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本上場の審判

さて昨日は東京商品取引の限日取引が建玉増に寄与している旨を少し取り上げたが商品取引といえば昨日はもう一つ、西の大阪堂島商品取引所が約6年にわたり試験上場してきたコメ先物の本上場への移行を8月7日の期限を前に臨時総会で申請議案を全会一致で可決、同日夕に農水省に申請している。

コメ上場に関して再延期を控え東証一部上場のヤマタネやジャスダック上場の木徳神糧等の大手が大阪堂島商品取引所の会員資格を取得、最近もジャスダック上場のフジオフードシステムも入り、また銘柄も新潟コシヒカリという屈指のブランドによるテコ入れ策が奏功し売買高も増えてきている。

当欄でコメ先物について触れたのはちょうど2年前の試験上場期間延長申請の時であったが、もうその2年が経過と時の流れの早さを感じる。過去を遡ってもこれ以上の延長事例が無い事から実質的にこの商品のラストチャンスとなるが、さてその悲願の審判はどう下されるのか先ずは注目したい。


限日商品の寄与度

本日の日経紙商品面には「東商取、建玉半年で5%増」と題して、昨日の東京商品取引所の
建玉が56万7千枚と昨年比で5%増加、2014年春の比較でも約2倍に増えるなど回復傾向にある一方で、売買高が1〜6月に2割減るなど低迷している旨が載っていた。

この建玉増の背景にあるのが東京ゴールドスポットや、今年3月に上場したプラチナスポットといった限日取引の商品比率の高まりといい、この2商品とETNとも絡む原油取引含めた3商品で東商取全体に占める建玉比率は実に6割に達する。既に金の方は先行しているが、プラチナスポットも約3ヵ月で建玉が標準の8割を超えるなどその規模は拡大している。

こうした一方で冒頭の売買高低迷に関して取引所側としては「TOCOMリアルトレードコンテスト」等を通じて個人の先物取引への理解を深めてゆく方針のようだが、プラチナスポットは金に対する下鞘恒常化を背景にタイミングよく長期目的の投資資金を誘致し参加者多様化に一役買った部分は大きいといえるか。


大化けの裏で

さて、先週末に本日売買分から委託保証金率70%以上(うち現金40%以上)とする等の信用取引に関する臨時措置が入ったトレイダーズHDだが、本日もこれらの諸規制をものともせずに続伸して年初来高値を更新するなどビットコイン関連が依然として大商いを集めている。

ビットコイン関連株に関しては、先月も当欄で子会社がビットコイン取引所を運営するリミックスポイントが1ヵ月そこそこで9倍以上にも大化けした旨を取り上げたが、ブロックチェーン推進協会の事務局を務めるインフォテリアも同協会が新仮想通貨を発表するとの報に先週は年初来高値を更新、こちらも3ヵ月そこそこで株価が約3倍に大化けしている。

このインフォテリアはマザーズで出来高ランキング2位、冒頭のトレイダーズHDはジャスダック全体で1位と市場を席巻しているが、こんなビットコイン関連株活況の裏で仮想通貨の匿名性を悪用化した事例も進化してきておりこれらが同時並行的に動いている構図。世界最大だったビットコイン取引所が破綻した事件もあれからはや2年が経過するが、明日はこれの初公判である。


シャンシャン総会終焉

さて株主総会も先週ピークを過ぎたが、既報の通り機関投資家の多くは今年から議案毎の賛否を開示することになり、個人も先に書いたようにお土産目当てでない真面目な?株主が総会で様々な発言をするようになり、シャンシャン総会もいよいよ過去のものになり提案等の票の集まりを挙げてもスチュワードシップ・コードの影響が出て来た感もある。

この辺が垣間見られたのが29日に開催された黒田電気の総会で、大株主であるところのあの村上ファンドが関わる投資ファンドのレノが提案した人事案が承認された一件か。一昨年には臨時株主総会において同ファンドが推した社外取締役の株主提案が60%の反対で否決されたのは記憶に新しいが、今回は相変わらずの会社側の反対にも関らず遂にこれが承認の運びとなった。

斯様に「物言う株主」の提案が承認されたのは実に8年ぶりのことになるが、上記の件により検討に値する株主提案が増えつつあるというのもあろうが、やはり他からの視線に躊躇し正当案でも賛成票を投じられなかった姿勢に変化が出始めた証左だろう。経営陣と株主との間にあった見えない壁が崩れ本来の方向へ動いて来た感じがした今年の総会であった。


不穏なテーマ

さて米市場が独立記念日で休場となり、北朝鮮を巡る懸念が燻る空気のなか本日も気迷いの日経平均を他所眼に個別の材料株が賑わっていた。中でもやはり目立つのは直近で大阪港で女王アリとみられるものが見つかった強い毒を持つ「ヒアリ」関連株か。

環境省から当初発表があった際にいち早く反応し始めたのが二部の殺虫剤会社フマキラー株であったが、実にバブル期の1989年以来約28年ぶりの高値を付け、引き続き本日も続伸して年初来高値を更新している。他にも本日は防虫忌避製品を手掛けるジャスダックのニックスがストップ高まで買われ、名前の似ている一部の白アリ防除のサニックスも急騰して年初来高値を更新とアリ関連株が破竹の勢いである。

日経紙に書いてある通り過去何度も天井として立ちはだかった東証一部時価総額600兆円の壁の前に材料株へと活路を見出すのは自然な流れだが、こんな危険な外来種やら狂気のミサイル発射で石川製作やら細谷化工、豊和工等の防衛関連やらがストップ高交えて急騰する様を眺めるに物色も不穏なテーマ揃いだなと複雑な気分である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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