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経営者が占った2021年

さて、年初には経済団体が主催する新年祝賀会などでは各トップが今年の株価などインタビューを受ける光景が見られたが、日経紙で毎年恒例となっている「経営者が占う」シリーズをいつもの通り今年も振り返ってみたい。日経平均の高値予想は平均で28,900円であったが、大納会の終値は28,791.71円とほぼ近似値であった。一方で安値予想は平均で23,875円であったが好調な米株高を背景にこちらの安値は26,954.81円と3,000円以上の乖離があった。

個別の有望銘柄予想では2年連続でトップだったソニーが経営戦略の奏功で年末に年初来高値を更新と文句無しの好成績を収め、2位のトヨタ自動車も年を通じて上昇トレンドを辿り11月に年初来高値を更新、3位の信越化学も中盤まで高下を繰り返していたものの陽線を立てるなど総じていずれの銘柄も時価総額を大きく伸ばした1年であった。

ボラティリティが狭く売買高も減少したなかで売買代金が14年ぶりの高水準となったのに見られる通り、各人が取り敢えず手堅く置きに行った大型株が当り易かった地合いだったという見方も出来なくもないが、今年もまたこの傾向が続きソニーが3年連続でトップとなり以下第2位の信越化学と第3位のトヨタ自動車の順位が昨年から入れ替わったのを除けば第4位まで銘柄は同じ。

日経平均は米株に連動する格好で30年半ぶりに終値で3万円大台を回復し年間ベースでは3年連続の上昇を演じた昨年であったが、こちらの高値予想の平均は32,850円、安値予想の平均は27,175円となっている。コロナと政局でボラタイルな動きを演じた昨年を鑑みればもう少し尖った予想があってもよさそうな気がするがこれまた各社無難に置きに行ったという事なのだろうが、いずれにせよ世相として政治的な波乱が多いとされる寅年なだけに今年も目が離せない。


値上げ浸透の壁

今月も大手各社の電気料金やガス料金が更なる値上げとなるが、昨年に発表されていた生活必需品の値上げも今月から具現化する。ザッとみても毎日の食卓に欠かせない食パンが山崎パンはじめ敷島製パン、フジパンなどで平均約4~14%程度の値上げとなり、スナックもカルビーと湖池屋の双璧がポテチなどを順次値上げ、また文房具もコクヨが20品目を平均8%値上げする。

また来月に入るとこれまた食卓に欠かせないパスタやパスタソースなど日清フーズやニップン等で約2~10%の値上げとなり、昨年は専門スーパーまで出来た冷凍食品も味の素はじめニッスイ、マルハニチロなどが約2~20%程度を値上げ、日本ハムもハムやソーセージを5~12%値上げ、Jオイルミルズの食用油やアヲハタのジャム、キッコーマンも約14年ぶりに醤油などが値上げとなる。

これらにとどまらず年後半にはこの値上がり傾向が更に加速すると予測されており、値上げが家計に及ぼす影響は消費税が10%に引き上げられた19年並みに匹敵するともいわれる。依然として消費者の根強い節約傾向が続くなかで今後何所まで値上げが浸透するのかが焦点となるが、先に書いたように十分な価格転嫁も適わない中で企業側も最適なバランスの模索が引き続き課題となってくる。


初売り模様

さて、先週末はマグロの初競りを取り上げたが、大手百貨店4社も先週に初売りの売上高を発表している。昨年は新型コロナウイルスの影響で販売を自粛した福袋が多くの店で店頭販売が本格再開となった事などを背景に、都内の旗艦店ではどこも開店前の行列が前年比で数倍となりその売上高は前年比で2~5割増加したという。

とはいえこの初売りもコロナ禍前の2020年と比べると3割ほどの減少となっており、売り上げ回復の起爆剤として例年より販売を強化しているのが今年本格再開となった上記の福袋で、各社では年末年始に絡んだ重要な商戦になるが今年もコロナ禍が続くと見て「密回避」がキーワードになっているモノが見受けられた。

松屋は昨今流行のサウナに絡めて「サウナでととのう福袋」を展開、西武は瞑想の為の個室「メディテーションポッド」を495万円で販売、高島屋では密を避けるレジャーをテーマに移動式のグランピング用テント「ZERO POD」を190万円で販売するなど各社自宅で楽しめるコロナ禍消費を意識したユニークな品を揃え今年は前年を大幅に上回ったのは間違いのないところだが、何れにせよウィズコロナを睨んだ販売戦略が今年もキーになって来るか。


鮪初セリ2022

さて今週は各所でいろいろな初競りが行われたが、もはや新春の風物詩ともなった恒例の鮪の初競りも昨日豊洲市場で行われた。昨年はコロナ禍で飲食業界が打撃を受けている現状からこれまで8回にわたり1番マグロを落として来たすしざんまいを展開する「喜代村」が落札を差し控えたが、果たして今年も昨年に続いて「やま幸」が1本1688万円でこれを競り落とした。

ところでこの「やま幸」といえば鮪の渡る先は銀座に総本店を構える高級すし店「銀座おのでら」の各店という事になるが、ニューヨークやロサンゼルスなど世界各地に店を構えミシュランの星も獲得しているココは昨年に表参道にて新形態の回転ずしや立ち食い店をオープンしており競り落とした1番マグロは早速ここで破格の値段で振る舞われた。

お祭りとしては喜代村の戦線離脱は寂しい気もするが、かれこれ3年目に突入するコロナ禍の影響で予想以上に中間帯の飲食業界は疲弊しており費用対効果を狙い巨額を投じるのも憚られるというところなのだろう。一方でおのでらのような高級路線もコースでは叶わぬような一貫から気軽に食べられ、客単価も総本店の約六分の一ほどで済む上記のような新形態を展開するなど寿司の空白地帯を狙って果敢に攻める動きが出て来ている点などまた興味深いところだ。


世界10大リスク2022

本日の日経紙グローバル市場面には投資ファンド大手ブラックストーン・グループのバイロンウィーン氏の「びっくり10大予想」が出ていたがこれは後述するとして、昨日の日経紙夕刊の総合面には同じく年明け恒例モノで米政治学者イア・ブレマー氏率いるユーラシア・グループの「世界10大リスク」が載っていた。

昨年はバイデン大統領を首位に挙げ米国内政治を最大のリスクとしていたが、果たして今年もまた3位には今秋に行われる米中間選挙が入り、バイデン政権下での米国内の分断や民主主義システムの機能不全が深刻化し次期大統領選に向けた歴史的な転換点になる可能性があるとしている。

また昨日の日経夕刊の一面を飾っていたのは米アップルの時価総額が一時3兆ドルを突破したとの記事だが、2位に挙がったのは巨大ハイテク企業による支配とある。思えば2018年にアップルは1兆ドルを初めて突破しその2年後に倍の2兆ドルの大台超え、更にそこから1年4ヵ月で3兆ドル突破という驚異の大化けだ。ここ一社で実に東証一部の時価総額の半分に迫る凄まじさだが、この巨象に世界経済が振り回される事にならないか確かに脅威でもある。

そして首位には中国のゼロコロナ政策の失敗を挙げており、昨年は著しく成功したかのように見えたこの政策も新たな変異ウイルス・オミクロン株に直面するなか感染を完全に抑制出来ず経済混乱は世界に広がるとしている。コロナ政策もさることながら既に製造業や非製造業のPMIは右肩下がりのトレンドが出来上がっており、景気失速が顕在化してくる不安要因も抱えているだけに今年も注意が怠れないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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