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25%超のこれから

昨日の日経紙社説には「長期的な成果へ公的年金運用を透明に」と題し、冒頭に156兆円の資産を持つ年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2017年度に10兆810億円の収益を挙げた旨が載っていた。14年に国債中心だった運用を変更し株式などリスク資産を増やしてきたが昨年末には国内株の運用比率が初めて25%の目安を超えている。

文中には環境や社会との共存も意識しつつ企業が経営効率を上げ、評価が高まれば運用収益の底上げに繋がると期待できるとあったが、この辺に関しては昨年から所謂ESG企業に絞った投資を開始し1.5兆円を投じている模様で、これらの企業は長期で株価上昇や安定した配当が期待出来るという見方をしている。

斯様にスチュワードシップ・コードへの取り組みなどが注目される一方でもう一つのコード、コーポレートガバナンス・コードに絡んでは逆行する部分があるなどの指摘は依然として喧しい。クジラの如く幅広く買い漁るさまから現代版PKOとも揶揄されて久しいが、株価嵩上げの構図が一区切りしたとされるいま上記のESG含め次の一手が注目される期に差し掛かっている。


NUDE

さて、先月の日経紙・STYLE/Artでは「ピカソの中に透ける浮世絵」と題し、浮世絵の葛飾北斎との親和性を引き合いにピカソの裸婦シリーズの中の作品が紹介されていたが、今年は各所の展でもピカソの絵を観る機会が多い。直近では先月末に終了した横浜美術館の「英国テートコレクション・NUDE」でも日経紙とは違った裸婦モノを観た。

もともとピカソ目当てでは無く、此処ではパンフレット表紙にもなっている目玉のオーギュスト・ロダンの「接吻」を観に行ったのが、美術館では珍しく撮影もOKと緩く流石に圧巻であった。彼方此方でレプリカが販売されてはいるがやはりテートコレクションのオリジナルは艶が違う。

という事で一方のピカソ。日経紙STYLEに出ていたのは1932年の「横たわる裸婦」だったが、先月の私の履歴書でも作家の阿刀田高氏がおそらく1909年のフェルナンドシリーズのピカソの裸体画に触れている。浜美の同展では晩年に近い1968年の作品「首飾りをした裸婦」であったが、フェルナンドとは全く異なるタッチで氏の情感が窺える作品であった。

他にピカソのものではエッチングも2点あったがいずれも貴重なコレクションで、人間にとって最も身近といえるこのテーマに向き合ってきた約200年にわたる裸体表現の歴史を一堂に会して観られ、また時代と共に変化してきた表現も同時に見ることの出来るなかなか濃い展であった。


貴金属安と鉱山問題

本日の日経紙マーケット面では、プラチナが主産国である南アの通貨安に加えて産業用に多く使う事から米貿易摩擦深刻化の思惑で売りが先行、日本時間3日夕方時点でNY先物が1トロイオンス810ドル台と約10年ぶりの安値圏に沈み、国内の先物も9年半ぶりの安値を付けた旨が書かれていた。

金に対して下鞘に沈んでからはや3年半、その後も両者の価格差は拡大を続けているが、米貿易摩擦問題に絡んでは中国が米国に対して報復関税の発動に踏み切れば更に一段安の懸念も言われている。一方で金もまた2日のNYで先物中心限月が一時1,240.6ドルと、中心限月としては2017年12月以来の安値を付けた旨が昨日の日経紙夕刊に載っていた。

文中ではRBCキャピタル・マーケットのストラテジストがETFの見切り売りで金価格の下げにも拍車がかかったとしているが、スパンを変えて見てみるとWGC纏めでは今年5月末のETF残高は2484トンとトランプ大統領当選時期から積み上がりを見せ、15年12月末からは2年半で5割強が増加した旨が報じられている。

ドルの逆の動きをし易い金は上記のプラチナと共に更に一段安との予測も出ているが、生産量漸減傾向に見られる金採掘ピークアウト論も中長期的な下支え要因として言われており、こうした生産減少は主要生産国のプラチナの鉱山にも先行き言われている事で今後はこの辺も頭の片隅に置きながら両者を見てゆきたい。


ブランド構築の難しさ

さて、昨日の日経MJ紙では「匠と美 時計に価値刻む」と題してセイコーウォッチが海外でブランド力を高めようと英米に直営店をオープンしたり、今年の4月には世界最大級の家具・デザイン見本市「ミラノサローネ」に初出展するなどマーケティングに力を入れている旨が書かれていた。

マーケティングといえば他にその前に開催された「バーゼルワールド」においてもグランドセイコーは独立ブース設置などを試みているが、かつて創業家の社長が機械式高級時計の代名詞であるスイス勢をどうしても超えられない壁があると日経紙で書いていたのを思い出す。

レクサスなんぞもそうだが匠が売りの製品は一昔前に比べ最近は一気に強気な価格設定になった感もあるが、この時計然りで本邦勢が長年構築してきたブランドイメージは当に廉価高品質であり後発組の新興勢でも超高額モノがブランド構築に成功している生い立ちとは背景が違うところが壁の高さで、単に価格を世界標準にすればよいというところでない気がする。


今年の争会

さて先月末で2018年の3月期決算企業の定時株主総会シーズンが幕を閉じたが、先週末の日経紙でも「株主総会 反対票が磨く」と題しトップの選任案に反対票が膨らんだり、アクティビストら物言う株主からの提案に賛成票が集まったりと会社側の思惑通りには進まない緊迫した場面が目立った旨が書いてあった。

終ってみれば業績低迷や不祥事発覚企業はもとよりアクティビストが前々から睨みを利かせている企業まで、今回も象徴的であったのはトップの選任議案への反対票の増加ぶりで教科書通りの増加ぶりとなっていた。またちょうど1週間前も書いたように株主提案を受けた企業も今年は過去最多の42社に上っている。

総会が争会とも表現されるようになった近年だが、確かに或る意味かつて総会屋がシャンシャンと仕切っていた時期より経営陣は今の方が明らかに総会対策が大変なのではないだろうか?勿論内容は企業の将来を見据えた前向きなものではあるが、それもこれも持ち合い株減少等も背景に株主が自ら事案を吟味出来るようなガラス張り構造になってきた事が大きく今後もどう前進してゆくのか注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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