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仮想が主流に?

前回はビットコインはじめとした暗号資産について触れたが、700万円超となっていたビットコインはモロッコに続きトルコが暗号資産の決済利用を禁止する措置を決めたほか、有数のビットコイン採掘場所といわれる新疆ウイグル自治区で発生した停電の影響もあり18日には600万を割り込む場面も見られたが、やはりコインベース上場で利確の場面待ちであったという部分が大きいだろうか。

さてそのコインベース、創業9年で公開早々にその時価総額はニューヨーク証取を傘下に持つインターコンチネンタル取引所を上回り、あのゴールドマン・サックスに匹敵する規模というから凄い。この上場で初期投資していた大物ラッパーのNasには軽く40億円以上が転がり込み、当然ながら役員連中は巨万の富を手に入れる事となったが、一般社員にも100株が付与されたというから初日の大引ベースでも約350万円の臨時収入が降って来た事になる。

そういえば日本でもカラオケの第一興商が店頭登録した際にも自社株を持っていた一般の事務員が公開バブルで一寸した資産家に化けたなどという話も当時話題になったのを思い出す。それは兎も角も今や2兆2000億ドルの規模を持つ暗号資産市場において約次のユニコーンにも当然の注目が行くところだが、何れにせよこの上場が暗号市産業界にとって重要な分岐点となるのは想像に難くない。


無国政通貨の明暗

一昨日の日経紙商品面では「金ETF、資金が流出」と題し、米長期金利の上昇や世界景気回復期待等を背景に世界の金ETFからの資金流出が著しく昨年の資金流入から一転して今年1〜3月の流出超過は四半期では13年4〜6月以来の大幅流出となるなど金離れが顕著になっている旨が載っていたが、その価格も先月は9か月ぶりに1,700ドルを割る場面があるなど軟調を強いられている。

ところでこの金と同じ「無国籍通貨」という括りの暗号資産は対照的に強く、こちらは代表格のビットコインが過剰流動性相場の中でインフレ資産が上昇する流れに乗って今週は3月に記録した過去最高値を抜いて来た。しかしこのビットコイン、昨年末に200万円の大台超えとなったのも束の間、昨日ははや700万円超と破竹の勢いだが1年間でほぼ9倍の値上がりとさながらあのテスラ並みの大化けを演じている。

他にイーサリアムも同じく過去最高値を更新しこちらも1年でほぼ9倍に、これ以外ではリップルもまた1年で8倍以上と何れも大化けを演じているが、特にこれらの背景には仮想通貨取引所の米コインベースがナスダックに上場した事も大きいか。果たしてその時価総額はザラバで1000億ドル超を達成、大引ベースでもニューヨーク証取を傘下に持つインターコンチネンタル取引所をも上回っているから凄い。

仮想通貨取引所としてこの世界で初めての上場で投資家としても暗号資産に株式として投資できる機会が新たに得られる事になるが、ETF承認等に慎重姿勢なSEC等の動きを尻目に斯様なユニコーンの上場など暗号資産の市場インフラ進化は粛々と続く一方、今後避けられないであろう規制強化の壁などとどう渡り合って行くのかこの辺にも注目といえようか。


空箱上場の是非

さて先の日曜日の日経紙一面には「膨れる高リスク資産」と題し、その一因には既存の金融規制の枠組みの外にあるシャドーバンクといわれる影の銀行がカネあまりの中でリスクの高い取引を膨らませている事などが記されていたが、文中には企業買収のみを事業目的とした「空箱」の特別目的買収会社(SPAC)の上場数が右肩上がりの旨もかかれていた。

このSPAC、当欄でも昨年10月に取り上げた際に米では同年7〜9月のIPOによる市場からの調達額のうち半分をSPACが占めるなど急増している旨を書いていたが、同年末にはSECが十分なディスクロを求めるガイダンスを出し、つい先月には一般向けに著名人の関与だけに基づいて投資を決めないよう警告している。

週明けに取り上げたCVCによる東芝買収案も利益相反の疑義が出ていたが、こちらもスポンサーと一般投資家との間に利益相反が起きる可能性が高い仕組みとなっている。そうした背景もあり日本では未だ解禁されていないがSGXは今年半ばにもSPAC上場を解禁する方向となっており、取引所間の競争の厳しさを鑑み今後慎重論に変化が出て来るのか否かこの辺も関心が向くところ。


呪縛?からの脱却

さて、先週は英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズ等が東芝に対し2兆円超の買収提案をした旨が話題になっていた。東芝といえばつい先月もアクティビストから臨時株主総会開催を要請されエフィッシモ・キャピタル・マネージメントの提案が可決されたのが記憶に新しいが、これを取り上げた当欄でも末尾にて「~株主構成など大きく変わりその影響から緊張関係が続いている〜」と書いていた。

この株主構成が大きく変わったのは言わずもがな債務超過に陥った危機の際に実施した巨額増資の際の受け皿が背景となっているが、現在の株主構成では半数以上を占める外国法人等のうち実に約25%がアクティビスト。上記の通り彼らとの対立が表面化する現状では株式が非公開になればアクティビストの影響下から脱却を果たせ、経営陣の思い通りのオペが出来るなど確かにメリットがあるというもの。

加えて昨年7月の株主総会では現社長再任の賛成率が57%まで低下しているという現状だが、各紙でも報じられている通り現社長はこの買収提案をしたCVCキャピタルの元会長という経歴、加えて現社外取締役の中にはCVCアジア最高顧問も居る。斯様な背景からアクティビストとの対立で責任問題が及ばないよう自己保身の為に仕掛けたのではとの噂が出るのも致し方無しか。

またフジテレビを傘下に持つフジ・メディアHDが外資規制違反云々でザワついていたが、東芝もこうした問題が絡む可能性もあり政府系金融機関等への協調を謳うのもそうした背景からだろう。他既存株主がどう出るかも気になるところだが何れにせよ株主の利益を考えての行動か否か、その辺が一番の焦点になってくるワケで先ずは今年の株主総会までに一定の方向性が示されるのか否かその辺が注目されるところ。


コロナ禍で変貌 

さて、新年度のスタートを切った今月1日の日経新聞朝刊には新社名になる多くの企業の全面広告が載っていたが、証券会社からも保有株の社名変更の告知メールが届く。スシローGHDなどFOOD&LIFE COMPANIESへとガラリと変るが、アイシン精機はスッキリとアイシンへ、一方で楽天やソニー等は従来の社名にグループが付くこととなった。

これら事業の多角化を物語っているが、上記のソニーなど2021年3月期の業績は純利益が過去最高の1兆円を突破する見通しと好調で、背景には部門別でこれまで要であったところが横這いの一方でやはりプレステ効果でゲームが約3割超、また鬼滅の大ヒットで映画などのコンテンツが利益に寄与する格好が今回は目立っている。

思えばリーマンショック後の低迷期では個人的にこの銘柄も保有株のヘッジでよく空売り対象にしてきたが、空売りといえば10年近く前の取引で売り玉の買い戻しをスロットよろしく単純な縁起担ぎで777円と出しっ放しにしておいたダメ元の指し値が約定した時は驚いたと同時に三桁に沈んでなお下げ止まらないさまに不気味さを憶えたものだ。

そんな時から今や株価は15倍以上に大化け、ショートカバーから途転ロングしなかったのがつくづく悔やまれるが、そんなことは兎も角も製品の売り切り型モデルからゲームや音楽等のサブスクへの移行が奏功した良い例だろうか。当欄でも約1週間前に「サブスク彼是」と題しモノを持たない暮らしが支持される旨を書いたが、デジタル化の加速でこのコロナ禍に躍進する企業群には今後も注目したいところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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