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幻の構想再浮上

本日の日経平均は海外投資家のクリスマス休暇もあり積極的な売買が見送られるなか個人などからの持ち高調整の売りが出たこともあって反落となったが、そんな冴えない市場の中でもホンダ株と日産自動車株の大幅続伸が目立った。さてこの両社といえば本日の日経紙一面で報じられていた通り、経営統合に向け協議を始めることで合意している。

今後の絵としては持ち株会社を2026年8月に設立し両社が傘下に入るかっこうになるが、日産が筆頭株主となっている三菱自動車も参画を近々決断するはこびとなる。仮にこの経営統合が実現すれば販売台数で独フォルクスワーゲンに次ぐ世界3位の自動車グループとなるわけだが、かつてまだ日産が仏ルノーに支配されていた頃にも今回の3社連合構想が噂されていた時期があったのを思い出す。

そんな幻の構想が時を経て再び当時とは違う背景で現実味を帯びて来たのも何かの因縁を感じるが、これとてこの歴史的な円安下にある中で深刻な業績不振に陥っている企業だけに今後手放しで明るい未来が待っているとも考え難い。ただ今回のケースのような合従連衡は自動車に限らず他のセクターでも起き得る可能性があるわけだが、そういった形での上場銘柄淘汰が促進されれば世界の投資マネーを呼び込むカタリストともなりそうだ。


DEIに逆風

今月に入って米ナスダック総合株価指数は11日に初めて2万ポイントの大台を超え史上最高値を更新したが、これと同じ日にナスダック証券取引所に対し米連邦巡回区控訴裁判所は同取引所が上場企業に女性やマイノリティーの取締役選任を求める取締役会多様性ルールを無効と判断している。米では経営でのDEI推進に対する保守派の反発が強まり、企業によるこれら取り組みの後退が相次いでいる模様だ。

ザッと挙げても小売り大手「ウォルマート」はDEIに基づく行動基準を縮小することが明らかになっており、「ボーイング」はDEIの担当部署を解散、「ハーレーダビッドソン」も今年4月以降DEIの取り組みは実施せず、女性やマイノリティーの採用枠を無くしており、「フォード・モーター」もDEI評価のため外部組織が実施する企業調査への参加を中止している。

これら以外でも飲食系では「スターバックス」が役員報酬のDEI連動分を廃止、「モルソン・クアーズ」もDEI施策の取りやめを発表するなどしているが、次期大統領のトランプ氏もかつてもし再選したらDEIを終わらせる旨の発言をしており、トランプ氏と蜜月なイーロン・マスク氏もDEIを逆差別とXで投稿しておりリベラル派との間で火花を散らしている。

こうした世界中でブランドが浸透している大手企業の重要な顧客には保守派も少なくないだけにこれら選択をした向きも悩ましい部分があるとは思うが、多数の雇用の受け皿となるこの手の大企業の従業員層には黒人やヒスパニック系なども少なくないだけにこういった施策変更で今後の人事面や待遇面で影響が出ないかこの辺がまた懸念されるところでもある。


クリスマスケーキ2024

気が付けばクリスマスがもう来週に迫っているが、先週あたりからホテルや百貨店などは今年のクリスマスケーキの予約を締め切るところも出てきた。クリスマスケーキといえば3年前の2021年のこの時期に当欄では「甘くない今年のケーキ」と題し、砂糖や小麦に乳製品の値上げで甘い香りも吹き飛ぶ関係者の苦悩と書いたことがあったが、以降毎年のように材料費の高騰が続き一服の気配も無い。

今年の場合よく取り上げられていたところでは、先ず卵が記録的な猛暑で卵の生産量が減った事や、鳥インフルエンザの発生件数も過去最悪であった2022年とほぼ同じペースだということもあり最高値を更新、またカカオも当欄で何度か取り上げた通り国際取引価格は昨年から3倍以上に暴騰した事で専門店の仕入れ価格もそれに則し急騰し、イチゴも記録的な残暑の影響で品薄になり争奪戦の様相という。

そういったことで各所では関係者の苦悩の表情がうかがえるが、帝国データバンクが出している一般的なクリスマスケーキの平均価格も今年は昨年比149円、率にして3.4%の値上げと発表しているが、ラグジュアリーホテルや著名なパティスリーなど幾つかは昨年を大きく上回る価格転嫁や、価格据え置きでも号数が小さくなり価格換算では数千円も値上がりしている向きも多かった。

ところで冒頭の通りここ数年各所のクリスマスケーキ価格を見ているが、ホテル系の値決めはどういった基準なのか正直なところよくわからない。某ホテルではシンボル的なタワー型ケーキ価格がここ3年で約60%も上昇したが、近年急騰しているカカオやコーヒ-で作るオペラは3年で価格は1円も値上げしていない。また別の某ホテルではケーキの値段はほぼ変わらずの推移だが、クリスマス菓子のベラベッカはここ3年で70%も値上げしている。価格転嫁も匙加減一つといった感じだが、何処まで強気な価格転嫁が進むのか来年もまた注目しておきたい。


キオクシア上場 

本日は年内最後の大型案件となる半導体メモリー大手のキオクシアHDが東証プライム市場にはれて上場のはこびとなった。注目の初値は公開価格の1455円を1.03%下回る1440円となったが、あと切り返しを見せ大引は公開価格を10%上回る1601円となった。当初は上場時の時価総額目標を1兆5000億円と想定していたものだが、大引ベースで8630億円となった。

ところでこのキオクシア、東芝メモリと呼ぶ方が馴染みがあるがこの規模だけあってプライム市場ではあるが同市場の上場維持基準の流通株式比率は35%と定められているものの大型特例により現状の比率は28%にとどまる。今後は同比率の引き上げ等も課題になってくるが、舞台がセカンダリーに移行した後は大量の新株予約券付社債を保有し昨年の米WD社のメモリー事業統合交渉で反対姿勢を示した韓国のSKハイニックスの動きも気になる。

度重なる上場延期で煮え湯を飲まされた彼らの思惑如何にというところだが、彼らが新株予約券を株式に転換すれば約14%を出資する大株主として浮上する事になり、更なる出資状況によっては経営に関与してくる可能性が出てくるのかも気になるところでもあり今後も引き続きこの辺の動向には注視しておきたい。


美容若年化

東証プライム市場に上場している無添加化粧品大手ファンケルは本日から小学生のためのスキンケアシリーズ「クリアアップ」を直営店舗や通販などで発売している。小学生向けでは初という事だが、まだ成熟しきっていない低年齢層向けの市場に参入することによって親世代と共に彼らを取り込みブルーオーシャンの市場でシェアを拡大したい狙いも見える。

こうしたスキンケア等はまだ関心の薄い向きも多いものの、美容絡みでは以前にも書いたように若年層の美容意識の高まりで最近では小・中学生世代での脱毛施術が増加しており、某クリニックではここ数年で脱毛を希望する中学生が8倍以上に増加しているほか、中には小学生どころか3歳から脱毛できる子供向け脱毛サロンの存在もある。

一方こうした動きの裏で直近ではアリシアの破綻にみられるように帝国データバンクによればこのような脱毛サロン倒産件数は今年14件と昨年を抜いて過去最高を更新、この2年間で少なくとも27万人がこうした倒産の被害を受けたと分析している。代金前払いを原資にした大量広告や大幅値引きなどで顧客を獲得するビジネスモデルの在り方も問われているが、判断能力に乏しい若年層のリテラシー不足も懸念されるところである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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