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二大消費国の存在

本日の日経紙商品面には「金、中国需要4年ぶり増」と題し、ドル安を材料に堅調持続している金が昨年市場で存在感を高めている中国の宝飾品需要堅調などを背景に、通常は実需に逆風な価格上昇のなかその実需が16年比4%増と13年以来4年ぶりに前年より増加した旨が書かれていた。

この宝飾需要の実需堅調は上記の中国のみならずもう一つの消費国であるインドも昨年導入のGST(物品サービス税)で一時消費が冷え込んだものの、現地通貨建ての金価格が下落した事や農村部の好天で農民の買い意欲が高まった事もあって中国を上回る前年比12%増と大きな伸びを記録している。

当欄でちょうど一週間前に金を取り上げた際に末尾では、WGC報告書で株式市場への資金流出が目立ったことで世界需要が2年ぶりに前年を割り込んだ旨を書いたが、こうした投資需要とは対照的な堅調ぶり。国内では昨年の田中貴金属工業の金地金販売量は16年比で3割減と振わなかった模様だが中国ではちょうど今日まで春節、果たして購入動向はどうであったか注目される。


コードはRACE

本日の日経紙企業総合面には「フェラーリ、変革に媚びず」と題して、イタリアの高級車メーカー、フェラーリが今月発表した17年12月期決算で売上高が前期比10%増、調整後営業利益が23%増と所謂富裕層の絶大な支持を得て同業他社比でも突出した好調ぶりの様子が出ていた。

当然乍ら株価の方もこれに連動して上昇率もまた突出しており16日には上場来高値を更新、3年前に上場し16年から直近までの上昇率もまた同業他社を遙かに凌ぐ2.2倍の上昇率となっている。日本で年間僅か数百台の販売台数の会社の時価総額がそれこそスズキやスバルとほぼ同じというのも、やはりオンリーワンの存在で他とは一線を画しているのに他ならない。

同紙では創業70周年イベント競売のコメントで自動車ジャーナリストがもう二度と手に入らないの焦りが価格を吊り上げていると出ているが、差し詰めこの辺は値崩れするどころか中古でもモノによっては新品購入価格以上で幾らでも引き取ってもらえるエルメスのケリーやバーキンに通じるものがある。

今年は史上初めて9,000台超を販売する計画というが、同社会長は5年前には短期的な販売台数よりブランド価値の維持を優先するため生産抑制の姿勢を明確にした経緯がある。ブランド構築に勝負を賭け海外展開に打って出る本邦勢も多いが、変革に媚びない姿勢とは何か同社から学ぶべき点は多い。


ワンツーフィニッシュ

周知の通り冬季五輪第9日の先週末はフィギュアスケート男子の羽生選手が優勝、今大会の日本選手団に最初の金メダルをもたらしたが五輪連覇は66年ぶりの快挙、更に翌日にはスピードスケート女子500で小平選手が五輪新記録を叩き出し日本女子に初めての金メダルをもたらす快挙となったが、これでメダル数は最多であった長野五輪の10個に並んだ。

毎度のことながら大会前のTV等でのメダル獲得予想など下らない下馬評合戦には辟易する思いだが、実際に五輪出場が危ぶまれる怪我を見事に乗り越えて掴んだ羽生選手の二連覇や、三度目の挑戦で悲願の金メダルを掴んだ小平選手の姿を見ているとやはりその背景を想うに感動もひとしおである。

ところで五輪といえばやはりマーケットもその関連が取り沙汰されるが、夏季に比べるとこちらは今一つ盛り上がりに欠ける印象が強い。昨年から各所で関連銘柄は取り沙汰されていたが実際にこれまで家電や旅行関連が物色対象になる一方で、出場選手の所属企業やスポーツ用品関連は伸び悩むなど明暗が分かれている。

この辺に絡んでは先週末の日経紙でも「冬スポーツ熱よ再び」と題し、ピークの3割を切るまでに落ち込んだウインタースポーツの参加人口が平昌五輪でのメダルラッシュで再びウインタースポーツの盛り上がりなるかどうかと出ていたが、株式マーケットではまだ反応が鈍いものの今大会が市況回復の契機となるか否かそんな視点でも後半戦に注目しておきたい。


義務チョコ

さて、昨日はバレンタインデーであったが、今年もまた平日という事で世の殿方は改めて自信の評価が浮き彫りになる日だったか。とは言うものの近年は軽いお歳暮の如く義理チョコがその地位を確立しまたそれを全面に謳った商品も続々登場しており、恋愛イベントとしての重要性は総じて薄れてきているのは否めないところ。

ところで義理チョコといえば先週月曜日の末尾でも一寸書いたが、あのゴディバが今月始めの日経紙にて「日本は、義理チョコをやめよう」と題した全面広告を出し結構な話題になっていた。社長曰く義理人情や義理堅いのは好きだが、時間がかかるとか皆がやっているとかそれは本来の義理ではなく違和感があり、あげる人がハッピーではないと意味がないという事らしい。

バレンタインデーを控えた一番の書き入れ時にこの奇を衒った全面広告はなかなかのインパクトであったが、最近では年末に大人気の日本酒・獺祭が「お願いです。高く買わないでください。」と希望小売価格と正規代理店を記載した意見広告を出していたのも話題になるなどこの手の動きがけっこう出て来るようになって来た。

今から9年前の当欄で私は「奇異なる日本のValentine’s Day」と題し、「〜そもそも欧州等でバレンタインデーといえばお互いに思い思いの品を交換したりするのが普通で寧ろこの日本独特の習慣は以前からかなり奇異に見られていたのが事実。さて、次第にこの辺も国際標準の道を歩むのであろうか?」と書いたが、漸くというか商戦略から生まれた独自文化の過度な逸脱へ国際標準の視点から問題提議が為された感がある。


金回帰の芽

本日の日経紙マーケット面には「金の国際価格上昇」と題し、ファンドなど投機筋の買いが続き先週の安値から約1%水準を切り上げた旨が出ていた。本日も円相場が1ドル106円台と16年11月以来、1年3か月ぶりの水準まで強含む場面があるなど主軸通貨に対するドル安が進行し代替資産とされる金が買われている模様。

この金といえば昨年末の半年ぶりとなる米利上げで取り敢えず弱材料が出尽くしとして年末年始はニューヨーク市場の買い越し幅も数カ月ぶりの高水準に膨らみ上昇傾向にあったが、今月に入ってからの米長期金利上昇に対する警戒感から米株式が史上最大となる下げ幅となったのを始めとした世界的株安や、仮想通貨暴落の影響を受け少なからず換金対象になった感は否めない。

とはいえこの逆風下のなかで上記の通り一際底堅く推移しているのはやはり注目が向かうところで、昨年はWGC報告書の通り株式市場への資金流出が目立ち世界需要が2年ぶりに前年を割り込んだ金も、VIX絡みの逆回転始め今後の為替の動向如何では再度マーケットへの資金回帰の動きが促進される可能性もあるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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