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ななつ星上場

本日は先のLINEに次ぐ売出価格4,160億円という大型IPO案件でもある、九州旅客鉄道がはれて上場の運びとなった。差し引き2,000万株以上の買い気配から始まり、注目の初値は9時半過ぎに公開価格2,600円を19.2%上回る3,100円となり、ほぼこれを高値としてあと若干ダレる展開で引けた。

当欄では7月のLINE上場時に年内のIPOで個人に身近な企業で注目を集めそうな物としてこのJR九州を挙げていたが、この日の売買代金は2,736億円と東証一部全体の約13%を占めただけあって、騰勢を誇っていた直近のIPO銘柄群は換金売りの余波か値を崩すモノが散見されマザーズ指数も4日続落となっていた。

国鉄分割民営化では不採算路線を持つお荷物的な存在でIPOはほかのJR3社に随分と遅れをとってしまった感があるが、こうした上場の瞬間を見るにやはり感慨深いものがある。運輸というカテゴリーで見るより同社は不動産ポストといった見方をした方がよいと思うが、いずれにせよ上記JR3社よろしく長期的に株価が育つのか否か今後が注目されよう。


BCP

先週末は鳥取県中部で震度6弱の揺れを観測したとの報が舞い込み、既に住民からの家屋の被害届が1,500件を超す事態となっているが、先の熊本大地震から半年そこそこで再度列島がザワついている。

この手の災害の報が出る度に首都圏でも主要インフラに対する事前対策が話題になるが、奇しくもこの日の日経紙投資情報面には「東証を大阪から遠隔操作」と題し、日本取引所グループが首都圏直下型地震など大規模災害に備えて、2018年3月期中に東京証券取引所の株式取引システムを大阪取引所から遠隔操作する仕組みを整える旨が載っていた。

この辺に関しては最近また「豊洲問題」で引っ張り出されそうな当時の石原都知事が、先の東日本大震災の時に「首都機能のうち証券市場の中心は大阪に移すなど大きな発想力で取り組むべき」と発言したのが記憶に新しいが、JPXは先行して節電策等で業務を大阪本社へ移管するなどしてきた経緯がある。

BCP(緊急時事業継続計画)に関しては現状運行システム等でもバックアップ機能等万全の態勢で臨んでいるところが多いが、思えば上記の元東京都知事発言以来金融インフラに関してのこの分野の整備体制はあまり耳に入ってきていないものの、この課題も焦眉の急を告げるといっても過言ではない状況になってきているのではないだろうか。


メンズ開拓

本日も近所では「日本橋恵比寿講べったら市」が開催されているが、例年この市を境にだいたい肌寒さが増してくる。そういった季節になるとファッション系のDM等も数が多くなってくるが、最近では従来レディスのイメージが強かったフルラ、コーチ等のブランドもメンズの案内が随分と増えてきたように感じる。

この辺は今月上旬の日経MJでも「メンズ市場掘り起こせ!」と題して仏エルメスが伊勢丹新宿本店にメンズ商品を集めた期間限定店を開いた他、仏シャネルや米ティファニーも機能性を重視した男性向け腕時計を投入するなど欧米のハイブランドが男性への販売促進に知恵を絞っている旨の記事が書かれていたのを思い出す。

このエルメスといえば先に当欄でも、来年以降はビジネス環境の先行き不透明感から年間の売り上げ成長見通しを発表しないとしたことを嫌気し株価が9%近く下落した旨を書いたが、インバウンド需要一服の危機感からでリシュモン始めとする値下げ政策等と並行し伸びしろのあるメンズ市場も攻め始めたというところか。


電先延期

さて、今週は東電が柏崎刈羽原発の先行き不安から株価が急落し、直近で新高値を取った省電社も本日は大幅続落するなど電力系がボラタイルな展開となっている。ところで電力といえば、先に東商取は今年度内に予定していた電力先物の上場時期を17年度に先送りする旨を発表している。

電力先物に関して当欄で最後に触れたのが夏場だったが、東商取では1年物から1日物まで分割して取引でき、現物取引にも対応出来るシステムを作成して既に6月に上場企業から商社子会社等まで参加し模擬取引を実施した経緯があるものの、意見が分かれ制度設計が難航している模様だ。

4月から小売自由化がスタートし先物に対する重要性が増している現状下、ここからは市場設計や一本化運用等を鑑みた場合のJEPXとの調整等々こなしてゆかなくてはならない課題も幾つかあるものの、必要不可欠な産業インフラとして来年度の早期上場には期待がかかる。


全自動へ

本日の日経紙一面には「AIで株売買 顧客に提供」と題して、みずほ証券が11月末にも自社開発で株価変動を予測し「安く買い高く売る」ように注文執行のタイミングを調整したAI(人工知能)を搭載した株式売買システムを機関投資家向けに提供し始める旨が載っていた。

個別銘柄ごとの注文状況や売買ボリューム、過去の値動きなどのデータから、株価が30分〜1時間後に現時点と比べてどのくらい上昇・下落するかをAIで予測との事で、ホールセールよりバイナリー等でリテール向けに売れそうな気がしないでもないがそれは兎も角も受託している年金基金や投資信託の運用成績の下支えに繋がる可能性もあるとの事。

先にアナリストリポートを全てAIで解析し投資判断の変更を予測するGSAMの試みや、大手証券のアナリストがカバーしていない中小型銘柄のリポートをAIに投げるといった件も当欄で取り上げた事があるが、これら一本化したモデルが出てきていずれがそれらの競合戦となってくるのは想像に難くないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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