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NTも乱高下

本日の日経平均は大規模経済対策を巡る共和党と民主党の話し合いが難航している事が失望を誘い週明けの米株式は大幅続落となっていたものの、FRBが国債購入無制限実施を発表、SOX等も大きく上昇した事で高寄与度銘柄の物色が旺盛で4年半ぶりの上げ幅で大幅続伸し18000円大台を回復した。

特筆すべきは上記の通りその高寄与度個別で、長年にわたるETF買いの影響で浮動玉も吸い上がっているのかどうか筆頭格のファーストリテイリングが5,600円超の暴騰を演じ200円以上の寄与に、またソフトバンクGも昨日のストップ高に続いて本日も大幅続伸し130円以上の寄与とこの2銘柄で本日の上げ幅の約四分の一を担った事になる。

そんなワケで先週には12.77まで低下したNT倍率は本日も拡大となっているが、NTといえば先週後半は続落する225を他所にTOPIXは不気味な続伸を演じ、昨日は寄り前のダウ先物がサーキットブレイカー発動交えた急落を演じていたにも拘らず、異様な回復力で急反発となるなどこの辺は日銀の過去最大となったETF購入との絡みを指摘する声も多い。更なる買い入れ額倍増政策で従来の常識で捉えられない動きが今後も増えて来るのは想像に難くないか。


REIT総崩れ

さて、先週に国土交通省が発表した2020年1月1日時点の公示地価は商業・工業・住宅の全用途平均が1.4%のプラスと5年連続の上昇となり、地方圏はバブル崩壊後の92年以来、28年ぶりの上昇となった。とはいえこの辺はインバウンドや都市再開発がけん引する構図だっただけに新型コロナウイルスの経済への打撃等で先行きの不透明感は否めないところ。

既に観光庁が19日発表したこところによると新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2月の訪日客全体では前年同月より58.3%減の108万5100人と激減しており、特に中国人旅行者は前年同月より87.9%減少と前月の22.6%増加から一転して1964年1月の調査開始以来、過去最大の下げ幅となった模様。

これらが如実に表れたのが先週19日の東証REIT指数で2013年1月以来、およそ7年2か月ぶりの水準に下落、先物もサーキットブレーカーが2回も発動される急落を演じた。当然ながら個別の方も高利回りを謳っていたベスト5などストップ安も交え軒並み急落し年初来安値を更新していた。

価格急落で何れも魅力的な利回りとなり本日は往って来いで急反発するモノもあったが、新型コロナウイルス感染拡大も加わり訪日客の増加は当面期待出来ず終息まで時間がかかればホテルや店舗進出が鈍る可能性も。観光地中心に今後の地価動向は暗雲漂うが東京五輪開催を巡る不確実性とも併せ低金利環境下で利回りを追求してきたものの不透明感はしばらく継続されるか。


需要減に救いの手

さて、今年のホワイトデーは当にコロナショックの直撃でそんな日本独自のイベントを楽しむ雰囲気にも無かったが、この辺に絡んでは先週末の閣僚後記者会見で農林水産相がコロナウイルスの影響で生花需要が大幅に減っている事を受け花卉業界を支援するためにホワイトデーにぜひ花を贈ってと呼びかけていたのが印象的だった。

花といえばブックオフ運営のリユース店もバレンタインの時期に規格外で通常廃棄されてしまう生花のテスト販売など行う動きがあったのを思い出すが、この手では感染拡大防止の「巣ごもり消費」の需要に応えるべく冷凍事業のデイブレイクも規格外の果物や野菜を原料にスムージー等の飲料販売をネットでスタートさせている。

ともあれちょうど年度替わりで卒業式や歓送迎会などこの時期は年間でも花は最需要期となっているものの、今年はこれが殆ど総崩れでとりわけ日持ちがしないという商品の特性上大きな痛手だ。折しもお花見の自粛要請まで出たという事でフローリストでは巣ごもりに絡んで桜の枝と行き場の無くなったこうした花を抱き合わせてセット販売する動きも出てきた。

思えば新型コロナウイルスのパンデミックによる連日の金融市場混乱で辟易している日常もせめて家庭で花を愛でる一時の癒しも一考というものだが、降って湧いたような需要の減少や規格外で廃棄されてしまうモノを生産者から買い取って活用するなどまさにSDGsの時流に乗った動きでもあり、今後もこの手の上記のような枝葉が広がってゆくのは想像に難くないか。


全てが安い

本日の日経紙・市場点描には「ヘッジファンド盟主も苦境」と題して、英ファイナンシャル・タイムズがコロナウイルスショックによる相場暴落で米ブリッジウォーター・アシスエーツ創業者が運用する旗艦ファンドの年初来成績がマイナス20%に達するなど急速に悪化している旨が書かれていた。

末尾にもあったが氏といえば世界最大のヘッジファンドを率い株式、債券、商品の各資産のリスクが均等になるよう分散投資するリスクパリティ運用の発明者で有名であったが、ここ30年の運用で年間収益マイナスがわずか3年、2008年のリーマンショックの時でさえプラスで乗り切った同氏もコロナウイルスはこれまでと勝手が違ったようだ。

確かに金などコロナウイルスの感染拡大につれて株が急落する中を当初は7年ぶりの高値まで大きく買われたものであったが、斯様な有事の金買いも暴力的相場下でパニック時の金売りに転じ昨年秋口の株式、金、債券等の「全部高」構図が今月に入って一転して「全部安」の構図になったという感じだ。

そんなワケで2008年のリーマンショックの時でさえプラスで乗り切った上記のファンド創業者もコロナウイルスの前には常勝の方程式も通用しなかったようだが、FRBも3日に続き事実上ゼロ金利政策に踏み切るなどこれら金融政策を背景に一相場を形成してきた金の逆戻しも続きこのまま「全部安」相場が継続されるのか否か、今後も各相場からは目が離せない展開か。


市場が語る期待度

先週末の米株式の暴騰を受けた週明けの株式市場だが結局日経平均は乱高下の末に大幅続落で引けた。新型コロナウイルスパンデミックで激震収まらぬ金融市場だが、先週のECB理事会では年末までの量的緩和策の規模拡大を決定したものの注目されていた政策金利の引き下げに関しては見送りとなった。

これに限らず金融安定化策として各国がどういった事を取り得るのか注目されていたが、FRBは3日に続き臨時の会合を開き政策金利を一気に1%下げ事実上のゼロ金利政策に踏み切る事を決定、先週はこのゼロ金利を織り込む動きが進んでいたが果たしての決定後今日のグローベックス米株価先物はサーキットブレイカーが発動されるほど急落の憂き目に遭っている。

一方で本邦も日銀は明後日から予定していた金融政策決定会合を前倒しで開き、ETF買い入れ年間目標額を現行の6兆円から当面12兆円に拡大する追加金融緩和策を決めた。ちょうど一週間前の当欄では日銀御ETF買い入れコストも意識されると書いたが、ETF買い入れ額は既に今月に入ってから先週12日まで累計で5000億円を突破し先月の1か月分に迫る勢いとなっている。

日銀の金融緩和はETF買い入れ目標額を拡大した2016年7月以来約3年8ヵ月ぶりとなるなど取り急ぎ各国とも現状で出来得る事の最大級の措置を打ち出して来たとみられるが、今日は何所のマーケットもその慌てぶりがかえって疑心暗鬼を誘う格好になってしまい肩透かしの展開。伝家の宝刀である金融緩和もこれで出尽くし感が台頭するようであるとその神通力にも陰りが出て来てしまうというものだがさて明日以降如何に。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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