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史上初の五輪延期

周知の通り今週アタマには新型コロナウイルスによる感染拡大の現状を鑑みIOCは臨時理事会を開き東京五輪・パラリンピックについて延期を含めて検討するとの発表が為されたが、首相とIOC会長の電話会議が速やかに行われ1年程度の延期が決定となった。先週の理事会後には抜本的決断を下す必要はないとの発表があったばかりだが果たしての一転、開催延期は史上初の事となる。

確かにこのところ主役の歴代メダリストなど各国のアスリートや協会が続々と批判を露わにし、強行突破が半ばコンセンサスとなっていたこの東京五輪開催に関してJOCの一部理事からも疑問の声が日増しに強くなりさすがのIOCも世論には抗えず方針を事実上転換せざるを得なかったという感じか。

個人的には経験があるので体操競技に関心があったが、こちらも東京オリンピック出場枠が懸かった来月4日〜5日に開催予定だったワールドカップ東京大会が中止に、更に暗雲漂う来月の全日本選手権もこれまた五輪代表選考にかかわる大会であったが来年へ延期ともなるとこれを一旦外す大会になるのか否か、来季はルール変更の可能性もありこれらと併せ非常に気になるところだ。

またオリンピック同様に4年に一度開かれるサッカー欧州選手権や南米選手権はそれぞれ1年の延期を決定、テニスの全仏オープンも9月に延期となり実に全米オープンの1週間後という驚きの日程が世間をザワつかせたが、オリンピックこそ他人事でなく来年や再来年は既に多くのスポーツの主要国際大会のスケジュールが犇めいており日程調整にどの程度の協力が得られるのだろうか。

ともあれ上記の通り多数のメジャー大会がいち早く延期を決め、当事者や関係者からも非難轟轟の声が上がるなか粛々と聖火リレーを敢行しようとしていた得も言われぬ違和感もこれで一先ず解消へ。目先は日程が何時になるのかが気になるところだが各々の複雑な事情と共に未曾有の試練は始まったばかりか。


アンワインド合戦

本日も日経平均は前日に過去最大となる上昇幅を演じたダウ工業株30種平均を受け、昨日に続いて1,000円超えの急騰を演じて1994年1月以来、26年2か月ぶりの大きさで歴代5位の上昇幅を記録する大幅続伸となった。これで今週に入ってからわずか3営業日で約3,000円も上げたという事になる。

つい先週の日経夕刊投信番付では上昇率上位8本にはズラリと所謂「ベア型」が並び、1位の楽天日本株3.8倍ベアは2週間で104%の上昇となった旨が載っていたが、斯様なアンワインドが発生すると昨日今日の全市場値下がり率ランキング10傑にはズラリとVIXやVI、インバース系ETFのメンツが出揃っていた。

ちなみに昨日ストップ安まで叩かれる憂き目に遭っていたのは先週末に年初来高値を更新したばかりのVIX短期先物指数であったが、本日の値下がりトップは同じくストップ安まで叩かれた日経平均VI先物指数ETNでこれまた先週末には年初来高値を更新していた。このVI、昨日は8日ぶりに急低下したものの本日は日経平均の大幅続伸にもかかわらず上昇に転じ40ポイント台後半を維持しているあたり市場の根強い警戒感は否めないか。


NTも乱高下

本日の日経平均は大規模経済対策を巡る共和党と民主党の話し合いが難航している事が失望を誘い週明けの米株式は大幅続落となっていたものの、FRBが国債購入無制限実施を発表、SOX等も大きく上昇した事で高寄与度銘柄の物色が旺盛で4年半ぶりの上げ幅で大幅続伸し18000円大台を回復した。

特筆すべきは上記の通りその高寄与度個別で、長年にわたるETF買いの影響で浮動玉も吸い上がっているのかどうか筆頭格のファーストリテイリングが5,600円超の暴騰を演じ200円以上の寄与に、またソフトバンクGも昨日のストップ高に続いて本日も大幅続伸し130円以上の寄与とこの2銘柄で本日の上げ幅の約四分の一を担った事になる。

そんなワケで先週には12.77まで低下したNT倍率は本日も拡大となっているが、NTといえば先週後半は続落する225を他所にTOPIXは不気味な続伸を演じ、昨日は寄り前のダウ先物がサーキットブレイカー発動交えた急落を演じていたにも拘らず、異様な回復力で急反発となるなどこの辺は日銀の過去最大となったETF購入との絡みを指摘する声も多い。更なる買い入れ額倍増政策で従来の常識で捉えられない動きが今後も増えて来るのは想像に難くないか。


REIT総崩れ

さて、先週に国土交通省が発表した2020年1月1日時点の公示地価は商業・工業・住宅の全用途平均が1.4%のプラスと5年連続の上昇となり、地方圏はバブル崩壊後の92年以来、28年ぶりの上昇となった。とはいえこの辺はインバウンドや都市再開発がけん引する構図だっただけに新型コロナウイルスの経済への打撃等で先行きの不透明感は否めないところ。

既に観光庁が19日発表したこところによると新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2月の訪日客全体では前年同月より58.3%減の108万5100人と激減しており、特に中国人旅行者は前年同月より87.9%減少と前月の22.6%増加から一転して1964年1月の調査開始以来、過去最大の下げ幅となった模様。

これらが如実に表れたのが先週19日の東証REIT指数で2013年1月以来、およそ7年2か月ぶりの水準に下落、先物もサーキットブレーカーが2回も発動される急落を演じた。当然ながら個別の方も高利回りを謳っていたベスト5などストップ安も交え軒並み急落し年初来安値を更新していた。

価格急落で何れも魅力的な利回りとなり本日は往って来いで急反発するモノもあったが、新型コロナウイルス感染拡大も加わり訪日客の増加は当面期待出来ず終息まで時間がかかればホテルや店舗進出が鈍る可能性も。観光地中心に今後の地価動向は暗雲漂うが東京五輪開催を巡る不確実性とも併せ低金利環境下で利回りを追求してきたものの不透明感はしばらく継続されるか。


需要減に救いの手

さて、今年のホワイトデーは当にコロナショックの直撃でそんな日本独自のイベントを楽しむ雰囲気にも無かったが、この辺に絡んでは先週末の閣僚後記者会見で農林水産相がコロナウイルスの影響で生花需要が大幅に減っている事を受け花卉業界を支援するためにホワイトデーにぜひ花を贈ってと呼びかけていたのが印象的だった。

花といえばブックオフ運営のリユース店もバレンタインの時期に規格外で通常廃棄されてしまう生花のテスト販売など行う動きがあったのを思い出すが、この手では感染拡大防止の「巣ごもり消費」の需要に応えるべく冷凍事業のデイブレイクも規格外の果物や野菜を原料にスムージー等の飲料販売をネットでスタートさせている。

ともあれちょうど年度替わりで卒業式や歓送迎会などこの時期は年間でも花は最需要期となっているものの、今年はこれが殆ど総崩れでとりわけ日持ちがしないという商品の特性上大きな痛手だ。折しもお花見の自粛要請まで出たという事でフローリストでは巣ごもりに絡んで桜の枝と行き場の無くなったこうした花を抱き合わせてセット販売する動きも出てきた。

思えば新型コロナウイルスのパンデミックによる連日の金融市場混乱で辟易している日常もせめて家庭で花を愛でる一時の癒しも一考というものだが、降って湧いたような需要の減少や規格外で廃棄されてしまうモノを生産者から買い取って活用するなどまさにSDGsの時流に乗った動きでもあり、今後もこの手の上記のような枝葉が広がってゆくのは想像に難くないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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