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寡占と規制緩和

さて、先週末の株式市場ではKDDIが2週間ぶり安値、NTTドコモとソフトバンクも一時3%下げるなど携帯大手の大幅安が目立っていた。これはいうまでもなくあの楽天が前日に携帯電話事業に参入と発表したのを嫌気したもので、国内市場が飽和状態で契約数の大幅な伸びが見込み難いところへの新規参入で競争が更に激化すると懸念されたところに因るもの。

このKDDIやNTTドコモは戻り切っていないものの、ソフトバンクは今日の寄り付きでこの急落前の水準を回復するなど戻り急となってきている。KDDIにしても日経紙銘柄診断の項では来期の営業利益1兆円超を視野に入れ株価調整は一時的との見方をするなどしているが、成る程まさに寡占状態の国内通信市場を見るにこれも頷ける。

楽天にしても電波割り当て申請し周波数帯の認可が下りればイー・アクセス以来13年ぶりとなるが、とはいえ基地局整備コストやなにより契約者数確保など新規参入のハードルは高い。長らく過剰利益が指摘されてきた国内寡占市場へ表明している2019年のサービス開始が叶うか否か、風穴を開ける期待も乗せて注目される。


香香熱

さて、いよいよ明日から上野動物園で今年6月に誕生したジャイアントパンダの子ども香香(シャンシャン)の一般公開が始まる。当のシャンシャンはこれまで多くの来園者に慣れさせる訓練を繰り返してきたが、職員も誘導訓練からテロ対策までその準備が最終段階となっており、周辺施設もパンダ関連グッズを数多取り揃えパンダ一色となっている。

まるで45年前のカンカンとランランの初来日を彷彿させるような熱気だが、今回の一般公開は1日400組という事前抽選制となっており実に最大で144倍の当選倍率との報が為されているがこうした抽選制はこれが初という。斯様な来園客数増加で園内の文化施設はもとより周辺施設にも経済効果の期待がかかる。

周辺施設といえば株式市場ではジャスダック上場の上野恩賜公園の老舗西洋料理「精養軒」などはこれまで赤ちゃんパンダに関して肩透かし交え何度となく反応してきたが、この明日公開決定発表の報では年明けの700円台から3倍超に大化けし2,000円の大台を突破するなど実に約21年2か月ぶり高値水準を示現、他に東天紅も然りだが今後もこれらと併せその経済効果にも今後は注目して行きたい。


師走のIPOラッシュ

昨日は今年最大のIPOと注目された佐川急便を傘下に擁するSGHDがはれて上場となったが、注目の初値は公開価格1,620円に対し約17.3%高の1,900円ドタとなり、同じく一部に上場となったアパレルのマツオカコーポも公開価格を46.2%上回る3,800円で初値形成、マザーズでは不動産のグローバル・リンク・マネジメントが公開価格2,620円に対して実に約2.3倍となる6,130円で初値と何れも好スタートを切った。

また本日はマザーズにサービスのエル・ティー・エスが新規上場となったが買い気配のまま初値は持ち越し。同様に公開価格2倍以上となる気配値上限で値が付かず持ち越しとなっていた昨日ジャスダックに上場の画像処理検査装置のヴィスコ・テクノロジーズは実に公開価格の約3倍で本日初値を形成となった。

こうした事も背景に冒頭のSGHDも本日は大幅続伸となっていたが、過去1年間に上場した企業の値動きを示すQUICK IPOインデックスは11年2か月ぶりの高値水準となっている。今年の初値平均も公開価格の約2倍となっているが、いずれにせよ3年ぶりのIPOラッシュとなるこの師走、個人マネーの循環が効き一段の市場底上げに繋がるかどうか残りのIPOも注目される。


早耳行政処分

さて、本日の日経紙社会面には「岩井コスモ証券不適切な勧誘」と題し、リポート公表前に株価が上昇する可能性が高いとして営業担当が顧客に説明し複数銘柄を勧誘していたとして証券取引等監視委員会が岩井コスモ証券に対し行政処分を出すよう金融庁に勧告した旨の記事があった。

これと似たようなケースで思い出されるのが、上場企業が公表前の決算情報を自社の営業担当に伝えて顧客を勧誘していたとしたとして行政処分勧告を受けた昨年のクレディスイス証券の一件か。これが原因なのかどうか、果たしてその後年2回のアナリストによる業績プレビュー活動も自粛となった経緯があった。

この前には他の外資系も同様にアナリストが営業担当に公表前の重要情報を提供し顧客の勧誘に使っていたとして行政処分勧告を受けた一件があったが、そういった経緯を鑑み昨年から決算前の企業取材を自粛するような動きも出ていた。早耳情報は何よりの餌だった証券営業だったがこんな従来の情報格差も今や昔という光景になって来た感がある。


顧客本位運営の是非

本日の日経紙金融経済面には「金融商品販売、顧客本位に」と題し、地域金融機関向けに商品選びの仕組みなどを評価・支援する会社を新設したり、金融機関の取り組みを格付けするサービスを始めたりする動きが出るなど金融商品への顧客満足度を高めるためのビジネスが広がって来た旨の記事があった。

背景には金融庁が充実した情報提供など顧客に寄り添う販売体制を求めている事があるようだが、先に日本証券アナリスト協会主催で開催された国際セミナーでも金融庁長官は投信など商品開発・販売両面で見直すべき事例を挙げて講演していた経緯があり、並行して大手行系列も資産運用業務の営業改革に乗り出す動きが出てきていた。

融資での利鞘稼ぎが困難になり投信等の販売手数料へしばしば活路を見出してきた銀行も、金融ビックバンを隠れ蓑にしかつてノルマ証券並みに行員も理解出来ない複数建ての複雑なデリバティブ商品を挙って高齢者に売りまくっていた時期があったものだが、漸く襟を正し長期運用を見据えた資産形成啓蒙に向けた動きが具体化して来るようになったか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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