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50年ぶり大幅積み増し

本日の日経紙商品面には「外貨準備、埋蔵「金」上乗せ」と題して、造幣局が記念金貨鋳造の為に保管していた金塊を為替介入で得た外貨を運用する財務省の外国為替資金特熱会計が第3次補正予算の成立後に80トン積み増す事で日本が外貨準備の一部として保有する金の量が大幅に増える旨が出ていた。

その背景には上記の第3次補正予算案に盛り込んだ大学ファンドの財源捻出という目的があるが、文中にも出ていた通り80トンもの金塊を市場で一度に売却するケースでの価格への影響と海外流出等が考慮され造幣局、外為特会、そして日銀の三者間での資産融通の構図で市場への金供給が為されるワケではない。

財務省内部でも金塊を円に替え補正予算財源の一部に充てたいという思惑と、外為特会で金資産を持っておきたいというニーズがあった模様だがその辺は兎も角も外貨準備に占める金の割合を巡っては度々話題になる。欧米諸国の高い比率に比べて恒常的に比率が低い本邦勢の大量積み増しの報は話題に値するものの、財源捻出の用以外に継続的積み増しの可能性が薄いだけに一過性のものという事になるか。


新電力の誤算

さて、このところ寒暖差が激しい日々が続いているが先週末の日経紙総合面には「新電力料金2倍に高騰も」と題して、寒波の影響から暖房用需要が高まった事などで今月に入ってからのスポット価格の上昇で自前の発電所を持たない新電力業者の経営が厳しさを増し事業環境の整備など改めて課題が浮上している旨が出ていた。

確かに電力供給は綱渡り状態で、余力を示す予備率は北陸・四国に至っては直近でたった3%という状況。同頁では昨年末からのスポット価格のグラフが出ていたが、JEPX(日本卸電力取引所)の指標価格は今月中旬に昨年12月上旬と比べて約25倍に急騰、さすがに経産省はこの影響を看過出来ず昨日から事前の販売計画と実際の販売量にズレが生じた際に支払うインバランス料金について支払い金額に上限を設けるという方策に出ている。

しかしこんなケースが出て来た時こそ先物市場がリスクヘッジで本領発揮といったところだがこの辺はまだ十分に活かしきれていない感は否めない。今回の需給ひっ迫にはLNGの調達難というのも大きな要因だが、このLNGも総合エネルギー市場を見据えての上場計画もあるだけにこれら上手く機能させてゆく事が自由化を進めてゆくうえでも非常に重要なポイントになってくるか。


びっくり10大予想2021

さて、一昨日には年明け恒例のユーラシア・グループの「10大リスク」を取り上げてみたが、同じく年明け恒例の10大予想といえば米投資会社ブラックストーン・グループのバイロン・ウィーン氏らによる「びっくり10大予想」も有名で当欄でも6年くらい前から度々取り上げ、先週の日経紙夕刊でも「びっくり予想市場が注目」と題して取り上げられていた。

この定義は平均的な投資家が発生確率を3分の1程度とみるイベントで同氏が5割以上と予想するもので今年でかれこれ36回目の公表となるが、ちなみに昨年は株式相場は5%超の下落をする調整が起こるがS&P500種は3500超になるとか民主党の過半数獲得やトランプ政策等々を挙げており概ね的中させている。

今年の21年版だが気になる新型コロナに関しては複数のワクチンの成功や治療法の確立により米国はメモリアルデーまでに何等かの形で正常に戻ることが可能になるとしており、これらによって上記のS&P500種に関しては年前半に20%近く下落するも後半に4500を上回るとしており、経済活動の正常化で原油価格も1バレル65ドルまで上昇するとしている。

これが発表された時の値からS&P500種は更に20.7%程度の上昇、原油価格は36.5%程度の上昇余地があるという事になるが、この原油価格一つ取っても昨年の史上初のマイナス価格示現など100年かそれ以上に一度の想定外の珍事が現実的に起きる時代、この予想以外にもこれまで想定もしていなかった自由な発想が結果的に的中するケースが多発しても何ら不思議ではないか。


コロナ相場?

さて、先週末まで米市場では連日にわたり主要三指数が揃って史上最高値を更新していたが、個別でも年末にS&P500種に新規採用されたテスラが火柱高となり年末年始を挟んで実に上場来初めての11連騰を達成、その時価総額もS&P500採用前は円換算で約56兆円であった同社は年明け8日にははや86兆円を超えてきている。

もう一つ、このテスラ並みの値上がりを演じていたモノに暗号資産のビットコインがあるが、こちらも2万ドルの大台突破からわずか2週間ほどで3万ドルの大台を突破し更に先週はあれよあれよという間に軽く?4万ドルの大台を超えてきている。また直近の珍事?ではピンクシート市場の米シグナル・アドバンスがテスラCEOの放ったツイート文の勘違いから10000%を超える値上がりを演じるなどバブル以外の言葉が見当たらなくなってくる。

冒頭の通り年末年始の11日連騰の間だけでも時価総額が日本の時価総額がトップのトヨタ自動車分ほど増加したテスラもバブルと見るか否か、週明けはテスラが12営業日ぶりに反落しこのビットコインも12日未明には高値から一気に25%安と急落、いずれにせよ過剰流動性が齎す相場は終わってみないとバブルだったかそうでなかった解らぬものだがよく言われるところの音楽が鳴り続く限り踊りは止められないというのを地で行く感じか。


10大リスク2021

さて、先週取り上げた日経紙恒例の「経営者が占う」シリーズと共に年明けは地政学リスク調査会社ユーラシア・グループの10大リスクも発表されているが、今年の10大リスクとして挙げられた首位には「時期米大統領」が選ばれ、2位にはやはり新型コロナウイルスが入りここ数年その動向が注目されているトルコが昨年の10位から7位へと順位を上げていた。

同社は昨年も首位に「誰が米国を統治するのか」を挙げて米大統領選の不確実性を巡るリスクを指摘していたが、上記の通り今年も米国内政治を最大のリスクとしている。既に先週の連邦議会議事堂への乱入事件を受け民主党のトランプ大統領弾劾訴追案下院提出で政局混乱が懸念されるところだが、確かに先の大統領選では曲がりなりにもトランプ氏が実に半数の7000万票超を獲得したという事実は大きい。

これだけ分断が深刻化している米社会を一つに纏めるのは至難の技ともいえ、この影響が国境を越えて広がってゆくのかどうかこの辺は外交政策等にも少なからず影響を及ぼしそうだが、長引く新型コロナの影響もワクチン外交など絡めて4位に挙げた米中緊張の拡大に掛かって来るしコロナ禍で経済危機に直面する7位に挙げたトルコや10位に挙げた中南米もまた然り、米中心に今年も目の離せない展開となろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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