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コロナの歪み

本日の日経紙商品面には「貴金属、広がるゆがみ」と題し宝飾品や産業用に使用するプラチナや銀などの貴金属の国際市場間でも、ニューヨークの先物価格と現物を取引するロンドンやチューリッヒ等の欧州スポット価格との差がプラチナで2000年以降で最大となるなど目立って来た旨が出ていた。

通常この手のケースでは裁定が効いて価格差が縮まるものだが、このコロナ禍を背景とした国境閉鎖や商業航空の大幅な減便など物流リスクの影響で現物デリバリー前提の裁定取引が難しい事で冒頭の現象が起きており、英銀行大手HSBCなど先駆けとなった金のこうした誤算で大幅な評価損を出した旨も書いてあった。

銀行の金取引といえば株式等のバスケット取引などで機関投資家と証券会社間で遣り取りされる事も多いEFP取引が主流だが、ニューヨークとロンドンのオンス当たりの差がロックダウンによる影響で数十ドルに拡大した事が直撃した格好か。マイナス金利然り、先のWTIマイナス価格も然りでコロナが引き起こした未曾有の現象が今後各所にどう影響してくるのか引き続き目が離せない。


マザーズ指数の大台回復

さて、先月に当欄ではコロナ物色と題し末尾では「〜モデルナのようなバイオものは不動の本命、同社以外でも世界中で100超の企業・機関が躍起になってその開発に取り組んでおり今後も折に触れこの手の報道による局地戦が指数へのカンフル剤となる素地は残っている。」と書いたが、先週の日経夕刊にも最近の株式相場はワクチン開発を巡る話題に左右されているとの一文があった。

そんなワケで、国内ではタカラバイオが先週に年初来高値を更新していたが、同社といえば先週の日経紙企業面に「国産ワクチン開発の黒子」と題し存在感が高まっている旨も載っており、その株価は3月の安値からほぼ2倍に化けている。また彼らが取り組むDNAワクチンでは同社と共にアンジェスも挙がっていたが、こちらは2月の安値から実に6倍以上に大化けしている。

同社の場合タカラバイオより小粒ながら先週はコロナワクチンの臨床試験前倒し報道ではその売買代金が全市場トップとなった事などからマザーズ市場の売買代金が今年1の大商いとなった事に寄与、月替りの本日も同指数は2018年12月以来、約1年半ぶりに1000ポイント大台を回復しているが、相対的に良好な信用評価損率も背景にリスク選好がコロナ禍を餌とし好循環する構図はまだ続こうか。


特別な高3の夏

さて、週明けに開催された臨時12球団代表者会議でプロ野球は緊急事態宣言解除を受け6月に開幕の運びとなったが、野球といえば一方では日本高野連が春の選抜大会に続き夏の甲子園大会も中止とすることを先週に決定している。1915年に同大会が始まって以降中止といえば18年の米騒動や戦局悪化を受けた41年までさかのぼり戦後では初の事である。

中止といえば同じく夏に全国から30競技に約3万人規模の選手が参加するインターハイ(全国高校総合体育大会)も先月には全国高等学校体育連盟がこれまた1963年に始まって以降史上初となる中止の決定をしているが、ただでさえ部活動自粛で休止を余儀なくされるなか自主練習で一縷の望みにかけて来た面々の心中察するに余りあるか。

例年高3時の部活動での活躍で進路を決める生徒が多いなか、大学推薦枠もその条件に大会戦果等が前提となっているだけにこうした本命大会の中止が将来に与える影響は計り知れないだろう。既に全国高等学校体育連盟が代替大会開催を各都道府県高体連に要望、個々も動画投稿で進路アピールの動きも出て来ているが、関係各所は新たな推薦基準なりの道標を早急に策定するなどで進学を巡るセーフティーネット構築が焦眉の急だろうか。


不要不急の美容整形

さて緊急事態宣言は全面解除となったが、依然として日々リスクと隣り合わせの現場で戦う医療関係者には本当に頭が下がる思いである。ところで過日の日経紙夕刊に医療業界で妊娠中の医師や看護師が職務と感染リスクの板挟みになっている記事があったが、その隣には同じ医療業界でも美容整形を申し込む人が外出自粛の続くなかこれを逆手に取る格好で増えているという記事もあった。

つまり公に人目に付かない自粛期間をこれ幸いに術後の所謂ダウンタイムに充ててしまおうというもので、これまで手術の覚悟は決めていてもGW等の長期休暇は計画していたレジャーが優先となったりでダウンタイムの確保がなかなか取れなかった向きの需要が如何に多いかが浮き彫りになった格好か。

美容医療とはいえ休業要請対象から外れていた事も背景にはあるが、私の知人の看護師も貴重な医療資源を考えるに複雑な思いと漏らしていた。休校で小中学生女子の来院も少なくないとも言っていたがこんな世代まで美容整形を普通に施術する昨今、世の中何所に隠れていた爆発的需要が表面化するのかわからぬものだ。


楽観シナリオの効力

本日の日経紙商品面には「原油 楽観論頼みの急反発」と題し、史上初のマイナス圏という価格への暴落を記録したWTI原油相場がその後意外にも30ドル大台まで価格を回復させた背景に、サウジアラビア等の大幅減産継続と同時に先進国の経済活動再開で過剰在庫の解消が進むとの楽観シナリオがあるとの旨が書かれていた。

ちょうど1週間前に6月限は納会を迎えたが、5月限再来との大方の懸念を尻目に4月末の12ドル台から驚き?の30ドル台での落ちとなった。内外主力ファンド勢の機敏なロールオーバーが進んでいた部分もあるものの、今月上旬の時点で2ヵ月前より6割多かった貯蔵拠点の米クッシングのスペース等こちらにも変化が生じているのであろうか?

そういえば株式相場にしても本日も大幅続伸で3月上旬以来の21000円大台を回復しているが、日経平均に限らずリーマンショック時に準え一向に二番底が来ない相場を訝しがる向きもある。これまた冒頭のWTIよろしく楽観論頼みの反発なのか否か、各所で勃発したマイナス指標の如くコロナ後のニューノーマルもまた予測困難な世界か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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