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ブランド化と保護

さて、先週は「返り咲いたコシヒカリ」と題し発熱しているブランド米の構図を取り上げたが、昨年末に米国を除く11カ国からなるTPP11(環太平洋経済連携協定)が発効されこれまで以上に安価な輸入牛肉が流入する事への警戒感を背景に牛肉の世界も一部上場大手や全農等を中心にしてブランド化の動きが相次いでいる。

実際のところ先月末に財務省が発表した貿易統計では品目別で牛肉輸入量は前年同月の1.5倍となり生産者のブランディングも益々課題になってくるだろうが、最近では並行して和牛の遺伝資源が所定の輸出検査をしないで海外に流出しそこでの生産に繋がっているケースが発覚し問題になっている。

この肉に限らず、例えば平昌五輪で活躍したカーリング女子のもぐもぐタイムで物議を醸し出した「流出苺」やら他にシャインマスカットなども問題になった事があるが、フルーツ等含めた農業の分野は知的財産が多く大切に創造した日本ブランドの海外流出は日本の輸出機会の脅威になり得る事でその対策も今後の課題だろうか。


本来の姿へ回帰?

さて、先週末の日経紙総合面では360億円という見出しと共に、大阪府の泉佐野市のふるさと納税の寄付受け入れ額が2018年度に360億円となる見込みだと先月末に発表された旨の記事が載っていたが、果たして前年度の実に2.7倍となるなど一人気を吐く構図が鮮明になった格好だ。

同自治体に関しては先月も何所ぞのスマホ決済キャンペーンで見掛けた大盤振る舞いの100億円還元キャンペーンに便乗?したような裏ふるさと納税を先月取り上げたばかりだが、それにしても捨て身の行動による費用対効果は其れなりに数字に跳ね返り応分の結果を出したといったところだろうか。

今後の6月の通知法律化を経てどういった処遇になるのか注目されるところだが、ここ数年含めた斯様なバブル期を経て今後どう変遷してゆくのか。最近では地域が抱える課題を明確に出しそれに共感する人が金を出すクラウドファンディング型が俄かに流行ってきた感もあるが、本来の姿への転換点になるのかどうか今後も注目である。


構想また一歩前進

さて、今週気になった記事といえば昨日の日経紙金融経済面の「貴金属や農産品 大阪に取引移管」と題し、日本取引所グループと東京商品取引所との間で東商取が扱う金などの貴金属や農産物を日本取引所傘下の大阪取引所に移す事で大筋合意したとの件か。

構想自体はあったものの単独路線への拘りもあり遅々として進まなかったものが約3年前に大阪取引所の売買システムの共同利用へと動きが出始め、改めて両者が総合取引所の創設に向け統合協議に入る旨の話が報じられたのが当欄でも取り上げた昨年の秋口頃であったがこれでまた一歩前進といったところか。

今後先ずは夏頃をメドとして予定されている日本取引所グループによる東京商品取引所へのTOBによる100%子会社化がスムーズに運ぶかどうかだが、いずれにせよ当初の内閣府の作業部会から12年が経過、競争力で見劣りする現況から国際標準入りし海外取引所とも互角に渡り合うという悲願を賭け縦割り行政や現行規制にメスが入るのかどうか今後も注目が怠れない。


返り咲いたコシヒカリ

さて、本日は去年生産されたコメの味わいランキングが発表されたが、特Aには過去最多となる55銘柄が選ばれることになり、28連覇を誇った新潟県の魚沼コシヒカリがまさかの最上位から転落する事態となった去年の雪辱を果たすべく同銘柄が再度最上位に輝くこととなった。

特A米は平成元年に13銘柄だったものが、この30年で42銘柄増えて55銘柄になっている。9銘柄が今年新たに特Aとなり3銘柄は初出品での特Aとなり協会側は各地域の努力を謳っているが、そんな背景には消費減から販売競争が激化しパイの奪い合いからブランド化の必要性が重要となってきた経緯がある。

今後もこうした傾向に拍車がかかってくるかどうかというところだが、新潟コシヒカリといえば先物市場の方も主力の新潟コシヒカリ先物残高が2月下旬時点で2018年末比の4倍となるなど投資資金が流入し始めた旨が先週末の日経紙に載っていた。異例の試験上場延長申請にシステム問題等で何かとザワついた経緯があったが、派生商品の登場などもあり残高増が継続するかどうかこちらも関心が向くところ。


社外取締役の効力

本日の日経紙には「上場子会社に独立取締役」と題し、政府が新たな指針を作成し子会社の取締役会で独立した社外取締役の比率を高めるよう求める一方で、親会社には親子上場を維持する合理的な理由を開示させるなど親子上場している企業グループの利益相反を抑える仕組みを作る旨が出ていた。

親子上場といえば直近でやはり記憶に新しいのは、上場後もなおソフトバンクグループが6割強の株式を保有して筆頭株主に君臨するという構図が変らないという昨年末に上場したソフトバンクということになるが、企業誘致問題とも併せてJPXもそれ相応のジレンマがあったのは想像に難くない。

ところで社外取締役といえば他に運用会社も投資先企業に対し独立した社外取締役を増やすことを求める動きも出てきているが、長年の日本の特異な慣行が燻るなかでも斯様にガバナンス・コード改定等を背景に海外投資家などに忖度した動きが粛々と進行しつつある機運にもなってきたか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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