93ページ目   雑記

前代未聞からのV字

さて、OPECとロシアなど非加盟国の主要産油国でつくるOPECプラスが8月以降の減産縮小を決めると見られていたところ、一昨日はこれに反し予定していた閣僚協議が中止され焦点の8月以降の協調減産幅が宙に浮いてしまった事を受けニューヨーク市場のWTIは一時76ドル台に上昇、2018年10月以来約2年9か月ぶりの高値を付けた。

何とも今となっては昨年にWTI当限が「余りモノに値無し」で、史上初のマイナス価格という前代未聞の値で取引を終えた件が幻のよう。幻を手にするのはなかなか難しいが誰でも買えたところでシンプレクスのWTI連動型ETFは当時の400円台から昨日は年初来高値を更新し1,630円と実に3倍以上に、レバレッジものではJPX原油先物連動型のダブルブルも当時の130円台がこちらも昨日は年初来高値を更新し678円とこちらは5倍以上に化けている。

しかし斯様な原油高でガソリンの値段も5週連続の上昇となりSAで提示されているモノなどなかなかふざけた?値段になっている上に、緊急事態宣言やらまん延防止等重点措置などダラダラと繰り返される御触れで高速道路の休日割引適用除外も何時になったら終るのやらストレスが溜まる。さてここまで書いたところで政府は東京に対し4度目の緊急事態宣言を再度発出する方針を固めたとの報が・・ヤレヤレである。


提灯か連携か

先週末の日経紙マーケット面では「個人、物言う株主に追随」と題し、先の東芝の定時株主総会で会社側が提案した取締役のうち取締役会議長含む2名の選任案がアクティビストの行動を切っ掛けに否決された事などを背景に、企業を変え得るという事実が広く知れわたった事でアクティビストが対話を求める銘柄に幅広い向きから投資資金が流入している旨が出ていた。

しかしこうした提灯買い?は今に始まった事でなくハゲタカ時代のような一昔前からあり、かつては大量保有報告が表面化し吹いた場面は絶好の手仕舞いの機会だったものだが、最近のこの手のものは積極的にTOBを仕掛けるパターンで価格引き上げが行われるケースもあるなど息が長くなってきている背景もありかつてとは状況も変わってきているようだ。

公募投信でもこうした背景に肖ったモノも登場しているようだが、実際に同頁では4月以降に新たにアクティビストが大量保有を出した主な銘柄の3月末比との株価騰落率の一覧が出ておりベンチマークを上回る銘柄が多数、これら銘柄もアクティビストらの初動期に乗った場合は当然ながらこれをもはるかに上回るパフォーマンスとなっている構図だ。

斯様にアクティビストの審美眼を頼りに提灯でキャピタルゲインなど追究する動きもさることながら最近では世界が驚いた米エクソンの一件に見られるように気候変動を巡る対応強化などアクティビストと連携するケースもあり、国内でも先の定時総会で同様な気候問題を巡りアクティビストに賛同する彼ら以外の共闘も目立つようになってきた光景はハゲタカ時代とは隔世の感を禁じ得ない。


49年の歴史に幕

さて、京王プラザホテルが開業50周年という事で同じく発売50周年となるカップヌードル?と何故かコラボ企画を展開するようだが、この京王プラザホテル開業の翌年に開業した九段下のホテルグランドパレスは開業50周年という節目を前にして昨日で営業を終了しその49年の歴史に幕を閉じる事となった。

皇居の緑をのぞむ好立地にありドラフト会議の舞台にもなった老舗ホテルの退場は衝撃であるが、新型コロナウイルス感染拡大による利用者減少で昨年末から営業休止を決めていたところに2度目の緊急事態宣言がとどめを刺した格好ということになっているものの、他の老舗ホテルよろしく老朽化施設の改修が必要な事も重荷になったのは想像に難くない。

しかしいつまでもあると思うなで、有名ホテルが消えることになる度に例えば赤プリのフォアグラサンドや西洋銀座のエッグベネディクト等々そのホテルで思い入れのあるメニューが頭に浮かぶものだが、差し詰めグランドパレスといえば訪れる度にいただいた舌平目のボンファムや伝統の帆立貝柱のピラフなど他では絶対真似の出来ない味と今更ながらしみじみ思う。

閉館を数日後に控えたスイーツコーナーではこれまた二度と味わえないとばかりに名物のオレンジケーキを予約していた客でごった返していたが、その先には手書きで49年間のご愛顧まことにありがとうございましたとのメッセージボードがポツンと寂しく置かれていた。日本の都市文化の象徴的な拠点がこのコロナ禍でまた一つ姿を消すことになる。


漁夫の利?

昨日はアジア勢として初のJDR(日本預託証券)銘柄であるオムニ・プラス・システム・リミテッドが東証マザーズに新規上場となったが、本日の日経紙金融経済面には「東証、アジア新興の受け皿」と題し東南アジア中心にスタートアップが勃興するなか政情不安な香港を避けたい企業の受け皿として東証が選択肢に浮上するなど海外企業の東証への上場機運が高まっている旨が出ていた。

一頃は米中対立の影響でIPO企業が上場先として香港を選ぶような動きも一時見られたものだが、政治的な不安定感が日増しに増加するなか日本の事業会社との資本・戦略提携や低金利の日本で資金調達を視野に入れる企業にとって東証がより一層現実的な選択肢になってきているという構図だ。

冒頭のJDR銘柄が上場した同じ日には東京都が国際金融都市構想の改定案取りまとめに向け有識者懇談会で最終的な議論をしているが、東京が高い評価を受けつつあるとはいえ政府が掲げる米英と匹敵するような国際金融センターになるにはまだ手続き面から税制まで課題はあるものの、同構想へ弾みが付く可能性として斯様なチャンスは確実にモノにしてゆきたいところ。


対象ブランドの差

さて、ふるさと納税などこの季節多くの自治体からシャインマスカットの予約受付の案内が喧しいが、昨日はこのシャインマスカットの苗を開発者である農研機構の許可を得ずネットで出品し販売したとして、改正種苗法が施行されて以降初めて会社員の男を同法違反の疑いで逮捕した旨のニュースがあった。

ブランド農産物を巡ってはこれまで何度か取り上げてきた通りで、上記のシャインマスカットはもとより青森のブランド林檎「千雪」の苗木が中国のネット通販サイトで売られていたり、韓国ではカーリング女子のもぐもぐタイムで有名になってしまった日本独自に開発したブランド苺はじめブランドミカンがもう何十年も前からパクられ流通しているのが現状だ。

日本が数十年かけて開発してきた宝の苗がそれこそ人のパクリしか能の無い連中にわずか100円以下程度の値段で売られているのは本当に心が痛むが、これらが既に大量に生産され廉価販売の流通体制も整っているだけにオリジナルを訴求してゆく障壁にもなろう。自家増殖の絡みで生産者の逡巡もあっただろうが、遅きに失した感のなかでもやはり確実なブランド保護は喫緊の課題で今後もその監視体制が問われようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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