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ビットコイン先物上場

さて、先月の上旬に当欄では「動き始めた大手」と題しCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)やCBOE(シカゴ・オプション取引所)がビットコイン先物の上場計画を発表した旨を書いていたが、あれから約一ヵ月本日の日経紙夕刊一面には10日夕に米CBOEがビットコイン先物取引を始めた旨が出ていた。

果たして期近の18年1月限は15,460ドルでのスタートとなったが、それから限物価格を超える場面もありサーキットブレイカーの2度の発動も交え18,000ドル超までの値上がりを見せることとなった。原資産も今月1日の約113万円から8日までのわずか一週間で約8割近くの急騰をみせたが、この辺はやはり先物への思惑に因るところが大きかっただろうか。

鳴り物入りのデビューとなったが複数のオンライン証券は直ちに先物は取り扱わない方針で、大手銀行もゴールドマン・サックスは一部ビットコイン先物顧客の清算に応じる計画を明らかにしているものの、JPモルガン・チェ−スやシティグループは直ちに応じない方針という。

世界各国でこれを扱う取引所の規制や監視体制等も足並みが統一されておらず、清算機関やセキュリティーリスクの問題もネックになっているのだろうが、上記の通りCBOEに続いて18日にはCMEも先物を上場する予定となっており、引き続き価格推移や関連銘柄からかつて見送りとなったETFまで幅広く今後の推移が注目される。


破綻でも満額以上?

さて、連日ビットコイン関連の報が喧しいが、昨日の取引でその価格ははや14,000ドルを突破、11月初旬から1カ月強で実に2倍強と大化けし、今月の上昇率だけでもはや40%を超えるという破竹の勢いである。そんな中を一週間ほど前に2014年に破綻して世間をザワつかせた仮想通貨取引所マウントゴックスの一部債権者が、1日までに東京地裁に民事再生手続きへの変更を申し立てたという旨の報があった。

即ち上記の通り鉄火場と化したビットコインが急騰している事で、同社に残るビットコインの資産価値を考慮した場合破綻当時の時価で債権者への返還額を決めてしまう破産手続きよりも、民事再生に変更した上でビットコインによる受け取りを債権者が選択した方が利益も大きくなり、なにより残余財産が社長へ流れるというのは到底承服出来ないという理屈だ。

相場変動によって訴訟のシナリオが変った例として思い出すのが、これとは異質だが数年前に起きた関西の某市が基金運用の為に為替相場に連動した仕組み債購入の事件か。購入後に相場が逆にいった事でリスク説明不十分とした訴訟を起こすほど評価損が膨らんだものの、その後のアベノミクス効果でこれが一気に解消したことから一転して訴訟を取り下げた一件であった。

ともあれ単純に弾いた計算で、当初は債権総額約456億円に対して約120億円程度しかなかったものが、今月アタマの段階で分裂によるビットコインキャッシュ付与含め約2,500億円超にまで倍々計算で化けている夢のような状況になっているワケで債権者としては毎日気が気ではないだろう。後は裁判所がどう判断するかという事になるが、債権者のみならずこの事例の帰趨がどうなるのか今後の行方が非常に注目される。


リスクを取れない本邦勢

経営再建中の東芝は昨日に第三者割当増資による計約6,000億円の払い込みが完了したと発表している。これでほぼ上場廃止を回避できる見通しとなったが、実に海外の60のファンドへの割り当てという思い切った手法でこの年末に来て一番注目を浴びたディールになったのは間違いないだろうか。

その顔触れといえばコバンザメ的な引き受け手も混在しているものの、もともと筆頭株主に浮上していた旧村上ファンド系のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントを始めとして米サード・ポイント、米サーベラス、米エリオット・マネジメント等々の錚々たる面々であるが、エリオットは先月取り上げた日立国際電気のTOB劇にも登場したアクティビストである。

これが東芝にとって吉と出るか凶と出るのか、一先ずこれで残る懸念としては半導体メモリー子会社を巡る米WD者との対立のみとなるが、何れにしろこんなスピード増資劇を見るに裏を返せば今の日本にはこれだけ短期間に巨額のリスクの受け皿になれる投資家不在の証左で今の資本市場を如実に表している。


食の世相

さて、食に関する調査・研究を行っているぐるなび総研が昨日に2017年の世相を最も反映したという「今年の一皿」を選んだが、今年は「鶏むね肉料理」が選ばれることとなった。社会の高齢化や健康志向の高まりを背景に・高タンパク・低脂肪等が一般に認知され胸肉に注目が集まったという。

なるほど言われてみれば今年はコンビニで販売しているサラダチキン等がやたらとメディアに登場している機会を多く見かけたものだが、鶏むね肉といえばそのパサついた食感のイメージからあまり表舞台に登場するようなシロモノという感覚では無いが、糖質制限モノの流行等と並びそれだけ健康志向が高まったという表れか。

この今年の一皿、上記の通り世相を反映し優れた日本の食文化を人々の共通遺産として保護、継承する事を目的に14年からスタートしているが、昨年はパクチー料理が選ばれ当欄でも取り上げている。昨今のSNS流行から今年はもっと違った映えモノ系が選ばれると思ったが、ともあれ昨年のパクチー然り「今年の一皿」で脇役でも表舞台に躍り出るチャンスが増えるようになって来たか。


買収防衛策変遷

本日の日経紙法務面には「企業、買収防衛策に知恵」と題して、ここ数年買収防衛策を廃止する企業が増えつつあるなか、一方ではルール等を設定・公表する事前警告型を設け新たに導入に踏み切る企業や、新株予約権の無償割当など株式価値の希薄化に配慮するなど仕組みを工夫して維持する企業もある旨が書いてあった。

買収防衛策の廃止といえば二つのコード改定を睨み株主からの風当たりを気にして近年では廃止する企業が確かに増えており、導入社数のピークだった08年は569社あったが先月末時点では411社まで減少してきており9年連続での減少、とりわけ今年は5月にかけて過去最多ペースで廃止となった経緯がある。

近年ではROE重視も声高らかに謳われているが、確かにもともとこれが低水準な企業が防止策を導入するケースでは株主価値を毀損し所謂ゾンビ企業を延命してしまうというパターンが多い。過去にはニッポン放送やブルドックソース事件の攻防が記憶に新しく企業に対する影響力行使も線引きが難しいところだが、今後もガバナンス重視策は均衡点を探りながらの進行という事になるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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