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エシカル気運

さて、今週アタマの日経紙夕刊には「エシカルな消費文化に商機」と題し、世界的なファッションブランドでリアルファーの使用を避ける動きが本格化、先行的にアニマルフリーを達成して新たな消費文化を創りたいという思惑がある旨が載っていたが、仏の主要ファッション誌ELLEも今月はじめに誌面とウェブサイトから毛皮を使用した製品を排除する方針を明らかにしている。

同頁では服飾以外でも高級車等でレザー(本革)離れが加速している旨も書いてあったが、レザーといえば伊藤忠商事が手掛けた廃棄服から創る循環型ポリエステル新素材から創られた日本のランドセルも先月ロンドンのポップアップストアでお披露目されており、こうしたエコなランドセルもエシカル消費の一環といえよう。

欧州でのお披露目をとなったのは特にこうした動きが欧州で先行していたからに他ならないワケだが、日本でも松屋がこの夏に人工ダイヤを使ったジュエリーの自社ブランドを立ち上げている。天然ダイヤの採掘は土壌が弱るなど環境問題に影響があり、ウイグルよろしく労働環境に問題のある場所が多くあるなど倫理的な問題も指摘されているだけにこれもエシカルな流れと言える。

とはいえグローバル経済に依存している現況下で何所まで完璧にエシカルが浸透するかは未知数だろう。日経紙夕刊の「エシカルな消費文化に商機」の題名もエシカルがモノを売る為の推進力とも取れなくもないが、いずれにせよ環境意識が高い顧客が増加しつつあるのは否めないだけに今や企業も使命感を持って環境や人権に配慮した消費に対応する事が求められるのは時代の流れでもあるか。


古くて新しい計画

ちょうど1カ月前の当欄ではGEとほぼ時を同じくして本体とグループで手掛ける主要事業を3分割しそれぞれが上場する方針を検討に入った東芝を取り上げたが、昨日の日経紙ビジネス面には「東芝、3分割へはや試練」と題し、この分割案の魅力を訴求する同社に対し市場の反応は冷ややかで大株主のアクティビストの一部からも反対声明が出ている旨が書かれていた。

ガリバー企業で初の事例とはいえ発表当時からただ分割宣言しただけでその具体策が見えないとの指摘もあったが、虎の子事業を手放して以降展開力を失った感は否めなく世間の目も衰退が続く3つの会社が出来るだけではと冷めた見方は根強く、従業員など他のステークホルダーも蚊帳の外に置かれた印象が拭えないのも否定できない。

ともあれ定時総会を前に株主の意向を確認する来年早々?にも行われる予定の臨時株主総会が一つの節目と見られるが、これまで株主総会の度に株主と対立を繰り返して来た同社だけにはたして魑魅魍魎?のアクティビストらにどれだけ訴求出来るか、反対多数なら計画は限りなく白紙に戻り経営の混迷は一段と深まるだけにこの辺が焦点となりそうだ。


企業の苦心

先週末に発表された11月の企業物価指数は前年同月比9.0%の上昇となったが、これは第二次オイルショック時の1980年12月以来、41年ぶりの上昇率を記録する事となった。いわずもがな背景には原油や原材料の高騰があるワケだが、一方で消費者物価指数は10月時点でわずか0.1%の上昇と企業物価との間には大きな開きが出ている。

同指数が発表になった先週末も伊藤ハムや日清食品が値上げの発表を行っていたが、こういった食品業界の他にも電気料金はもとより文具からインテリアまで幅広い企業が値上げ発表を行ったこの秋冬であったが、それでも上記の数字の開きや昨日の日銀短観の仕入れ価格と販売価格の差を見ても企業や生産者などまだまだ価格に十分な転嫁が出来ていない現状が浮き彫りになっている。

一方、米でも物価上昇が止まる気配は見えず同じく先週末に発表になった11月のCPIは前年同月比の上昇率が6.8%に達し、1982年6月以来、39年5ヵ月ぶりの歴史的な高水準となった。ただ、賃金上昇が進み需要の強さを背景に価格転嫁が進んでいる米と景気の回復ペースが遅く価格転嫁が遅々として進んでいない日本とではその違いが鮮明になっており、この流れが継続という事になると企業収益を圧迫しかねない点が危惧されるところだ。


ベンチャー投資活性化期待

先週の日経紙金融経済面に「米未公開株 個人に門戸」と題し、米フィンテック企業が一般の個人投資家でもブロックチェーンを活用したデジタル証券を売買する仕組みを可能にし未公開企業に投資する市場が拡大している旨の記事があったが、日本でも個人投資家が未公開株をオンラインで売買できる初の市場がちょうど先週に開設されている。

株式型クラウドファンディングを手掛ける日本クラウドキャピタルのファンディーノマーケットがそれで、個人投資家が何時でもネット上で売買注文が出来てIPOや買収以外にも投資リターンを得られる機会を作る事が可能となるが、未公開企業取引といえばかつてグリーンシート市場なるものがあったものの企業の利用が低迷し数年前に廃止となった経緯がある。

その後継制度として日本証券業協会が「株式コミュニティ制度」を始めたワケだが今回はこれを利用する形になり、同制度もこれまで取引が活発化していたとは言い難かっただけにこの開設で新たな流れが出来るか否か注目。リスクマネーの供給量が高まればベンチャー企業投資の活性化も促されるというもので、日本のベンチャー企業にとって斯様に様々な資金調達の手段が出て来たのは朗報だろうか。


新語・流行語大賞2021

さて、恒例の今年話題になった言葉に贈られるユーキャン新語・流行語大賞が先週発表になっている。昨年に引き続き新型コロナや東京五輪に絡むモノ含めた30語がノミネートされていたが、年間大賞に輝いたのはベタな感が否めないもののやはりMVPなどその躍動を称えざるを得ない「リアル二刀流/ショータイム」が選ばれた。

このほかトップテンにはやはりというかコロナ関連で「人流」や「黙食」が入り、今年開催された東京五輪からも「ゴン攻め・ビッタビタ」や「スギムライジング」から「ぼったくり男爵」などのほか社会現象にもなった「うっせいわ」、また「Z世代」、「親ガチャ」、「ジェンダー平等」などが入賞している。

ちなみに昨年の年間大賞は「3密」であったが、日本漢字能力検定協会がその年の世相を1字で表す今年の漢字もまた「密」が選ばれ、世相を反映し象徴する食を選ぶ今年の一皿では「テークアウトグルメ」が選ばれるなどまさにコロナ一色の展開であった。直近ではまたぞろオミクロン株なるものが世間を震撼させているが、コロナ関連の言葉がこれらから無くなるのははたしていつの日か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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