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退避先?のIPO

本日の日経平均は前週末に急反落していた週末の米株式や、1日に中国政府が米製品に対する追加関税を従来の最大10%から最大25%にする報復措置を発動した事等を嫌気して4日続落となったが、そんな中で先週末に令和に改元となって初のIPOとなったソフトウェアのテスト・検証サービスを手掛けるバルテス株が本日も大幅続伸となっていたのが目立っていた。

このバルテス株、上場したのは先週木曜だったが初日は買い気配で値が付かず、翌日にようやく公開価格660円に対して2.76倍となる1,820円で初値を付けるに至ったが、これで初値が公開価格を上回るIPOは15社連続となり株式マーケットが全体に軟調展開を強いられるなか個人のホットマネーがIPOに向っている旨が窺える。

当欄でIPO絡みといえば今年の3月に取り上げその時の末尾には成長期待の高い予備軍が控え新年度以降も引き続き注目と書いたが、果たしてIPOインデックスは4月末比で1%上昇と上記の通り日経平均とは対照的だが、現況は退避先と見られている斯様な構図も上場申請関連書類等のハードルも上がり成長期待が背景にあるだけに一過性のものか否か今後に控えるIPOも目が離せない。


サブスク

さて今週の日経紙夕刊・ニュースぷらすには「コーヒー代無理なく節約」と題し、月額飲み放題を賢く利用するなど節約するヒント等が出ていたが、こうした飲食モノに限らずアパレル、ファニチャーから動画音楽配信まで近年は本当にこの所謂サブスクリプションが巷を席巻している。

昨日の日経MJ紙でもやきとり屋展開のゼロスターが来月から定額制の手羽先食べ放題を導入する旨が載っていたが、会員数が増えようが基本コストにあまり変化のないデジタルコンテンツとは違って飲食の場合は会員数増加に比例してそのコストも膨らむだけに誤算から撤退組もチラホラ出てきている。

若年層のクルマ離れも言われて久しいが、使用頻度が毎日でなければ維持費を払い所有する必要性を感じない時代になっており私の近所のガソリンスタンドなどここ1年で洗車サービスまで無くなりほとんどレンタカー屋になった。この辺はアパレルもまた然りで車ほどでないにしろメンテ費用の観点からこれまた定額制が人気だ。

ITの発達で斯様な自動車シェアやアパレルのコーディネート提案など飛躍的に枝葉が広がる一方で上記の通り飲食サービスは明暗が分かれつつあり、今後のサブスクリプションは企業側も消費者も双方ここから取捨選択が進んでこようか。


文具業界もまた

本日の日経紙企業面には「コクヨ間接出資ぺんてるが反発」と題し、筆記用具大手のぺんてるが同社の合意を得ずにコクヨが東証一部のマーキュリアインベストメントを通じ間接出資している件で、経営の独立性が脅かされるとして同社への反発を強めている旨が載っていた。

この両者、今年2月のTBSジョブチューン「文具メーカーが大集結!他社のスゴいところぶっちゃけSP」では、ぺんてるの文字を書いたりイラストを描いたりする事の出来る筆ペン「アートブラッシュ」をコクヨの社員が絶賛するシーンもあり、微笑ましく映ったりしたものだがやはり社員と経営陣とでは事情は異なるようだ。

この件、一部にはぺんてるが本当は株式を持ってもらいたかったのは、上記の番組でコクヨと共にぺんてるの「アートブラッシュ」を絶賛していた同業大手のプラスであるという話もあるが、何れにしろ結末次第で構図が大きく動きそうな経営権を巡る身近な業界のゴタゴタだけに今後の行方も目が離せない。


同時並行

昨日の日経紙エコノフォーカスでは「現金需要なお強く」と題し、日米欧の先進国でクレジットカードなどを使うキャッシュレス決済比率の高い国も含む各国・地域で預金金利の低さといった金融環境などを背景として、ここ5年間に現金流通高が2〜4割増えるなど急増している旨が出ていた。

冒頭には駅の券売機からスマホで現金を引き出せるサービスが載っていたが、先の新紙幣と併せキャッシュレス決済手段が広がるなかでのこうした現金需要増の違和感について過日のTV放映でもコメンテーターが同様な事を言っていたのを思い出した。

当欄では昨年末にキャッシュレスの伸びしろについて書いた事があったが、当時も書いたようにクレカが普及している土壌というのも然る事乍ら、記憶に新しいサイバー攻撃による仮想通貨の大量流出事件や盗難パスワードの悪用事件等々キャッシュレスへの踏み出しに躊躇する材料目白押しな背景等もあり先ずはこれらの不安払拭も課題だろうか。


ゼロサム

さて、先週木曜の日経紙夕刊には「ふるさと納税返戻品「地場縛り」に動揺」と題して、6月からのふるさと納税の新制度で返戻品が地場産品で限定される事を受け友好都市の特産品の取り扱いを止めたり、市外で生産している為にゆかりの品でも継続出来なくなったりと各地の自治体が対応に追われている旨が出ていた。

6月からの新制度に絡んでは今年の3月に当欄でも通知法律化を経てどういった処遇になるのか注目されるところと書いたが、はたしてというか総務省は今月中旬には捨て身?の掻き集めに出て何かと話題を振り撒いた4市町の参加を認めない旨の発表をし、寄付しても制度上の税優遇は受けられないという事になる。

これに伴って応分の駆け込み需要も予想通りの発生となったが、日経紙調査によれば全国810市区の18年度ふるさと納税の寄付受け入れ合計額は17年度比で29%増の2704億円となり、これをベースとして流出する住民税の金額は前年度比で2割以上増えることが明らかになっている。

総務省が苦言を呈し始めてから約4年でこのゼロサム?ゲームにも一応の釘が刺されるかっこうとなったが、上記の通り都市部自治体の財政への打撃は小さくない。性善説ベースとはいえ自治体と営利企業が絡む構図上競争が生まれないワケが無く、適正規模がこの新制度で図れるのか否か今後も注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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