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本来の楽しさ

さて、先週末の日経紙地方経済面には「木更津でポルシェ感じて!」と題し、ポルシェジャパンが今月、千葉県木更津市に日本国内では初めての運転体験施である「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」を開業した旨の記事があった。千葉でありながら東京と付けるのはディズニーランドも同じだが、要は魅力として都心や国際空港からのアクセスの良さという点か。

レストランやカフェ等も併設しドライブやレクチャープログラムなどを通じポルシェブランドを体験出来るというこの施設、日本国内では初めてというが同社は既に御膝元のドイツはじめロスやアジアでは上海など世界中でこのエクスペリエンスセンターを開業しており、日本の前には直近でもイタリアで開業したばかりである。

この手では先月16日付の当欄でも取り上げたあのコーンズが、同じく千葉に完全会員制ドライブコース(THE MAGARIGAWA CLUB)を建設中で来年末の開業を予定している。そのコースは世界中のF1サーキットを手掛けた名門のドイツの設計事務所に依頼し高台に建つクラブハウスには天然温泉、富士山を臨むプール、宿泊棟もあるという。

ちなみにこちらの会員権価格は2850万円、開業までに250人の正会員を募集としているとう事だが、脱炭素社会の気運で年々排ガス規制に騒音規制も厳しくなって来る社会の中で走る楽しさを感じられるような場所を提供したいという。同じ施設でもこちらはセカンダリーで冒頭のポルシェとは毛色を異にするが、何れにせよ斯様な場所を創設しクルマ文化が生き続けられるよう啓蒙している点では共通しているか。


上場意義を問う

本日の日経紙投資情報面には「コロナ下、経営改革狙う」と題し、今年1月から9月のMBO件数が前年同期比約2倍の15件と同期間で過去最多であった2011年に並ぶなど経営陣が参加する買収で株式を非公開化する動きが活発になっている旨の記事があった。背景にはこのコロナ禍で経営環境が悪化する中、金融緩和で資金調達のハードルが下がった側面もある。

思い出せば上記の2011年は前半の段階でザッと挙げても知名度の高いところでワインのエノテカ、幻冬舎、レンタル屋のCCC、引っ越しのアートコーポレーション等々次々とMBOのラッシュとなり、エノテカを巡ってはSMBC日興の役員がこれに乗りインサイダーで強制捜査を受けたオマケまで付いたが、商品業界からはユニコムグループホールディングスもまたMBOによってジャスダック市場からその姿を消した経緯がある。

ところでMBOといえば予てより指摘されてきたものにその買収価格の低さがありこれまでも経営陣と大株主のアクティビストとの間でこれに絡んだ物言いも少なくなかったが、ガバナンスの観点からもディスクロ含めた透明化が求められよう。もっともこれを選択する企業は直近の例を見ても長らく低PBRで放置されてきた向きも少なくないあたりこうした素地もあったワケだが、上場の意義を見直すうえで来年の東証の市場再編が背中を押す切っ掛けとなった部分もあろうか。


重点フォローアップ国

昨日の日経紙法務面には「仮想通貨、申告漏れにメス」と題し、暗号資産を巡る税務処理に国税当局が監視を強め大規模な税務調査などを手掛けている旨が出ていた。今や暗号資産の取引は日本でも急増し、日本暗号資産取引協会によれば3年前に8千億円強であった取引額は今年の5月には実に5兆円を超えていた模様だ。

暗号資産に関する税の専門家も黎明期だけに少ないのを逆手に取り法的にグレーと見られる節税策などを謳う業者も増殖している模様だが、この手の暗号資産はマネーロンダリングにも格好の素材として予てより挙げられている。マネロンといえば公表されているリスク・ランキングでは19年に米の一つ下の73位に位置していた日本だが、昨年には69位へと順位を上げ前回から100位に改善した米との格差が開いてきている。

こうした順位の変動を裏付けるように日本のマネーロンダリング摘発件数もここ10年右肩上がりで推移しているが、上記の暗号資産やスマホ決済などの普及でその手口も次第に複雑且つ巧妙化してきている事もあり、リスクランキングの順位が上がった事を軽視せずに踏まえ欧米並みの危機意識を改めて喚起するところだろうか。


捲土重来?

さて、周知の通り本日招集された臨時国会で自民党総裁の岸田氏が第100代首相に選出された。先の総裁選は下馬評を覆す?ような結果とも取られたが、結局は異端?ともいわれる河野氏を以てしての改革路線よりも安定路線を今回は取った感は否めないところで、その辺はこれまで明らかにされている所謂「3A」の意向が色濃く反映されそうな旧態依然の人事にも見られるところ。

斯様な政治イベントではマーケット関係者もヤキモキするところだが、週を通じて続落した先週の日経平均は既に菅総理が退陣表明をする前の水準にまで沈み結局往って来いとなっていたが、本日もこの流れは変わらず6日大幅続落となった。この背景には外部環境の悪化もあるものの、冒頭の通り新政権に対する改革への期待が後退し上昇を牽引した投資家中心に資金を引き上げる動きもあるのは否めないところか。

投資家目線では政治に安定より変化を求めていた証左でもあるが、確かに新総理のいうところの財政再建も突っ込みどころはあるし金融所得課税強化なども捉え方によっては「貯蓄から投資」の掛け声に逆行する悪手?とも取れないでもない。何れにしろ3年の任期、新総理には同じ轍を踏む事の無きよう各所の舵取りをお願いしたいところである。


オルタナティブでウイスキー

さて、今月アタマの日経紙・プラス1の「何でもランキング」はウイスキー知識であったが、この低正答率の4位には昨年8月に香港で行われた英競売会社ボナムスのオークションに出品され日本のウヰスキー1本の落札額として当時の世界記録となったサントリーホールディングスの「山崎55年」の落札価格を問う問題が出ていた。

世界的な日本のウイスキーへの評価の高まりでその輸出額は2010年の約17億円から2020年には約271億円とここ10年で16倍に。そのため国内では手に入り難くなった素地のところに、世界中に溢れた過剰流動性資金を背景に図らずも投機の対象となりその熱は上がり続けるばかりだ。ちなみに冒頭の落札価格、答えは驚きの8500万円であったが昨年6月に発売されてからわずか2ヵ月でその値段が約25倍以上に大化けした計算となる。

そういえば16日付の当欄で書いた「逸品会」でも同会限定で「希少ウイスキー4本セット」と称し、山崎25年に竹鶴25年それにクラウニングカスクとマッカラン30年のセットが約130万円で売られていたが、山崎25年だけでも巷の相場はだいたい140~170万円で流通しているワケであるからこれまた投機目線で見たら即買いのそれこそまさに「逸品」だろうか。

今から3年ほど前にも当欄では世界初のウイスキー・インベストメント・ファンドが設定1年で30%を超える評価益を上げていた旨を書いていたが、個別の銘柄では知識も必要になる為にメーカーの株式に投資する動きも見られ、MSCIワールド指数を米英仏の主要ワイン・ウイスキーメーカー5社の平均株価は10年前を1として見た場合、既に5を超え大きく上方乖離しておりオルタナティブ投資の枝葉もまだまだ伸びしろがあるといったところか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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