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技術進歩と本質

さて、先週から話題になっているニュースといえばオリンピックの選考を間近に控えるなか、次々と世界記録を打ち出しているナイキの厚底シューズを近く世界陸連が使用禁止にする可能性があるという件か。何しろ日本記録を相次いで更新した2人の選手や、昨年の東京オリンピック選考レースでは代表内定の男女4人のうち3人がこのシューズを使用。直近の箱根駅伝では選手の84%がこれを使用していたというからその影響は計り知れない。

この報で先ず直ぐに思い出したのが競泳の英スピード社が開発した無縫製水着レーザー・レーサー問題か。既にマイケルフェルプスが席巻していた2008年北京オリンピックで登場し世界記録を樹立した金メダリストの94%がこれを着用、北島康介選手もこれを着用し平泳ぎで世界記録を更新し2大会連続の2冠を達成したものだったが、2010年にFINA(国際水泳連盟)がこれを使用禁止にして高速水着時代は終焉を迎えた経緯がある。

この報を受けた先週はアシックス社の株価がザラバで7.9%高まで急騰する場面があったが、同社も1960年代にはマメが出来難いエアーベントシステムを取り入れたシューズのマジック・ランナーを開発、魔法の靴として絶賛され実際に国際大会のマラソンでこれを履いた日本人選手は銀メダルを獲得した経緯もある。

この手では他にゴルフも2008年より施行された世界共通SLEルールによって試合でスプリング効果を持つ高反発ドライバーの使用が禁止になるなど高性能モノに待ったが掛かった例はいろいろあるが、各々の禁止ラインが個別で測れずその線引きはじめメーカーが絡んだ圧力や忖度思惑など一般には不透明極まりないのは否めないところ。

何れにせよ世界陸連側は今月末に調査結果を発表する見通しというが、ただでさえコースがコロコロ変わったり今回のようにオリンピック選考を間近に控えたところで突然厚底がダメ云々、それに合わせた選手の調整変更やモチベーションの問題はもとより開発に鎬を削っている企業の為にも早急な結論が急がれるところか。


金との差異

本日の日経紙金融経済面には「仮想通貨 遠い投資対象」と題し、暗号資産(仮想通貨)が機関投資家の参入が限定的で、19年に新設されたファンドは17年や18年の約300から約130へと半減、撤退したファンドも約70と18年の50から増加するなど投資対象として厳しい環境に置かれている旨が載っていた。

投資対象という絡みではビットコインのETFなど当欄では一昨年の夏あたりから何度も取り上げ昨年夏にはCBOE(シカゴ・オプション取引所)が自ら申請を取り下げた旨を書いていたが、これと時を同じくし同所は17年から開始していた先物の取り扱いを取り止め、この後にICE(米インターコンチネンタル取引所)が始めた先物もリクイディティーを確保出来ていない状況という。

斯様にヘッジ手段が乏しくなれば表題にあるように投資対象としての魅力は乏しくなってしまうものだが、当初は発行体を持たない事でソブリンリスクが意識される局面では金(ゴールド)と共に括られてきたモノも諸々の申請過程を見るに金とはやはり一括りには出来ぬ仮想の部分がクローズアップされてきた感がするか。


アクティビストもまた

昨日は東芝のニューフレアテクノロジー社へのTOB成立の旨を買いたが、このTOB成立の鍵を握っていたニューフレア社大株主の東芝機械もまた旧村上ファンド系のオフィスサポートからTOBを実施する旨の通告を受け、当の東芝機械側は事前に防衛策の内容を開示するという手段に出ている。

ところで旧村上ファンド系といえば南青山不動産が昨年末に昨日取り上げていたニューフレアテクノロジー社の大量保有報告を提出していたのが記憶に新しいが、HOYAが同社にTOBを仕掛けたとの報道後にこのニューフレアテクノロジー株を売却していたのもいろいろと関係者の思惑を呼んでいる。

買収防衛策を巡っては近年では廃止の方向というのが世間の機運となっているが、一方で今回のようにルール等を設定・公表する事前警告型を新たに設けるケースも数年前から散見されていた。低金利環境長期化や証券会社もまた本日の日経紙にも出ていたように代理人業務における姿勢の変化など、今年もアクティビストにとっては追い風で摩擦をもいとわない姿勢でのTOBは引き続き増えて来る可能性が高いか。


勝算追究

さて、先週末の日経紙総合面には「HOYA、ニューフレア買収断念」と題し、東芝が半導体製造装置の上場子会社であるニューフレアテクノロジー社に対してのTOBが成立した事に伴い、同じくニューフレア社に対しTOBの方針を表明していたHOYAが同社の買収を断念した旨が載っていた。

この件に関しては当欄でもちょうど一カ月くらい前に取り上げていたが、TOB成立のカギを握っていた大株主の東芝機械が応募した事でやはりというかHOYAの芽は無くなったというところで、HOYAのCEOも当初より数年の話し合いの間で東芝側から明確な回答を得られず可能性は五分五分としていた通り淡々とした気持ちという感じか。

昨年に国内で届けられたTOBの総額は一昨年のそれの2倍以上上回り2007年以来の高水準に膨らんでいるが以前にも書いた通り水面下で青写真を描く案件は多く、今後もガバナンスを背景に純粋に親和性を追求し規模に拘らず勝算のある案件であるなら積極的に打って出る姿勢は続こうか。


実証実験開始

さて、今週からコンビニや駅ナカなどでフードロス対策の実証実験等がスタートした事もあってか今週放映されたWBSやガイヤの夜明けでは同じ日にこの問題を取り上げ、昨日のFNN LiveNewsでも同じくこの問題を取り上げている場面があるなど今週のTVではこのテーマを見掛ける機会が多かった。

昨年のTV番組でこの問題が取り上げられた際にはコンビニなどでは店頭に並んで数時間で廃棄処分の憂き目に遭う冬の風物詩おでんは廃止してゆく方向とする旨の報道もあったが、今回はファミマがその対策としてレンジで温めて食べるおでん(レンジアップおでん)を開発し一部店舗で発売が始まった。

東京都も食品ロスを2050年に実質ゼロとする目標を先に定めているが、東京駅では駅ナカのベーカリーが売れ残りのパンをフードアプリ(TABETE)によるロス対策や、従業員向けに売れ残りパンを駅ナカ施設としては初めて販売する(レスキューデリ)の実証実験を今週からスタートさせている。

また一流シェフらによる未利用野菜等を使うフードロス対策の様子も放映されていたが、3分の1ルールで弾かれた賞味期限の近い商品を売るスーパーも近年増加してきているなど、消費者側としては勿体無い云々などの大義名分のもとに廃棄を減らすというより定価の何分の1にもなったコスト等に魅力を感じている構図か。何れにせよ形態はどうあれフードロス対策も新たな食の選択肢を楽しむアイデアと共に日進月歩の展開か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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