン連動のETFを巡って上場申請が相次いでいたもののSECに悉く撃沈されて来た経緯があるが、先月の当欄では既にCMEにビットコイン先物が上場している事からSECが先物連動型のETFに柔軟な姿勢を示している事を背景に上場申請が相次いでいる旨を書いていた。

現SEC委員長は暗号資産市場に将来性があるならば投資家保護の枠組みは避けられないとし先物ベースの投資商品の方が投資家保護の面で優位であると明言していたが、果たして今回承認されるというプロシェアーズのETFは現物価格に直接連動するのではなく先物価格に連動するものとなっている。現物連動モノは叶わなかったものの、米で承認された意味合いは非常に大きく今後の枝葉には注目しておきたい。


誘致への課題

先週末の日経紙の一面には「東証、取引時間30分延長」と題し、東証が現在午後3時までの5時間としている現物株の取引時間を午後3時半までと30分伸ばす報告書をまとめ早ければ2024年秋にも延長する意向との記事があった。前回の時間延長は時間を遡ること1954年であるから、仮にこれが実現した場合は70年ぶりのこととなる。

ここ数十年のあいだ昼休みの廃止などと共に取引時間延長が進まなかった理由の一つに業務負担やコストの問題等あり大手や対面メインの中小証券勢に反対に遭った経緯があるが、ネットが主戦場となり市場間で取引の獲得競争が激しさを増している現在ではその風景も変わり遅々として進まなかった課題も具現化に向け動きつつある。

今年8月には兜町に新たなランドマーク「KABUTO ONE」もオープンするなど国際金融都市実現に向け兜町の再開発も進みつつあるが、海外から投資や人材を誘致するにはこの時間延長もさることながら魅力的なスタートアップ育成から先にも書いたような手続きや税制面等々課題は山積みであり更なる取り組みが必須といえようか。


エモい

さて、昭和の熱気を遊びつくそうとのキャッチフレーズで西武園ゆうえんちのCMをTV等でよく見掛けるが、最近は「復刻版」なるモノがやたらと目に付くようになってきた。ザッと挙げても三ツ矢サイダーやアサヒビールまで発売当初のラベルやら味わいやらを再現し、コンビニ等でも直近ではファミマのウーロン茶やセブンイレブンのポークチャウダーヌードルなど当時の売れ線の復刻版をラインナップしている。

こうしたレトロ的なモノの増殖の流れは何も食品類に限った事でもなく、それらを入れる器も昭和40~50年代の復刻版が販売され、象印等も昭和時代の花柄デザインのポットやボトル等をリリース、またお家時間が増えた事などを背景にスマホで音楽を聴く物足りなさから転じてのレコード人気の高まりで家電量販店などではその周辺機器のラインナップも多彩になっている。

当然乍ら売れる見込みのもと各社商機を賭けているワケだが、上記のアサヒビールは約1ヵ月で年間計画数の半分を売ってしまうほどのヒットとなり、石塚硝子の復刻版の器も一般商品が数万個売れれば大ヒットといわれる業界で既に50万個以上販売しているという。今の消費者の需要からすると、奇をてらった新商品より古いブランドを掘り起こす復刻商品にこそ新たなビジネスチャンスがあるという事か。

これらX世代以上では当欄で以前にバブル期を取り上げた時に末尾に書いた「~皆がギラギラしていて本当に毎日が楽しかったなあとつくづく~」という感覚を彷彿させる懐かしさであり、一方で昭和を知らない若年層の目には所謂エモく映る点が心を揺さぶられるか。コロナ禍で精神的にも皆が不安定なこの時期だからこそ或る意味安定し活気のあった時代に対して深層心理的に興味を持ってゆくというような背景がありそこにまた商機が隠れているか。


日進月歩なリサイクル

さて、この度の新政権発足による大臣交代に伴って前小泉環境の政策であった「レジ袋有料化」を見直そうかという議論が浮上しTV等でも取り上げるところが各局あったが、昨日の日経紙・特集面ではプラスチック廃棄物の削減に繋がるリサイクル技術や代替素材の開発、実用化が進んでいる旨の記事があった。

このリサイクル問題に絡んでは石油業界に続く世界第二位の環境汚染産業といわれるアパレルなど、大手百貨店の中では高島屋が先行して要らなくなった服から服由来の再生ポリエステルを使いリサイクルされた服の販売・取り組みを行っているが、この記事の冒頭に出ていた資源リサイクル事業スタートアップ企業の日本環境設計はこの高島屋が提携し資本提携している。

未上場の企業ながらココは従来のリサイクル方法では熱を加える段階でポリエステルが損傷しリサイクル回数にも限界があったものを、ケミカルリサイクル手法で損傷せずに何度でもリサイクルが可能という完全循環型を実現させている。そういった事から飲料や日用品メーカーなども関心を寄せている模様。

但し現状のコストでいえば石油で1から作るよりまだ高いのがネックという事だが、この辺はこれまでも書いて来たように廃材を利用した他のプロダクツにも見られるところで課題の一つでもあるが、何れにしろサーキュラーエコノミー気運でこうした向きは循環型社会のハブ的存在になりつつある点には今後注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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