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PER乱高下

本日の日経紙投資情報面には「ソニー、8年ぶり日立逆転」と題して、昨年度の電気ポストの純利益ランキングにおいて10年ぶりに過去最高を更新したソニーが8年ぶりに日立製作所を上回り第2位に躍り出た旨が出ていた。ところでその上の首位はといえば東芝であったが、これは米WH向け債権売却に伴う税負担減少効果に因るところが大きい。

同紙のランキング表では首位ながら同社のみ二部ポストであるが、規模が規模だけに投資のモノサシとしてのPERなど大揺れしているのが現状。今月は中旬に発表された決算で前期から純利益が2,600億円以上の増額となったことで、約10倍であった二部予想PERが一日で6.30倍と急低下する珍事?があった。

この辺に絡んでは当欄で一年くらい前に「二部の池に鯨」と題して、東芝同様に黒字転換となった上記ランキングの14位にランクインしたシャープと東芝で二部時価総額の3割を占めるに至りその弊害を懸念した事があったが、果たしてというか同社が決算発表をするたびに投資尺度が乱高下を繰り返している。

シャープが抜けたとはいえいまだに東証二部の時価総額のうち同社だけで約2割を占めているワケだから上記の通りその影響度は推して知るべしで、はたして東芝も何時の日か一部復帰が叶うのか否かそれまではこのクジラに振らされる展開が今しばらく続く展開になるか。


取引員合従連衡

週明けの日経平均は4月以来の薄商いとなるなか円安等を支えに小幅続伸して終了したが、全市場値上がりランキングの2位には本日ストップ高のまま引けたジャスダック上場の豊商事がランクインしていた。先週のマーケットでもストップ高を交え急騰した岡藤ホールディングスが週間値上がりで堂々の第1位となるなどこのところ取引員の値上がりが目立つ展開だ。

斯様な急騰劇の背景には、既に資本業務提携をしている日産証券が来月にも岡藤ホールディングスの第三者割当増資を引き受け筆頭株主になる事で、将来的な収益拡大の手を打った事が好感されたという事が週末の日経紙商品面でも出ていた。本日の豊商事にしても然りで、エボリューションジャパンからの商品部門取得効果が18年3月期の連結黒字浮上に見られるように早速の統合効果が出ている。

一寸前までを辿れば上記の日産証券はかつてジャスダックに上場していた日本ユニコム色のもとトレイダーズ証券からエイチ・エス・フューチャーズまで絡み、エボリューションジャパンも前身はかつてジャスダックに上場していたエース交易であったが、両社とも上場していた頃を思い返すに最近の合従連衡の動きと併せ随分とその景色も変わってきたものだ。


100周年後のこれから

さて、先の日曜日の日経紙・TheSTYLEでは3月下旬にスイスで開かれた世界最大級の時計見本市である「バーゼルワールド」が記事の冒頭で挙げられ、若年層はスマホの普及で高度な性能に興味は無くなってきたかわりにライフスタイルや服装に合うかどうかなど時計に求めるものがカジュアル化してきている旨が書いてあった。

ところでこの「バーゼルワールド」といえば、今年の出店企業数が約650と昨年の1,300からほぼ半減し、その開催期間も6日間と2日間短くなった旨の報道も前に見掛けた。ちなみにその前の一昨年の出店企業は1,500で、ここ数年のピークであった2011年の2,000からははや三分の一になった計算である。

本邦からもブランドイメージを浸透させる必要性からセイコーなどグランドセイコーの独立ブーズ設置の試みを見せているが、出展企業が減少してきたその背景には高額な出展料で費用対効果を疑問視する声が上がっている事や、双璧ともいえるもう一つの見本市であるジュネーブサロンの存在も大きいとの指摘もある。

一部ではこのジュネーブサロンと会期の接近を図りたいとの報も出ているが、冒頭のような新たなターゲットとして訴求したい若年層はインスタなどで情報を得たり発信するのが主流になってきており、出展側もこの辺を鑑みた不参加の動きもあると思え見本市そのものもデジタル時代のあり方を考えるタイミングになってきたといえるだろうか。


大手事業方針

本日の日経平均はトランプ大統領が来月予定される米朝首脳会談を見送る可能性に言及、地政学リスクが高まった事から大幅続落となった。そんな中で値上がり上位に顔を出していたのはアイフリークの大幅続伸をはじめとし、DLE、モバファク、アイル等々の仮想通貨関連銘柄の逆行高が目立っていた。

仮想通貨といえば昨日の日経紙金融経済面には「世界の大手も仮想通貨」と題し、米金融大手ゴールドマンサックスがビットコイン関連のトレーディング業務を始める方針や、米取引所大手ナスダックも仮想通貨取引所開設を検討するなど仮想通貨関連事業を拡大してゆく旨の記事もあった。

国内でも仮想通貨の取引金額が昨年は16年から約20倍の規模に膨張するなどその根強い需要や、逆風と見られた各国の規制強化の流れもそれに伴う不正取引の減少期待を背景にして日米共に大手が粛々と拡大の波に乗ってきているが、こうした動きによって日進月歩の技術革新と併せマーケットも成熟に向けての歩みとなってゆくかどうかが注目される。


中小型人気

本日の日経平均は米株式が大幅続伸となっていたものの、円安一服を受けた利益確定売りが優勢となり4営業日ぶりに小反落となった。とはいえ値上がりランキングを見てみるとトップ10のうちジャスダックが6銘柄、マザーズが2銘柄、東証一部とETFが1銘柄ずつと中小型株の物色は旺盛である。

この中小型株といえば投信の世界では先月まで10カ月連続で中小型株投信に資金が流入、合計の純資産残高が先月末時点で約1兆円と1年前からほぼ倍増となるなど人気の高さから相次いで新規の申し込みを停止している旨の記事を先週の日経紙で見掛けた。その規模は東証マザーズとジャスダックの合計時価総額の1割弱に匹敵するだけに運用効率を考慮すれば致し方無いだろう。

ところで中小型モノ投信の新規募集停止で思い出すといえばやはり数年前にJPモルガンアセットが売り出した「ザ・ジャパン」か。新規売り出しで早々に信託金上限に到達したことで、その上限を倍にして新規募集を再開したものの僅か1週間で再度の募集停止となるほど人気があった。

組み入れ銘柄がディスクロされていた為に設定後はアクティビストが買い込んだ銘柄よろしく更にチョウチンも付いてそちらでも話題になったものだが、こうした中小型偏重は裏返せば大型系の成長力の乏しさを表しているともいえ過熱の反動とも併せ何所までこうした傾向が続くのか注視しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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