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双方襟を正す

本日の日経紙金融面には「取締役選任に厳しい目」と題して、6月の株主総会において主な資産運用会社のうち半数で取締役選任案への反対や棄権の比率が高まるなど、投資先の企業統治や収益力に厳しい目を注ぎ始めた旨が載っていた。

取締役選任案への反対といえばこれより先に話題になったのがやはり黒田電気の臨時株主総会だっただろうか。この辺に絡んでは7月に当欄でも「血は争えない?」と題し物言う株主としてかつて一世を風靡した村上ファンドを取り上げたが、同ファンドが推していた同社の社外取締役の株主提案は60%の反対で否決される結果となった。

復帰戦第一弾は黒星?となった格好だが、そもそもこうした復活劇の背景には今年のコーポレートガバナンスコード適用に再度商機を見出したという部分も大きいだろう。とはいえ上記の通り思惑通りに事が運ぶというワケではなく一筋縄ではいかないものの、企業側も当然ながら従前の対応は通用しなくなっている。

上記二様の株主は全く異質のカラーではあるが生保も会社提案に反対票を入れるケースが出始め、村上ファンドも結果こそ黒星とはいえ議決権行使助言会社大手の一つは賛成推奨の結論を出している。コーポレートガバナンスが北風政策になるか太陽政策になるか今後も折に触れその真価が問われる場面が出てこよう。


53年の歴史に一旦幕

今週あたまの日経紙・春秋には、建て替えの為に営業を一旦休止する「ホテルオークラ東京」本館の事が書かれていたが、帝国ホテルやホテルニューオータニと共に日本を代表する「御三家」名門ホテルの本館が31日、ロビーで行われた記念コンサートと共に53年の歴史に一旦幕を閉じた。

取り壊しが決まった他の有名建造物同様にこのオ−クラ本館もオークラ・ランターンや梅の花を模した家具、壁の多胡石、西陣織の屏風壁等々幾つもの日本美術の粋を結集させた建造物なだけに、国内外から多くの著名人が取り壊しから救おうと嘆願の動きが見られたが、やはり次世代を睨んで世界レベル水準を標榜するには老朽化の問題は避けて通れなかったというところだった。

このオークラ開業は前回の東京オリンピック2年前の1962年であったが、今回も東京オリンピックの1年前の再開業を目指すという。この赤坂・虎の門エリアではキャピトル東急や赤プリ、それに六プリもその元々の姿が消えてしまったが、相次ぐリニューアルの背景にはインバウンドも睨み名立たる外資勢に対抗し得るブランド価値向上の意図が見え隠れする。

御三家と外資勢、利用してみると本当に良くわかるのだがそれぞれそのホスピタリティは全くカラーが違う。そういった観点から贔屓筋の客層は被らないと思うが、外資勢とはまた違った独特の色という武器を大切にし継続出来てこそ日本ブランドの価値が一際光るものとなろうか。


閉鎖的有耶無耶

昨日の朝刊には東京都の広報紙が織り込まれていたが、それを開くと先ず目に飛び込んできたのが「 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会エンブレムが決定しました 」とのタイトルで今話題のエンブレムの写真が掲載されていた。ところがその日の昼には早くも東京五輪組織委、エンブレム使用中止の方針との速報が飛び込んできた。

しかし大会組織委員会はつい4日前に改めてエンブレムの選考経過を説明し、この会見では事務総長も審査委員代表も「発想、思想から全てが違いオリジナルと確信している」との弁を述べていたのも束の間この原案に対しても疑惑が生じた挙句突然の中止決定となり、新国立競技場問題と立て続けでの極めて異例の事態という感は否めない。

夕方からの事務総長の記者会見を見ていても釈然としない感が満載であったが、つまるところはこれだけ公共性が高いビッグイベントな割にその選考が極めて閉鎖的でかつ責任の所在も曖昧だったということに尽きるだろうか。新国立競技場然りこれでまた血税も応分に泡と消えようが、この手の組織絡みの閉鎖性改善の道のりはまだ遠く思える。


短期選好

本日の月替り新甫の日経平均は、円の急反発や中国景気の減速懸念が再度強まり大幅続落の安値引けスタートとなった。いまだにVIX系のETFなど値上がり率ランキングに出てくるだけあって、戻りにしても下げにしてもジェットコースターのような相場が続いているのは成る程自然なところ。

ジェットコースター相場といえば先のギリシャショックの時には日経レバ型への急激な資金流入が続きその売買代金は軽く4000億円を超え過去最高になった経緯があったが、今回の中国ショックでも2万円大台を割ったあたりから純資産が急増しこの影響で先週末の前場には野村アセットが日経レバ型の設定上限接近を理由にETFの新規設定一時停止を発表するに至っている。

ギリシャの時はこれらが底割れを回避するのに一役買ったとも云われているが、以前にコモディティETFを取り上げた時にも書いたようにレバ型はその間接効果を擁するだけに相場の値動きを増幅させる要因になる。とりわけ本邦勢はその回転日数にも見られる通り、短期が恒常化しつつあるだけにその辺の影響には注意しておきたい。


特定層への戦略

さて、この時期は恒例で「ワールドウォッチフェア」が開催されるが、今年の催しも本日で終わった。今年は18回目を迎え「長久〜時の流れと共に〜」と題したものであったが、並み居る海外の有力勢に交じって本邦勢もそれらと遜色のない値札を下げて意欲的な新製品を打ち出していたのが目に付いた。

今年の6月、ファンドの大量保有を巡って株価と共に大きく揺れた東証一部の宝飾販売会社TASAKIもその一つであったが、同社の最高峰モデルであるオデッサなどトゥールビヨンまで搭載しなるほどスイスの老舗宝飾時計勢にも引けを取らないくらいの出来栄えの物も披露していた。

ところでこれら時計といえば先週末の日経紙には「高島屋が時計専門店」と題し、国内最多規模となる80強の国内外のブランドを集めた専門店を10月に日本橋地区で開設する旨が出ていた。この高島屋、6月には美術品のネット通販を若手の富裕層に向けて開始したばかりだがその流れに続くものか。

今年のワールドウォッチフェアではたまたまかもしれないが意外?にも数年前の中国人の爆買い的なパファオーマンスは見かけなかったが、東京五輪に向けてこうしたインバウンド需要や上記のネオ富裕層の取り込みが思惑通りに奏功するかどうかこれらの戦略にはまだまだ注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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