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今度は電気

さて、最近では大手百貨店などからも各自治体の特選品を謳ったふるさと納税の案内がメールで頻繁に案内されるようになったが、返戻品ではこの1年間コロナ禍を映してマスクや非接触性グッズの人気が高まり、大手トラストバンク調べでは今年2月末までの衛生・感染対策品の寄付件数は前年同期比で約17倍に急増した模様だ。

地域色が豊かなマスクやユニークや非接触性グッズなど各々知恵を絞った跡が窺えるが、これに絡んでは先週末に一寸気になるニュースが舞い込んでいる。すなわち東北から九州まで全国九つの自治体で太陽光御発電や洋上風力発電、また地熱発電などにより出来た「電気」を返戻品としていたところ総務省から待ったが掛かったという件。

総務省の見解としては大手電力会社等が整備した電線を使った供給では他の地域で発電した電力も混じってしまう為返戻品としては相応しくないという事だが、他の自治体に無いものとして出していたアイデアで総務省の標的にされてしまった件ではこれまで資産性宝飾品で一括りにされてしまった真珠や他に家具の類も標的にされた事があったのを思い出す。

一頃過熱していた返戻品競争も総務省による例の3割規制で一定の歯止めがかかった経緯があったが、昨年のふるさと納税はコロナ禍を背景に外出自粛による巣ごもり消費等が影響してか寄付額が過去最高額を更新する自治体が相次いでいるという。飲食や百貨店向け販売の落ち込み分の格好の受け皿となっている形だが、総務省の杓子定規な判断が斯様な好循環に冷や水にならぬよう願うばかりか。


非公開化の是非

さて突如として東芝に対し2兆円超の買収提案をして世間をザワつかせた英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズだが、その直後には東芝の社長辞任にまで発展した挙げ句に昨日は果たしてというか東芝側がこのCVCキャピタル・パートナーズから東芝買収に関する検討を中断するとの書面を受け取るに至りこの案件は事実上の撤回となった。

このCVCキャピタル、プライベートエクイティファンドだけあって非公開化を前提にしていたワケだが、1月に東証二部から約3年半ぶりとなる東証一部へ悲願の復帰を果たしていた東芝が、そこから僅か数カ月でアクティビストと対立した挙げ句の上場廃止となりましたという事になったとしたらこれは東証にとっても立場を考えるに内心穏やかでなかったのは想像に難くないか。

複数のアクティビストからの耳が痛い要求の回避目的を狙っての非公開化の選択であれば現在進めている建設的な対話を通じての企業価値の向上を目指す協調を否定する事になるワケで、斯様な事から今回の案件はコーポレートガバナンス改革の有効性に疑義を挟むものであったが、今後日本市場の成熟が叶うか否か東証のプライム市場構想含め改めていろいろと考えさせられるこの2週間でもあった。


Turning Point

本日の日経平均は国内で新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからない事などを嫌気し急反落となったが、TOPIXの下落率が1%を超えていたにもかかわらず期待された日銀によるETF買いは見送られる事となった。ちなみにこのTOPIXが下落率1%を超えても見送られたのは2016年に年間約6兆円にペース-に買い入れ方針を拡大して初めての事とか。

さて日銀のETF買いといえば先週の日経紙経済教室には「ETF購入 副作用是正遠く」と題し、先の日銀金融政策決定会合における点検を踏まえ中央大学教授によるETF買い入れ政策の在り方について書かれていた。先の総裁の会見も自縄自縛とも見えなくもないが、雑な言い方をすればさながら吊り上げたものの降りられなくなりそろそろ解体屋に依頼しようかといった仕手筋?にも似ていると言えなくもない。

同頁では本質的な問題解決に繋がる見直しは副作用軽減への正常化策を考えることと出口戦略の議論を開始する事との一文があったが、この辺の出口戦略への議論に関しては当欄も上記の解体屋よろしく幾つかのケースを何度か書いてきており、浮動玉の吸い上げの結果コーポレートガバナンスの空洞化を招きかねない現状下はやはり一つの節目に差し掛かっているといえようか。


仮想が主流に?

前回はビットコインはじめとした暗号資産について触れたが、700万円超となっていたビットコインはモロッコに続きトルコが暗号資産の決済利用を禁止する措置を決めたほか、有数のビットコイン採掘場所といわれる新疆ウイグル自治区で発生した停電の影響もあり18日には600万を割り込む場面も見られたが、やはりコインベース上場で利確の場面待ちであったという部分が大きいだろうか。

さてそのコインベース、創業9年で公開早々にその時価総額はニューヨーク証取を傘下に持つインターコンチネンタル取引所を上回り、あのゴールドマン・サックスに匹敵する規模というから凄い。この上場で初期投資していた大物ラッパーのNasには軽く40億円以上が転がり込み、当然ながら役員連中は巨万の富を手に入れる事となったが、一般社員にも100株が付与されたというから初日の大引ベースでも約350万円の臨時収入が降って来た事になる。

そういえば日本でもカラオケの第一興商が店頭登録した際にも自社株を持っていた一般の事務員が公開バブルで一寸した資産家に化けたなどという話も当時話題になったのを思い出す。それは兎も角も今や2兆2000億ドルの規模を持つ暗号資産市場において約次のユニコーンにも当然の注目が行くところだが、何れにせよこの上場が暗号市産業界にとって重要な分岐点となるのは想像に難くない。


無国政通貨の明暗

一昨日の日経紙商品面では「金ETF、資金が流出」と題し、米長期金利の上昇や世界景気回復期待等を背景に世界の金ETFからの資金流出が著しく昨年の資金流入から一転して今年1〜3月の流出超過は四半期では13年4〜6月以来の大幅流出となるなど金離れが顕著になっている旨が載っていたが、その価格も先月は9か月ぶりに1,700ドルを割る場面があるなど軟調を強いられている。

ところでこの金と同じ「無国籍通貨」という括りの暗号資産は対照的に強く、こちらは代表格のビットコインが過剰流動性相場の中でインフレ資産が上昇する流れに乗って今週は3月に記録した過去最高値を抜いて来た。しかしこのビットコイン、昨年末に200万円の大台超えとなったのも束の間、昨日ははや700万円超と破竹の勢いだが1年間でほぼ9倍の値上がりとさながらあのテスラ並みの大化けを演じている。

他にイーサリアムも同じく過去最高値を更新しこちらも1年でほぼ9倍に、これ以外ではリップルもまた1年で8倍以上と何れも大化けを演じているが、特にこれらの背景には仮想通貨取引所の米コインベースがナスダックに上場した事も大きいか。果たしてその時価総額はザラバで1000億ドル超を達成、大引ベースでもニューヨーク証取を傘下に持つインターコンチネンタル取引所をも上回っているから凄い。

仮想通貨取引所としてこの世界で初めての上場で投資家としても暗号資産に株式として投資できる機会が新たに得られる事になるが、ETF承認等に慎重姿勢なSEC等の動きを尻目に斯様なユニコーンの上場など暗号資産の市場インフラ進化は粛々と続く一方、今後避けられないであろう規制強化の壁などとどう渡り合って行くのかこの辺にも注目といえようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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